2016年、年の初めに1年の貯蓄プランを立てていますか? 2017年4月には消費税が10%に引き上げられ、家計負担は重くなります。そのためには、今年1年、しっかりとした家計と貯蓄プランを立てておくことが大切です。

昨年1年間でいくら貯蓄できたかをチェック

何事も振り返り、反省することは反省する。できたことは自分を褒める。これが大事です。今年1年の貯蓄プランを立てる前に、昨年の家計と貯蓄の実態を把握しておきましょう。意外に、家計簿を毎月つけていても、年間の締めをしない家庭も多いのです。

特に、水道光熱費や食費など、変動要素のある費目については、節約を心がけているつもりでも、年間を通してみると、使いすぎの月が明確になり、その原因はなんだったのか振り返ることで、今年の家計管理に役立てることができます。

また、貯蓄についても、毎月、給与天引きなどで先取りの積み立て貯蓄をしている人は、あらためて1年間でいくら貯められたのか、ボーナスでの貯蓄はいくらできたのか、年間での貯蓄はいくらだったのかを、書き出してみましょう。複数の貯蓄口座を使い分けている場合は、合計してみると、「自分はがんばった!」という達成感を得ることができます。この達成感が次につながるのです。

逆に、1年で50万円貯めよう、100万円貯めよう! と計画していたにも関わらず、未達成に終わっていたとしたら、どこに原因があったのか、家計の赤字分を貯蓄から取り崩していなかったのか、冷静に見ておく必要があります。ムリな計画であったなら、今年は貯蓄額を減らして、必ず達成できる貯蓄プランを立てることが重要です。

昨年の計画がムリなものであったなら、今年は貯蓄額を減らして、必ず達成できる貯蓄プランを立てることが重要です

毎月とボーナス時のお金の使い方を見直してみる

貯蓄プランを立てる際に、1年でいくら貯める、5年後にいくら必要などといろいろなやり方があります。現在、貯蓄がゼロ、もしくは100万円以下、という人は、最初に大きな目標を立てずに、小さな額からスタートしましょう。貯蓄は継続が一番大事。毎月1000円、5000円でも構わないので、ムリなく続けられる金額ではじめましょう。

現在、ある程度貯蓄グセがついている人なら、昨年の振り返りを元に、現在のペースで続けるのか、増額するのか、減額するのかを決めましょう。ここで大事なのは、途中で計画変更してもOKと自分に言い聞かせることです。

ボーナスも増えたし、「毎月の貯蓄額を増やそう!」と思っていても、次のボーナスがどうなるかはわかりません。あくまでも、毎月の貯蓄額は家計に無理のない金額に設定し、ボーナスでの増額は、臨時貯蓄と考えて、そのときに増額する、という余裕を持ったプランでいいのです。

ただし、これまでボーナスで毎月の赤字分を補てんしていた、という場合は、まずは家計の立て直しが先決です。せっかくのボーナスが借金返済に回ってしまっては、生活の潤いがなくなってしまいます。毎月赤字がでるなら、毎月の貯蓄額をいったんは減らして、ムリなく生活できるレベルを把握することです。

無理があれば、時間を味方につけて、目標達成時期をずらす

目標額に達しなかった、今年は貯蓄額を減らさないとやっていけないという人もいるでしょう。そうした場合でも、自分を責めてはいけません。長い人生、貯められる時期と貯められない時期があります。今は貯められない時期だと自覚して、家計が破たんしないように注意することが大事。

1年で達成できなくても、1年半、2年と目標達成時期をずらしてもいいのです。住宅購入の頭金などが典型ですが、目標に達成できていないのに、消費税が上がる前にマイホームを買いたい! となると、借入の住宅ローン額が増えてしまいます。無理な返済が30年、35年続くことを考えれば、少し待って、きちんと頭金ができてからマイホーム購入するほうが、ずっと賢いやり方です。

子どもの教育資金も同じで、学資保険やこども保険などで毎月積立をしているなら、まずは継続することです。この先、教育費の高額化に備えて、少しでも多く準備したい気持ちも理解できますが、10年、15年先のために今の生活が崩れてしまっては、元も子もありません。子育てなどでフルタイム仕事につけていない人も、あと3年、5年すればもっと働けるようになり、その分、教育費に回せる可能性もあるのです。

貯蓄プランは、1年だけで終わるものではありません。3年後、5年後、10年後。どういう資金がいくら必要なのかを考えて、毎年調整をしていけばいいのです。焦らず、継続できるプランをぜひ考えてみてください。

<著者プロフィール>

伊藤加奈子

マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。