薄毛が原因でうつ病を発症することはあるのか - 精神科医の見解は | マイナビニュース

【レポート】

薄毛が原因でうつ病を発症することはあるのか - 精神科医の見解は

 

うつと頭髪の関係は?

近年は男性だけではなく、女性にとっても後退していく生え際や、地肌が目立つ頭頂部が悩みの種となっている。例えば、男性の多くは「男性型脱毛症(AGA)」に苦しみ、女性は女性ホルモン低下に伴う「びまん性脱毛症」になる人が増えてきている。

自らの抜けていく髪の毛や少なくなっていく頭髪を見ては、ストレスに感じる人も少なくはないだろう。それでは、そのようにたまったストレスが引き金となって、何らかの「心の病」を引き起こしてしまうケースはあるのだろうか。

今回はメンズヘルスクリニック東京の院長の小林一広医師の解説をもとに、頭髪とうつの関係性について紹介していこう。

薄毛由来のうつ病発症の可能性はある

かつては北里大学病院でメンタルヘルス分野の医療を行い、精神科医でもある小林医師は、「几帳面」「まじめ」「物事を順番通りにきちんと仕上げていく」という人がうつ病になりやすいと話す。

「発症の引き金となる事象の例としては『過重労働』や、責任感が強いことによる『昇進に伴うプレッシャー』などがあります。また、大きなプロジェクトなどを成し遂げた後に心にぽっかりと大きな穴が開いてしまうことで発症する『荷降ろしうつ病』と呼ばれるうつもあります。あとは家族や恋人との別れによるものや、転居などによる環境の変化もそうですね」。

まじめで仕事熱心、周りからも頼りにされる「いい人」が、何らかのきっかけでうつ病に陥ってしまうわけだ。では、薄毛がそのきっかけの一つとしてなりうる可能性はあるのだろうか。

「薄毛がきっかけとなって、うつ病を発症する可能性はありますが、うつ病になると薄毛になるということはないですね。つまり、うつ病になったからといってAGAがどんどん進行することはありません」。

うつ病になりやすいと言われている性格の一つに「几帳面」がある。普段から日常の細かな点にまで気を配る性格だからこそ、自身の髪の毛のちょっとした変化に気づきやすくなっているという側面もあるかもしれない。

薄毛を改善すれば快方に向かう?

一般的に、毎日髪の毛は100本程度抜けると言われている。しかし、その数を正確に把握するのは不可能だ。また、抜けた髪を視認することはできるが、生えきた髪を視認するのは不可能だ。結果として、「髪の毛が生えてくるのが見えない不安」と「髪が薄くなっていくのが見える恐怖」にさいなまれることになるのだろう。

仮に薄毛が原因となってうつ病を発症してしまった場合、髪の毛のコンプレックスを解消することによって症状は快方に向かうのだろうか。

「髪の毛が気になることによって精神的がネガティブになってしまうケースであれば、髪が元通りに戻って不安が払しょくされれば、本人の気持ちが前向きになる可能性はあります。髪がフサフサに戻ることでうつ病が治るというところまではなかなか難しいでしょうけれど、回復に向けた一つの『トリガー(引き金)』にはなってくるでしょうね」。

薄毛が原因のうつ病の場合、髪にまつわるコンプレックスを軽減できれば、症状が改善する可能性はありそうだ。

AGA治療の現状

かつての髪に近づき、当該者が自信を取り戻すには、根気強い治療が必要となってくる。小林医師は、外用薬と内服薬の2本立てがAGA治療の基本となると話す。

「外用薬は、製品名で言うと『リアップ』が薬局で誰でも購入できます。内服薬は『プロペシア』というのですが、今年の4月に『フィナステリド』というジェネリック医薬品も出ました。内服薬は処方してもらわないと手に入りませんが、外用薬は制約なく購入できます。副作用を考えると、薄毛や抜け毛に対して早めに手を打ちたい方は、外用薬を早期の段階で使っておけば、『転ばぬ先のつえ』という形にはなるでしょうね」。

薬の効用は個人差がある。外用薬で発毛を実感する人もいる一方で、なかなか結果がついてこない人もいるのが現状だ。それでも、小林医師は経験から薬の効果が出やすそうな人に関して解説する。

「頭髪に悩む人は2パターンに大別できます。前頭部から髪が後退していく『M字』型の人と、頭頂部から薄くなっていく『O字』型の人ですね。その2つがミックスする人もいらっしゃり、人によって個人差はあるのですが、私たちが治療して思うのは、どうも『O字』型の患者の方が改善する確率が高いように思えます」。

気になる場合は専門機関へ

薄毛が原因でうつ病を発症する可能性は低いかもしれない。ただ、心に病を背負い込んでいなくても、AGA治療が本人にとってプラスに作用することは多分にある。少しでも気になる人は、最寄りの専門機関を一度訪問してみてはいかがだろうか。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 小林一広(こばやし かずひろ)

医療法人社団ウェルエイジング メンズヘルスクリニック東京院長。精神保健指定医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、特定非営利活動法人アンチエイジングネットワーク理事、特定非営利活動法人フューチャー・メディカル・ラボラトリー理事。北里大学医学部卒業後、同大学病院でメンタルヘルスケア中心の医療に従事。1999年新宿に城西クリニックを開院。精神科医として皮膚科医、形成外科医と共に心身両面からの頭髪治療に力を注ぐ。2014年東京・丸の内に移転し、メンズヘルスクリニック東京と名称を変え、男性の外見と内面を医療によってサポートするクリニックを立ちあげる。
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