家族が亡くなったときに自治体や国からもらえるお金。葬儀費用が払えないときは
家族が亡くなってお葬式をしたとき、簡単な手続きをするだけで埋葬料や葬祭費といったお金が社会保険や国民健康保険からもらえることを知っていますか。
また、失業手当を受給中だった人が亡くなった場合には、手続きすれば亡くなる前日までの失業手当を遺族が受け取ることもできます。
「大切な家族が亡くなったっていうのに、お金の話をするなんて」と思う人もいるかもしれません。
だけど残された家族の生活は大事なこと。いつかくるお別れのときに慌てないよう、家族の死亡や葬儀にまつわるお金について知識を身につけておくべきですよ。
この記事の目次
健康保険の窓口に申請するだけ!葬祭費・埋葬料
身内が亡くなり「葬儀費用がない」「葬儀代を支払えない」となった場合、落ち着いて対処できる人は少ないでしょう。葬儀は故人とお別れするための大切な儀式。故人の希望に沿って行いたいですよね。
健康保険と後期高齢者医療制度の被保険者や被扶養者が亡くなってお葬式を執り行ったら、葬祭費・埋葬料・家族埋葬料といったお金が遺族に対して支給されます。
金額はどの保険に入っているかや、国保の場合は自治体によっても異なります。たいていは5万円のことが多いです。
国民健康保険(自営業者などが加入)、後期高齢者医療(75歳以上の人などが加入)、社会保険(会社員などが加入)にわけてご説明します。
ちなみに、埋葬料などは遺族に渡されるものなので、相続財産にはなりません。
国民健康保険の加入者が亡くなったら自治体から葬祭費
自営業者などが加入する国民健康保険(国保)では、被保険者が亡くなったら葬儀代金への補助として葬祭費が支給されます。
市区町村によって金額が違い、いわゆる5大都市を調べてみたら3~7万円でした。ちなみに東京都は23区内だと7万円ですが、八王子市や多摩市は5万円です。
自治体 | 金額 |
---|---|
札幌市 | 3万円 |
東京23区 | 7万円 |
名古屋市(愛知) | 5万円 |
大阪市 | 5万円 |
福岡市 | 3万円(2018年03月までに葬祭を行った場合は5万円) |
※2021年各自治体の公式サイトを元に自社調べ
手続きは役所の国保担当部署で、葬儀(告別式)をした日から2年以内に行います。必要書類は自治体によって少し違いますが、東京23区の場合はこのような書類が必要です。
- 死亡者の保険証
- 葬儀代金の領収書
- 死亡診断書のコピー
- 葬儀代金を払った人(領収書の名義になってる人)の印鑑
- 葬儀代金を払った人の銀行口座番号がわかるもの
注意してほしいのは、葬祭費は「葬祭」に必要になった実費を補助するお金だということです。
ですから、いわゆる直葬※だと「火葬しただけで、葬祭ではないよね」と判断されて葬祭費が出ないケースもあります。
通夜や告別式をせず、火葬だけを行うお葬式。火葬式ともいいます。
後期高齢者医療制度加入者が亡くなった場合も葬祭費
後期高齢者医療制度には75歳以上の人、または65歳から74歳で一定の障害がある人が加入しています。後期高齢者医療制度に加入している人が亡くなり、親族が葬儀を行ったときも自治体から葬祭費が出ます。
手続きは役所の後期高齢者医療担当部署で行います。申請の期限は葬儀を執り行った日から2年以内です。
東京23区の必要書類はこうなっています。
- 死亡者の保険証
- 葬儀代金の領収書
- 葬儀代金を払った人(領収書の名義になってる人)の印鑑
- 葬儀代金を払った人の銀行口座番号がわかるもの
※2021年各自治体の公式サイトを元に自社調べ
会社員なら社会保険から埋葬料・家族埋葬料が支給される
会社員などが加入する社会保険では、被保険者本人が死亡したら、葬儀を行ったかどうかに関わらず「被保険者に生計を維持してもらっていた人」に埋葬料、被扶養者が亡くなった場合には被保険者に家族埋葬料が支給されます。
中小企業に勤める人が加入する協会けんぽでは埋葬料・家族埋葬料ともに5万円です。会社独自の組合保険が運営されている場合は、上乗せがあったりして金額が変わる可能性があります。
手続きの時には、協会けんぽ公式サイトからダウンロードできる申請書が必要です。
被保険者に生計を維持してもらっていた人がいない場合には、実際に埋葬や葬儀を執り行った人に「埋葬費」が支給されます。
埋葬費は埋葬料と違い、埋葬・葬儀を実際に行ったことが支給条件になります。ですから、葬儀の領収書や費用明細書が必要です。
埋葬にかかった費用として認められるのは以下の費用です(協会けんぽの場合)。
- 霊柩車代
- 霊柩運搬代
- 霊前供物代
- 火葬料
- お坊さんへの謝礼
葬儀費用の全国平均は約200万円!形式により相場は異なる
葬儀費用がない人のなかには「そもそも必要な葬儀費用がいくらなのかも、よく分からない」という人もいるのではないでしょうか。
用意すべき金額がわからないと、不安も大きくなってしまいますよね。
一般社団法人 日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」報告書によると、2017年1月現在、葬儀費用の全国平均は195.7万円。
葬儀に必要な各費用の相場は、次のとおりです。
費用 | 相場 |
---|---|
通夜からの飲食接待費 | 約34万円 |
僧侶へ支払う謝礼※ | 約45万円 |
葬儀一式費用(プランごとの費用) | 約122万円 |
ただし、この数字はあくまで平均。葬儀の場所や宗教などによって、葬儀費用は異なります。
しかし故人の希望によっては、葬儀の形式で費用を抑えることも可能です。次の項目で詳しく見ていきましょう。
葬儀費用は形式によって違う!故人の希望を尊重しつつ検討しよう
葬儀の形式には、基本的に次の5種類があります。
葬儀 | 内容 |
---|---|
一般葬 | 職場の人や友人なども参列する |
家族葬 | 近親者だけで葬儀を行なう |
自宅葬 | 故人の自宅で葬儀を行なう |
一日葬 | お通夜なしで、告別式から火葬までを1日で行なう |
直葬 | 基本的に火葬のみを行なう |
では形式によって、葬儀費用にどれくらい差が生じるのでしょうか。葬儀社によっても料金は異なりますが、ここではイオンライフ株式会社の葬儀プランを例に見てみましょう。
葬儀 | 費用 |
---|---|
一般葬 | 655,000円(税込) |
家族葬 | 460,000円(税込) |
一日葬 | 325,000円(税込) |
直葬 | 129,000円~(税込) |
これらの葬儀プラン料金に、料理や返礼品、本位牌、四十九日など必要なサービスを追加した合計金額が「葬儀費用」となります。
一日葬や直葬は、一般葬にくらべて小規模なため葬儀費用も安いです。
しかし次のような場合、追加料金や負担額が増え葬儀費用が高くなる可能性もあります。
- 香典の辞退
- 参列者数が多い
- 霊柩車の移動距離が長い
- 参列できなかった知人が各々訪問してくるので、対応が大変
- 死亡したことを知人に知らせなかったことで、トラブルになりやすい
故人の希望を尊重しながら、葬儀会社と相談して決めましょう。
葬儀費用の支払い方法【クレジットやローン支払いも可能】
葬儀費用は現金の手渡し、または一括振り込みで支払うのが一般的です。
また多くの場合、支払いは葬儀が終了してから約1週間のあいだに行います。葬儀会社によっては、依頼する際に一部費用の支払いを請求される場合も。
「葬儀用の現金をすぐに用意するのは難しい」という場合は、現金以外の支払い方法が可能な葬儀社を利用するのも対処法のひとつです。
「故人が亡くなる前に、葬式をする予定の葬儀社を決めていた」という人は、その葬儀社で利用可能な支払い方法を確認してみましょう。
それぞれの支払い方法について説明します。
葬儀費用がないならローンで分割払いも検討する
先ほども説明したように、葬儀費用の全国平均は約200万円。これを一括払いするのは難しい人も多いですよね。その場合は、ローンで葬儀費用を借りるのがおすすめです。
葬儀社で取り扱っている葬儀ローンを支払い方法として勧められることもありますが、必ずしも低金利とは限りません。
申し込む前にフリーローンやカードローンとも金利比較しておくと、より低金利でお得に葬儀費用を用意できます。
とくに信金やろうきんのフリーローンは全国的に金利が安いので、葬儀ローンとよく比較してから申し込みましょう。
分割払いは毎月の負担が減りますが、「利息がつく」というデメリットもあります。低金利なローンを選び、総返済額が高くならないよう注意が必要です。
クレジットカードで葬儀費用を払える葬儀会社もある
「今すぐ支払える葬儀費用がない」という人は、クレジットカードでの支払いを検討してみましょう。
足りない葬儀費用の金額によっては、クレジットカードの引落とし日までに葬儀費用を全額用意できる可能性もあります。分割払いにすれば、支払いの負担を減らすことも可能です。
支払い日によってはコンビニ後払い決済
「コンビニ後払い決済」に対応している会社もあり、葬儀終了後に請求書が届き、支払い期日までに多少時間ができます。
葬儀社と提携して葬儀を行なう会社「株式会社よりそう」の「よりそうお葬式」コンビニ決済を例に見てみましょう。
支払い期限 | 請求書が発送されてから14日以内 |
---|---|
利用限度額 | 累計残高で330,000円(税込)※ |
手数料 | 12,800円(税込) |
プラン料金が利用限度額を超える場合は、コンビニ決済を利用できません。葬儀プランの料金が安い人におすすめです。
故人の預金や死亡保険金で葬儀費用を払うのは難しい
「故人の預金や死亡保険金を、葬儀費用として使えるのでは」と思う人もいますが、これらのお金をすぐに使うことはできません。
その理由を見ていきましょう。
故人の預金口座は凍結され、引き出すのに時間がかかる
預金口座は、名義人の死亡により凍結されます。これは金融機関で義務付けられていることです。
凍結された預金口座からお金を引き出すのが難しいのには、次のような理由があります。
- 相続人全員の同意が必要
- 手続きに時間がかかる
また故人の預金口座からお金を引き出す際は、次の書類を提出する必要があります。
- 戸籍謄本(※1)
- 除籍謄本(相続人全員分)
- 改製原戸籍等(相続人全員分)
- 印鑑証明書(相続人全員分)
- 払戻請求書(※2)
- 遺産分割協議書
※2:相続人全員分の署名・実印が必要
死亡保険金は即日受取できる可能性が低い
故人の預金と同じく、故人の死亡保険金もすぐには受け取れません。
死亡保険金が支払われるのは、保険会社(本社)に請求書類が届いた日の翌日から5~7日。
しかし、さらに日数がかかってしまう場合もあるため、葬儀費用の支払い日に間に合わなくなる恐れがあるんです。
もし故人が入っていた生命保険で即日支払いができるか、確認してみてください。
生計を支えていた夫が亡くなったら遺族年金をもらおう
家計を支えていた人(夫)が亡くなってしまった場合、その配偶者(妻)には遺族年金や寡婦年金が支給されます。
故人の加入年金が国民年金だった場合にはこうなります。
もらえる年金(期間) | 条件 |
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遺族基礎年金 (子どもが18歳になるまで) | 18歳までの子どもがいる |
寡婦年金 (妻60~64歳まで) |
|
厚生年金の場合はこうなっています。
もらえる年金(期間) | 条件 |
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遺族基礎年金+遺族厚生年金 (子どもが18歳になる年度末まで) | 18歳以下の子どもがいる(1) |
遺族厚生年金+中高齢寡婦加算 (妻が65歳になるまで) |
|
遺族厚生年金 | (1)(2)以外 |
年金がもらえるのは、夫が保険料をきちんと納めていたことが前提です。未納の期間が長いと、年金がもらえないことがあります。
遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金でもらえる金額
遺族年金の金額はこのようになっています。
遺族基礎年金 | 年額781,700円(2020年4月以前は780,100円)+子どもの数による加算 子ども2人まで各224,900円(2020年4月以前は224,500円) 子ども3人目から各75,000円(2020年4月以前は74,800円) |
---|---|
寡婦年金 | 夫が受け取れたはずの老齢年金の4分の3 |
遺族厚生年金 | (平均標準報酬月額が35万円の場合) 年額561,106円 |
中高齢寡婦加算 | 年額585,100円 |
遺族厚生年金の計算式は以下のようにとても複雑です。ですので、ここでは平均的な給与の額が35万円だった場合の金額を出してみました。
(平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの被保険者期間(月数)+
平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月からの被保険者期間(月数))×3/4
再婚したら遺族年金の受給はストップ!事実婚でも受給不可
遺族年金を受け取っていた妻が再婚したら、遺族年金の受給資格はなくなります。
籍を入れようが入れまいが関係なくて、事実婚状態で同棲しているなど、新しいパートナーと生計が同一だと考えられる場合には受給資格を失います。
受給資格を失ったら、できるだけ早く日本年金機構に「遺族年金失権届」を提出してください。
ただ再婚した妻が受給資格を失っても、子どもが受給要件を満たしている場合、子どもは年金を受給できます。
遺族基礎年金・寡婦年金を受け取れないときは死亡一時金
自営業者の妻で、18歳以下の子どもがいない場合、条件を満たせば寡婦年金を受け取ることができます。
夫が保険料支払期間の条件などを満たしていなかったら、寡婦年金はもらえませんが、以下の条件に当てはまれば死亡一時金を受け取れます。
- 夫が国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上
- 夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けずに亡くなった
- 妻は夫と生計を同じくしていた
死亡一時金はその名のとおり、年金形式ではなくて1回お金を受け取っておしまいです。金額は保険料を払っていた期間によって違います。
保険料納付期間 | 死亡一時金の金額 |
---|---|
36~180月未満 | 12万円 |
180~240月未満 | 14万5千円 |
240~300月未満 | 17万円 |
300~360月未満 | 22万円 |
360~420月未満 | 27万円 |
420月以上 | 32万円 |
なお、寡婦年金と死亡一時金をもらえる条件をどちらも満たしている場合には、どちらかを選択することになります。
自分がどの年金をもらえるのか判断できない場合は、年金手帳などを持参し、年金事務所や年金相談センターで聞いてみましょう。
ひとり親家庭になってしまったら児童扶養手当を申請
生計を支えていた夫が亡くなり、まだ小さい子どもを抱えて途方に暮れる・・・そんなお母さんもいらっしゃるでしょう。ひとり親家庭になってしまったら、児童扶養手当を申請してください。
児童扶養手当は、18歳以下の子どもを育てている母子家庭・父子家庭に支給されます。
以前は遺族年金などの公的年金を受給できるときは児童扶養手当はもらえなかったんですが、2014年12月からは、児童扶養手当の額が年金額を上回ったら差額が支給されるようにになりました。
児童扶養手当でもらえる金額は子ども1人なら最大月43,160円
児童扶養手当としてもらえる金額はこのようになっています。
子ども | 全部支給 | 一部支給 |
---|---|---|
1人目 | 43,160円 | 43,150円~10,180円 |
2人目(加算) | 10,190円 | 10,180円~5,100円 |
3人目以降(加算) | 6,110円 | ~36,100円~3,060円 |
親の所得に応じてもらえる額が変わり、全部支給されるのは親の前年所得が49万円未満(扶養親族等が0人の場合)の時です。
一部支給の所得制限の限度額は192万円なので、前年所得が192万円以上の場合は児童扶養手当はもらえません。
自治体によっては児童扶養手当に追加して手当を支給
児童扶養手当に追加して、ひとり親世帯への経済支援を行っている自治体もあります。
例えば愛知県では「愛知県遺児手当」、名古屋市は「ひとり親家庭手当」制度を用意していて、児童扶養手当と同時に受給できます。
他にも、東京の武蔵野市ではひとり親家庭を対象に民間賃貸住宅の家賃を補助する制度もあります。
ぜひ、住んでいる自治体に独自の制度がないかを調べてみましょう。
失業保険受給中の人が亡くなったら遺族が代わりに受け取れる
失業保険を受給中だった家族が亡くなったら、まだ支給されていない失業手当(亡くなる前日までの分)を遺族が代わりに受け取ることができます。
職業訓練給付や育児休業給付など、失業保険以外の雇用保険からの給付を受けていた人が亡くなった場合も同様です。
ただし遺族だったら誰でもいいというわけではなくて、亡くなった人と生計を同じくしていたことが条件で、条件を満たす遺族が複数いる場合は受け取る順番にも優先順位があります。
代わりに受け取れる人と、申請の手続きについて説明します。
配偶者、子供、親の順で未支給失業等給付を受け取れる
亡くなった人がまだ受給していなかった基本手当(未支給失業等給付)を受給できるのは、亡くなった人と生計を同じくしていた遺族です。
そんな遺族の中でも、未支給失業等給付を受け取るには優先順位があります。この中の1人だけが代わりに失業手当を受け取ることができます。優先順位は雇用保険法第三十一条で定められており、次のとおりになります。
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
未支給失業等給付の申請手続きはハローワークで
手続きは、本人が死亡した翌日から6ヵ月以内に、ハローワークで行います。
必要書類はこうなっています。
- 未支給失業等給付請求書
- 受給資格者証
- 死亡診断書
- 戸籍謄本
- 住民票謄本
- 失業認定申告書(本人が生前に提出済みなら不要)
職業訓練給付なら失業認定申告書の代わりに「教育訓練給付金支給申請書」などが必要になります。
亡くなる前に医療費が多くかかっていたら高額療養費の請求
がんなどで辛い闘病の末に亡くなった場合などは、亡くなる直前の医療費が高額になっているでしょう。その場合は、亡くなった本人に代わって遺族が高額療養費の請求を行うことができます。
そもそも高額療養費とは?高額になった医療費が返金される制度
そもそも高額療養費制度についてご存じない人もいるかもしれませんね。
例えば70歳未満で年収約370万円以下なら1ヵ月の医療費の上限は57,600円、住民税非課税なら35,400円と決まっています。
70歳以上になるとちょっと計算や考え方がややこしいのですが、一般所得者(窓口負担1割で、住民税非課税ではない人)の場合には、通院(外来)にかかる自己負担額は1ヵ月18,000円(年間では144,000円)が上限です。
さらに、外来(個人ごと)の限度額以下の部分と入院費用を世帯で合計した金額は57,600円が1ヵ月の上限です。
この1ヵ月の上限額を超えて医療費がかかった場合には、払い過ぎた医療費を返金してもらうことができます。
遺族が高額療養費の払い戻しを請求する手続き
亡くなった家族の医療費について高額療養費制度での払い戻しを受けたい場合は、健康保険の窓口で手続きをします。
社会保険なら、会社の人事部など健康保険担当の部署、あるいは協会けんぽが窓口になります。国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合には、窓口は市区町村です。
市役所の担当部署から医療費が高額になった月の2ヵ月後くらいに通知が来るはずです。
申請の手続きの期限は2年ですが、領収書などの必要書類をなくさないうちに早めに申請するのがおすすめです。
必要な書類は自治体によって変わってきますが、このような書類が必要になります。
- 高額療養費支給申請書
- 病院の領収書
- 保険証(被保険者証)
- 印鑑
- 申請する人の銀行口座が確認できるもの
- 亡くなった人との関係がわかる戸籍謄本など
なお、高額療養費の払い戻しは本来本人が受け取るはずだったお金なので、遺族が「相続する」という扱いになります。
家族が亡くなったときにもらえる公的なお金は多い
家族が亡くなったときに、自治体や国などの公的な制度からもらえるお金についてご説明してきました。
自分で申請しないともらえないので、忘れずに手続きするようにしましょう。
年金や児童扶養手当などは「わかりにくい」「複雑そう」と思ってしまいがちですが、生活を助けてくれる大切なもの。年金事務所や市役所の担当部署で聞けば手続き方法を教えてくれるので、できるだけ早く申請してください。
また公的制度とは違いますが、会社に勤めている人、特に大企業に勤めている人の場合は、会社独自の共済会や労働組合から「慶弔見舞金」などの名目で家族の死亡に際してお金がもらえることがあります。
中には10万円とか20万円といった金額を支給してくれるところもあるので、勤務先の制度もしっかり確認しておきましょうね。