観光キャンペーンの注目は八戸市?
北海道新幹線の開通により、最も大きな恩恵を受けるのは八戸市かもしれない。青函圏周遊博の発表会に登壇した八戸市の小林眞市長によると、産業都市・水産都市としての顔を持つ同市は、市外から流入する人の数こそ多いものの、訪問者は大半が仕事目的で、市としても観光客の誘致には積極的に取り組んでこなかった経緯があるという。
青函圏周遊博を通じて、八戸市では観光資源の掘り起しが進む可能性がある。青森県は全部で3つの国宝を有するが、その全てが八戸市に集まっていることを考えてみても、同市には観光地としての伸びしろが多分に残されているような印象を受ける。
見逃せないインバウンドの動向
青函圏では外国人旅行者の動きも活発化する見通し。韓国、中国、台湾との直行便が就航する函館空港が玄関口として機能すれば、青森県側でも外国人旅行者の流入が期待できる。
函館市では外国人旅行者が増えており、外国人宿泊客数は2009年度の12.7万人が2014年度には約35万人まで拡大している。2015年度の集計結果は出ていないが、函館市では50万人程度まで増加したという手応えを得ているとのこと。函館を訪れる外国人旅行者が、青森方面を旅程に組み込むかどうかに注目したいところだ。函館空港と同様に、韓国、中国、台湾との直行便が就航している仙台空港が、青函圏を含む東北地方の南の玄関としての役割を果たすことも考えられる。
北海道新幹線の開業に合わせて、北海道旅客鉄道(JR北海道)と東日本旅客鉄道(JR東日本)が用意した外国人旅行者向け商品も、インバウンド獲得を狙う青函圏にとっては追い風だ。新幹線と特急電車を含め、両社エリア内なら乗り放題となるフリーパス「Jr East-South Hokkaido Rail Pass」は、外国籍の利用者だけが購入できる。利用期間は6日間で、海外で購入する場合は大人(12歳以上)1枚2万6,000円と割安感がある。寄り道が多くなる鉄道の周遊旅行には最適な商品だ。
国内外からの観光客の玄関口となる函館市が近くなったことで、青森県側の3都市は多くの恩恵を受けることができそうだ。では、青函圏周遊を打ち出すことにより、函館市が得られるメリットとはなんだろうか。