私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。

そして、1000万円貯蓄を達成した人たちに共通して言えることがあるとしたら、彼らは絶対的に"おうちごはん"派です。なぜなら、外食は手間と時間がかからずに便利な分、割高だということを知っているからです。外食三昧ではお金は貯まりません。"おうちごはん"は、1000万円貯蓄達成への黄金道なのです。

食費を安く抑えてこそ、"おうちごはん"の意味あり!

1000万円貯蓄を目標に、出費を減らすために"おうちごはん"を実行しているにもかかわらず、食費がかさんでしまっては元も子もありません。食材を買って自炊するよりも、お惣菜やお弁当を買ったり、外食した方が安上がりでは、残念な結果になってしまいます。"おうちごはん"の肝は、食費を抑えることにあります。

スーパーの滞在時間が長い人はムダ買いしがち

お店側は、お客さんに買わせるプロですから、あの手この手で買わせようとします。思わず手が伸びるようにディスプレイを工夫したり、「本日限り」「数量限定」などのキャッチコピーで消費者の買い物欲求を刺激します。その状況の中に長時間いればいるほど、つい余計なモノを買ってしまうハメになるので、長居は無用。

スーパーの滞在時間を必要最小限にするのに一番効果的なのが「買い物メモ」。食費が高い人ほど、なんの事前準備もなくフラリと買い物に行く人が多いものです。「買い物はスーパーとの戦い!」と思って挑むくらいの心構えが必要です。

買い物前には、冷蔵庫の在庫を見て、補充すべき食材をザッとメモします。献立を考えて、必要な食材をメモするのがベストですが、そこまでできなくても、牛乳、ヨーグルト、にんじん、玉ねぎ、じゃがいも……などの定番食材の補充リストを作るだけでも、スーパーでの滞在時間を短くする効果があります。

スーパーに長居は無用!?

スーパーは外周だけ周り、中の通路をウロつかない

野菜、肉、魚、乳製品、パン、豆腐……など毎日のごはんに必要なモノは、スーパーの外周に置いてあります。つまり、外周を一周すれば、必要な買い物は終了するということ。中の通路には、お菓子、便利な○○の素、新製品のドレッシングや調味料などが並んでいます。ここは、ムダ買いの「誘惑ゾーン」だと思って、近づかないこと。切らした調味料を買うときは、買い物メモを作成して、それだけを買ったら、中の通路からは早々に引き上げることが賢明です。

今、冷蔵庫に卵がいくつ残っているか…答えられますか?

答えられない人は、冷蔵庫の在庫管理ができていない人。冷凍室でお肉が冷凍化石化していたり、野菜室できゅうりが溶けている可能性があります。「食材を捨てることはお金を捨てること」と肝に命じましょう。

在庫管理が苦手な人は、買い過ぎの傾向があるので、「今日は買い物に行こう」というとき、あと1日、踏ん張ってみるのがオススメ。「冷蔵庫の中が空っぽ」と思っても、何かあるものです。ハンパに残ったお肉と残り物野菜の炒め物でもOK。冷蔵庫内の整理にもなって、一石二鳥です。

<著者プロフィール>

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。