女優の岸井ゆきのが、フジテレビの地上波とCSで放送される単発ドラマ『十九歳』でテレビドラマ初主演を務めることになり、このほど、同局の湾岸スタジオで取材に応じた。

『十九歳』に主演する岸井ゆきの

このドラマは、同局が主催する高校生の脚本コンテスト「ドラマ甲子園」の初代大賞受賞者で、現在は現役音大生の青山ななみ氏(19歳)が、新たに書き下ろしたもの。奔放な母親(霧島れいか)に反抗する、岸井演じる美大生の嬉子が、かつて母が恋した男性(眞島秀和)にひかれていく姿を、『昼顔』などを手掛けた高野舞監督の演出で描いていく。

まもなく25歳になる岸井は、今作の脚本を読んで「すごく大人っぽくて、本当の19歳が書いてるんだと思うとびっくり。言葉遣いとかすごく品がある本だなと思いました」と印象を語る。また、自身の19歳の頃と重なる部分を感じたそうで、「少し大人びてるけどまだ子供みたいな、すごい微妙なところを本当に美しく描いてるなと思って、(この役を)やりたいなって思いました」と、役者魂に火がついたようだ。

自身を振り返り、いわゆる"反抗期"はなかったそうで、「気をつかっていたので、反抗したい時はもちろんあったんですけど、ここで反抗したらもっと面倒くさくなるなと思ってました(笑)」という岸井。それだけに、「(今回の役のように)母親に反抗したり、攻め寄ったりしたことはないので、現場でもドキドキしながらやっていまいた」と演じた心境を明かした。

現在、同局系月9ドラマ『突然ですが、明日結婚します』にも出演する岸井だが、テレビドラマの主演は今回が初めて。以前は緊張から、撮影現場でほとんどしゃべることはなく、コメディ作品でも前室で下を向いているような感じだったそうだが、映画『森山中教習所』に出演した際、主演の野村周平が「めちゃめちゃ明るいんですよ!」と、元気に振る舞って現場を盛り上げていたのを見て、触発されたそう。

それを受け、今年公開の初主演映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』の撮影で、キャストやスタッフに積極的に話しかけることを心がけたところ、「現場も良い雰囲気になったし、私も脚本についてしゃべれるようになったので、すごい良かったです」と効果抜群。今作でも、そうした雰囲気作りを行ったそうで、今後出演する作品では主演でなくても「心は開いていきたいと思います」と、意識の変化を語った。

ドラマと映画で初主演となる今年だが、「ここ2年くらい『いけるかな、いけるかな』っていう微妙な時期があったので、今年は『いけたっしょ!』っていう節目の年にしたい」と抱負。併せて、今作も含めて「確実に私の力ではない」と言い、「"恐縮です精神"は持っていきたい」と謙虚な姿勢を見せていた。

放送は、地上波が4月5日(深夜1:25~ ※変更の可能性あり)。CS・フジテレビTWOでは5話に分け、3月27~31日(23:20~23:30)に5夜連続で予定。岸井は「これから19歳になる人は『こんな風に大人になっていくんだ』というのが見えてくると思いますし、30代、40代の方でも懐かしいな、と感じていただける瞬間があるはずです。いろんな感情を思い出したり、昔の記憶に思いを馳せたりしながら、いろいろな世代の方に見ていただきたいです」と見どころをアピールした。

(左から) 岸井ゆきの、霧島れいか、眞島秀和=『十九歳』より