――チェイスの衣装についての印象はいかがですか? ロイミュード側から人間側についたことで、衣装もヒーローっぽく変わるかと思われましたが、変化はなかったですね。

実は僕も、仮面ライダーになったことで衣装が変わるのかな? なんて、ちょっと期待はしていたんですけれど、そのままでした(笑)。あの衣装は風を通さない材質で、今の季節はほんとうにキツいんですが、チェイスとしては決して「暑い」という感情を表に出さずに演技しています。

――敵味方の間で揺れ動きながらも、生真面目な性格の部分が決してブレないチェイスは、子供たちからの人気も高いとうかがっています。外を歩いていると、子供たちに気づかれたりすることってありますか。

たまにありますね。この前、電車に乗ろうとしていたとき、お子さんを連れているお母さんが「チェイス!」と叫んで、その声につい振り向いてしまった(笑)。「うちの子が大好きで……」みたいに声かけてもらいました。やっぱり、そうやって応援してくださる子供たちを見ると、本当にうれしいですね。

――さて、いよいよ夏の映画『サプライズ・フューチャー』が公開されますが、完成した映画をご覧になった感想はいかがでしたか。

とにかく仮面ライダーがカッコよく、他のキャラクターもそれぞれ魅力的に描かれている映画です。特に、進ノ介とベルトさん(クリム・スタインベルト)との関係性、心のつながりの部分がしっかり描かれていたのがとてもいいですね。彼らのやりとりを観て、何度か泣きそうになりました。あの二人がもう、親子にしか見えなくてね。お互いに軽口を叩きあっている感じとかも……。うまく言い表せないですが、胸のあたりが熱くなるような思いを抱きました。

――チェイスは進ノ介を助けて強敵に立ち向かい、壮絶な戦いを繰り広げますね。

進ノ介にベルト(マッハドライバー炎)を託すシーンでは衣装を一着ダメにしているんですよ。チェイスの見どころとしては、進ノ介を助けて身体を張るという熱いシーンがまずひとつ。敵にやられてボロボロになったチェイスから受け取ったベルトが、後半の鍵になっていくところ、がふたつ目ですね。他には、ロイミュードの本拠地にたった一人で乗り込んでいくシーンは、テレビでもなかなかない場面なので、ぜひご覧いただきたいです。ハートがテレビ第2話と同じ台詞「心当たりがないでもない」を言ったりするので、最初からTVシリーズを観ている人にとっては、胸が熱くなりますよ。

――名台詞と言えば、チェイスには「もう一度、やり直せ」(第3話)とか「誰も聞かなかったからだ」(第30話)、「本は静かに読むのが人間のルールではないのか」(第10話)など、印象的な一言がとても多いですね。

ああーたびたびありましたね、ヘンな台詞が(笑)。ああいう台詞を素の状態で話せば、ふざけているのか? って思われかねないですよね。あのチェイスが真面目に言うから面白く聞こえるんだと思います。こいつ本気で言ってるんだな……とちゃんとわかりますから。

――TVシリーズの方もいよいよクライマックスを迎えようとしている時期ですが、一年間近くチェイスというキャラクターを演じられてきた、ご感想を聞かせてください。

この一年間を振り返ると、簡単な言葉になりますが全部がよかったです。これまで、ブレンに操られたり、自分の存在意義を見い出せずに悩んだりしたことなど、すべての出来事がチェイスの糧になっている。そんな苦難を乗り越えた上で、人間を守る仮面ライダーでありつづけようと決意をするんです。ここまで、ひとつの役を育てていただける機会は他の現場ではなかなかないです。一年間という長いスパンで、チェイスの葛藤や成長をじっくりと演じることができました。