これら3つの症例以外に髪の悩みとして多い症例も紹介しよう。

女性男性型脱毛症(FAGA)


FAGAは加齢に伴い女性ホルモンが減少し、男性ホルモンの影響を受けることで発症する。Fは「Female」(女性)を、AGAは「Androgenetic Alopecia」の略称で「男性型脱毛症」を意味する。AGAは額の生え際や頭頂部周辺の毛が薄くなり、脱毛が進行していく。そのスピードや程度は個人差があり、前頭部や頭頂部のいずれかが薄くなる場合もあれば、どちらも薄くなるケースもある。

円形脱毛症


いわゆる「10円ハゲ」として広く知られている円形脱毛症。ある日突然、何の前触れもなく一気に髪が抜けるのが特徴。脱毛する場所も1カ所~数カ所と人によって異なり、場合によっては頭髪だけでなく全身の毛がすべて抜けてしまうこともあるという。

「円形脱毛症の原因はストレスではなく、アレルギーです。自己免疫疾患の一つで、アレルギーなので繰り返し発症するのです。だからこそ治療が難しく、万能な治療法はありません。ステロイドの内服や局所注射、あとは減感作療法(アレルギーを発症する1段階手前である『感作』を減らすこと。花粉症の治療でも用いられる)ですね」。

脱毛症の種類によって治療法はさまざまだが、円形脱毛症はいろいろな脱毛症がある中で唯一、保険適用となる一般の皮膚科で治療可能。もしどうしても改善が見込まれない場合には、頭髪専門医がいる病院へ行ってみてもいいだろう。

「髪は正直、私たちの生命に直接関わらないですが、いろいろと犠牲になりやすいです」と浜中医師は話す。特に女性の場合、美しく艶やかな髪は女性らしさの象徴にもなりうる。それだけに、髪で悩んだ場合は、専門の医療機関や信頼できる医師探しを納得いくまでするようにしよう。

記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)

医学博士。北里大学医学部卒業。AACクリニック銀座院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。