北海道新幹線が開業したタイミングを捉え、函館、青森、弘前、八戸の4都市が旅客誘致で手を組む。この4都市を「青函圏」という言葉でくくり、同エリアを周遊する旅を打ち出してエリア全体で集客を図る。北国の桜が見ごろを迎えるゴールデンウィークを前に、絶妙なタイミングで立ち上がるキャンペーンの効果は。

観光客10%増に向けて

函館市と青森市の間では、津軽海峡を隔てながらも古くから交流があり、青函トンネル開通から1年後の1989年には、「ツインシティ(双子都市)提携」を締結して経済、観光、文化などの関係を深めてきた経緯がある。新幹線開通のタイミングを捉えた今回のキャンペーン「青函圏周遊博」では、東北新幹線沿線の八戸市と、新青森駅から特急電車で25分の弘前市を巻き込み、青函圏の回遊を前面に打ち出した旅客誘致を進める。

青函圏周遊博のアンバサダーに就任した石原良純氏。北海道新幹線の開通は、首都圏と函館を線で結ぶだけでなく、函館、青森、弘前、八戸という魅力ある都市群を面として打ち出すチャンスだと青函圏周遊の可能性に期待を示した。気象予報士としての顔も持つ同氏によると、東北の桜前線は順調に北上しているそうだ

キャンペーンの内容としては、まず4都市を網羅するモニターツアーを実施し、その様子を「東京ウォーカー首都圏版」で報告記事として紹介する。5月には旅行会社に働きかけて、4市を周遊する旅行商品の造成を図る。エリア内の飲食店、宿泊施設、観光施設などで使えるクーポンも発行する。

青函圏の旅行者数は2013年度で約2,100万人。周遊博の実施などを通じ、この数字を8~10%程度伸ばしたいというのが4市の目標だ。

函館を巻き込み観光客の獲得を目指す青森県

北海道新幹線の話題では、首都圏~函館間のアクセス向上について語られることが多いが、価格と所要時間を考えると、同区間における航空機の優位性は依然として高そう。新幹線開通の恩恵を享受できるのは、むしろ津軽海峡を抱える青函圏の各都市だという気がする。

北海道新幹線の開業により、青函圏周遊の利便性が高まった(画像提供:青函圏観光都市会議)

青函トンネルを通る特急電車だと、青森市~函館市間は約2時間の行程だった。新幹線は新青森駅と新函館北斗駅を約1時間で結ぶ。青森県側の3都市にとってみれば、今が函館を巻き込んだ旅行プランを打ち出す絶好のチャンスといえる。