2015年11月21日より公開中の劇場アニメ『ガールズ&パンツァー 劇場版』の累計興行収入が9億円を突破したことが明らかになった。

渕上舞(左)、杉山潔プロデューサー

『ガールズ&パンツァー』は、戦車を使った武道"戦車道"が華道や茶道と並んで大和撫子のたしなみとされている架空の世界を舞台とした作品。劇場アニメでは、学校の存続を懸けた第63回戦車道全国高校生大会を優勝で終えた主人公たちが立ち向かうことになる新たな戦いが描かれている。

公開から55日が経過した1月14日には、公開館数91館で累計動員62万2610人、累計興行収入9億961万5824円を記録した本作。ヒットを受け、1月8日には『ガールズ&パンツァー 劇場版』大ヒット御礼&「明けましておめでとうございます!」舞台あいさつが行われ、西住みほ役の声優・渕上舞と杉山潔プロデューサーがイベントに参加した。

渕上は年末に地元に帰省した際に弟から「ガルパンはいいぞ」というワードがSNSで流行していることを聞かされ、ヒットを実感したという。杉山プロデューサーは数字の大きさに「ピンとこない」としながらも、「上映館が二桁ながら、公開6週目にして映画の動員ランキングの10位までに返り咲くことができたのはうれしかったですね。何度も見てくれている方に加えて、最近は新規のお客さんも増えている」と喜びを語った。

ディテールまで精密に再現された兵器と迫力の戦闘シーンが話題となっている本作。当日読み上げられた、制作を担当したアクタスの丸山俊平氏の解説によると、「とにかく大変だったのが最終決戦の遊園地の中央広場です。中央広場の概要を作って、遊具や周辺の設定を一つ一つ作り、それらを全てモデリングしながら貼りこみの美術テクスチャーを作り、バランスを見ながら配置していきました。その上であのモーションを付けているので、とにかく膨大な手間暇がかかっています」と力作ぶりがうかがえる。さらに、「ワンカットで大変だったのが、空撮からみほに至る大洗チーム前進のカット。あれは直前にマチルダII歩兵戦車が2両いることが判明し、ギリギリで修正が間に合ったカットです」と裏話も披露された。

同シーンについて杉山プロデューサーから「1回のモーション付けで動かせるのが5・6両で、この場面は8セクションほどに分けて合成している。草原で草までモデリングしてみほまでカメラが寄っていくため、レンダリングだけで数日、完成までに30~40日がかかっています」と補足がされると、作品にこめられた熱量に客席からは感心のため息がもれた。

一方の渕上はエンディングでみほと姉のまほが会話をするシーンを挙げ、「台本にはセリフがなかったけど、どんなことを話していたんだろう?」と気になったという。それについては水島努監督から回答が寄せられ、「みなさんのご想像にお任せします。ただ、『久しぶりに一緒に試合できて楽しかった』といったハートフルな会話ではないか」と説明。渕上が「表情を見るに、まほが『もうそろそろ戻ってこないか』と話し、みほは『ありがとう。でも、私はもうちょっと大洗で頑張る』といった会話があったように感じました」と想像をふくらませると、杉山プロデューサーが「見た人によって違っていい。余韻が残るから、はっきりしなくていいんです」とコメントした。

(C)GIRLS und PANZER Film projekt