仮面ライダーゼロノスと桜井侑斗が帰ってきた――3月に公開された特撮映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』が復帰第一作、一度は芸能界の引退を発表した俳優・中村優一のカムバックは、彼のファンはもちろん、かつて『仮面ライダー電王』を観ていたライダーファンにとって、これ以上ない嬉しいニュースだった。

現在公開中の『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』より

3月に行われた本作の舞台あいさつでは、「心の底から愛している仮面ライダーゼロノス、桜井侑斗をまた演じることができて、本当に幸せに思います」と涙ながらに語った中村。ライダーを演じた多くの俳優がそうであるように、彼もまた"ライダー愛"を強く持つ俳優の1人だった。特に今春の「スーパーヒーロー大戦」は、仮面ライダー3号/黒井響一郎役の及川光博をはじめ、南光太郎/仮面ライダーBLACK/RX役の倉田てつを、仮面ライダー555/乾巧役の半田健人、そして現行のライダーを演じる竹内涼馬と稲葉友――類まれな"ライダー愛"を持った役者が集結した作品、といってもいいだろう。

そうして公開された本作、あるいは後日譚となる『dビデオスペシャル 仮面ライダー4号』で再び仮面ライダーゼロノス/桜井侑斗を演じた中村は、何を想い、何を感じたのか。今回は本作への出演はもちろん、『仮面ライダー電王』当時の野上良太郎役・佐藤健とのエピソード、桜井侑斗やかけがえのない相棒・デネブというキャラクター、そして俳優業の再開まで話を聞いた。

桜井侑斗/仮面ライダーゼロノスを演じた中村優一
撮影:大塚素久(SYASYA)

――まずは俳優業の再開、そしてゼロノスの復活おめでとうございます。中村さんのファンはもちろん、当時『仮面ライダー電王』を観ていたかつての子供たちやライダーファン、皆さんが待ち望んでいたことだと思います。

ありがとうございます! また『電王』の桜井侑斗/仮面ライダーゼロノスという役を演じることができて本当に幸せです。

――『電王』当時から考えると約8年。再び侑斗/ゼロノスを演じることは、中村さんの頭の中のどこかにあったのでしょうか?

桜井侑斗と「仮面ライダーゼロノス」という役に思い入れが強いのはもちろん、「仮面ライダー」という作品自体が本当に大好きなので、願望としてはありました。ただ、現行作品は『仮面ライダードライブ』であり、『電王』当時も主役ではなく2号ライダーでしたから。可能性は低いと思っていたので、今回のオファーは本当にうれしかったですね。

――今回の映画では、侑斗/ゼロノスの出番は予想よりもかなり多く、『電王』当時の侑斗の立ち位置と同様、最初は物語を外から見ながらも、一気に物語の中心に入り込んでいきます。

出番は多いですね(笑)。本編に登場する大体のキャラクターに絡んでいて、物語の本筋にも深く入り込んでいます。最初の登場シーンで"物陰から見ている"というのは、すごく侑斗っぽい。当時も物陰からこっそり見ていたし(笑)、『電王』のオマージュのような感じもします。

ただ、『電王』当時のツンツンしていた侑斗と比較すると、今回の侑斗は、意外にも正統派ヒーローというか、真っ直ぐです。最初に脚本を読んだ時、3号もギャレンもそうですが、敵か味方か判断しづらい立ち位置だったので、侑斗はどっちなのかなと。物陰から見ているシーンも含め、少し敵側に寄せた役作りも考えていましたが、柴崎貴行監督が「最初から味方側で」とおっしゃっていたので、素直にヒーローを演じることができました。

――確かに。序盤は泊進之介/仮面ライダードライブでさえ、自分の立場に迷いがありますね。

ドライブは最初ショッカー側でしたよね(笑)。今回の侑斗は、終始ブレないキャラクターですが、終盤のレースシーンが特に面白いんです。レースに出ないのはいいとしても、ヒロインの詩島霧子の隣で一緒に捕まっているという(笑)。全力でレースをしている他のライダーと捕まっている侑斗の対比が、状況的にコミカルだけど必死で。ヒロイックな侑斗と終盤のレースシーンが特に見どころですね(笑)。