びまん性脱毛症に悩み、AACクリニック銀座を訪れた40代の女性(画像は同クリニック提供)

男女問わず、コンプレックスの対象となるものに「毛」がある。薄毛治療は効果に個人差があり、根気強くやっていかないといけない側面もある。そのため、現在薄毛が気になりだした人や、将来に髪のことで悩みたくない人は、薄毛にならないための予防に努めることが大切となってくる。

本稿では、ホルモン補充療法などの施術を行い、女性の薄毛にも詳しいAACクリニック銀座の院長・浜中聡子医師の解説をもとに、「薄毛の種類や原因」について紹介する。

女性特有の薄毛の種類を知る

薄毛といえば、「男性が抱える悩み」とのイメージを持つ人も少なくないかもしれないが、近年は女性でも髪にまつわるトラブルを訴える人が増えてきている。同クリニックは「女性専門頭髪外来」を設けているが、その患者数は2007年から2015年にかけて約5倍に増加。2015年にはおよそ2万人もの髪に悩む女性が同クリニックを訪れ、その年代は40代以上が多いという。

それでは、実際に女性が陥りやすい髪のトラブルにはどのようなものがあるのだろうか。下記にまとめたので参考にしてほしい。

びまん性脱毛症


女性の薄毛で最も多いとされる症例。びまん性脱毛症が原因で薄毛になっている場合、頭髪全体の髪が均等に脱毛し、毛髪が全体的に薄くなっていく。40代以降の女性によく見られ、「老化」「ストレス」「極端なダイエット」「誤ったヘアケア」などが原因となる。そのため、週末に趣味に没頭する時間を作るなどしてストレスを発散したり、過度なダイエットを控えてしっかりと栄養を摂取したりすることが予防策となる。

「手っ取り早くダイエットをしようとなると、『食べない』という選択肢になりがちですが、そうすると低栄養状態になって髪に栄養が行き届かず、毛が抜けるというメカニズムですよね。また、このような状態になると女性はホルモンバランスが乱れ、生理不順や無月経を来してしまう可能性が高くなります。ホルモンバランスの乱れや女性ホルモンの低下は薄毛を招くため、よけいに悪循環になってしまいます」。

分娩後脱毛症


びまん性脱毛症と並び、女性の薄毛の原因となっているもう一つの症例。妊娠中に胎児に栄養がいくことで、妊娠後期にエストロゲンなどの女性ホルモンによって成長期を維持してきた頭髪が、出産後一気に休止期に入ってしまうため、出産後に抜け毛が増えると考えられている。

牽引(けんいん)性脱毛症


髪の長い人に多い脱毛症の一つ。髪をまとめる際にポニーテールやアップヘアなど、髪を引っ張るようなヘアスタイルをしているのが主な原因。通常ならば、多少引っ張る程度では髪は抜けないが、長期間にわたり髪を引っ張る状態を継続させることで、頭皮に負担がかかり薄毛の原因となる。

「牽引性脱毛症で一番わかりやすい例は、旅館のおかみさん。あとはシンクロナイズドスイミングとかバレエをやっている人もそうですね。一般の人でいえば、同じ髪の分け目をずっと続けていると髪が薄くなります。髪の分け目を変える頻度を特定することは難しいですが、薄毛で悩む患者さんの多くは『あれっ……ちょっとやばいかも』と感じ、慌てて分け目を変えるケースが多いですね」。