京浜急行沿線は、懐かしい雰囲気漂うノスタルジックな駅が多い。旧東海道にほど近い、神奈川県横浜市にある鶴見市場駅もそのうちのひとつ。駅近くの商店街をぷらぷら歩いていると、どこからか香ばしい焼き鳥の香りが……。香りに誘われて入った「大衆酒場 かねイシ」だが、ここでマストなメニューはなんとおにぎりなのだ。

「大衆酒場 かねイシ」の「おにぎり」(400円) 。具は梅、鮭、おかかの3種から選べる

思わずおにぎりを二度見

突然だが、筆者から質問したい。たらふく飲み、食べたあとのシメに、おにぎりを頼むとする。そこで出てきたおにぎりが、メロンくらいのどデカいおにぎりだとしたらどう思うだろうか。「冗談じゃない、最後にこんなに食べられるわけないじゃないか! 」と、酔った勢いで怒り出す人もいるのではないだろうか。

「いやいやそんな、今まで怒った人なんていませんよ。みなさん笑顔で」と話すのは「かねイシ」の石田淳店長。同店のおにぎりはとにかく大きいことで有名なのだ。もともと普通サイズのおにぎりを2つ提供していたのだが、2つ作るのは手間なのでひとつにしてしまったというのがはじまりだとか。

巨大なおにぎりはとにかく迫力がすごい! 「あまりの大きさに、思わずおにぎりを二度見してしまうお客さんもいますよ」と話す石田店長も、なんだかうれしそう。

せっかくなので、「おにぎり」(400円)を作る過程を見せていただいた。アツアツのご飯をおわんにぎっしりとつめ、具をのせる。なお、具は梅、鮭、おかか、からチョイスできる。その上に、もう1杯分のご飯を入れたおわんをかぶせる。成形するには特にアイテムなどは使わない。スタッフの大きな手で、一つひとつ三角形に握ってくれるのだ。

巨大なおにぎりはこのご飯をしっかり握って作る

「おにぎり山」と呼びたくなる様相

できたてのおにぎりは、ホカホカと湯気が立ち上がりおいしそうだ。あらためて見てみると、やはり、で、でかい! 何も知らされずにテーブルの上に置かれたら、間違いなく「なにコレ! 」である。山、そう「おにぎり山」のようなのだ。

おにぎりの大きさは横約15cm・幅約8cm。スマートフォンと並べてみると、同じくらいの高さであることが分かる。手にとるとずっしりした重みで、重量は1個500gを超える。筆者が持参したマイおにぎりと比較してみると、まるでおにぎりの親子が並んでいるようだ。もちろん、マイおにぎりは特別に小さく作ったわけではない。

高さはスマートフォンとほぼ同じくらい

普通のおにぎりと並べてみると、その大きさの違いがわかる

おにぎりはトップ部分についている白ゴマがアクセント。ひと口かぶりつくととても香ばしい。うん、塩加減もいい感じで、握り具合もふんわりだ。しかし、食べても食べても一向に具にたどりつく気配がしない。具はスタンダードな「梅」をチョイスしたのだが、梅干しでほんのりピンクに染まったご飯すらまだ見えないのである。

幅は約8cmほど。おにぎりのあたまに付いた白ゴマがポイントだ

大ぶりの焼き鳥にかぶりつけ!

「おまたせしました! 」おにぎりと格闘している筆者の前に、おすすめメニューの焼き鳥が3本運ばれてきた。こ、これもおにぎりと同様、大きい! 普通サイズの2本分くらいあるのではないだろうか? にも関わらず、価格は1本100円からとびっくりするほどお手ごろなのである。

まず、定番の「ネギマ」(150円)から。串に通された鶏肉は一つひとつが大きく存在感たっぷりだ。「焼き鳥を1本つまむ」というより「焼き鳥にかぶりつく」といった表現がしっくり来る。大きいため、タレの味に消されることなく、しっかりと肉の味わいも感じられるのもうれしい。

焼き鳥たち。左から、しそつくね(200円)、ネギマ(150円)、豚バラ(200円)

焼き鳥には自家製のピリ辛ダレが添えられていて、つけて食べることで味の変化を楽しめる。半分食べたところでピリ辛ダレをつけてみたが、ちょうどよい辛さ加減で鶏肉にも豚肉にもよく合う。

そして、「しそつくね」(200円)には、つくねにしそのみじん切りが入っている。つくねの口当たりはやわらかく、口の中に広がるしその風味がとてもさわやかだ。また、焼きたてで脂がしたたっている「豚バラ」(200円)は香ばしく、脂身がとても甘い。

かねイシ特製の辛味ダレはお好みで

豆腐だって1丁丸ごと

「使う素材は全て国産にこだわっています。来てくれるお客さまに、おいしいものを安くおなかいっぱい食べてほしいので、値上げせずに頑張っていますよ」。そう語る石田店長の右手には、これまたダイナミックサイズの料理が……。

「あ、これですか? はい、豆腐を1丁まるごと使った『ピリ辛ネギやっこ』(400円)です」。

豆腐1丁を丸ごと使った「ピリ辛ネギやっこ」(400円)。野菜も山盛りだ

もはや豆腐1丁ごときでは驚かなくなってしまった。豆腐の上には、ピリ辛ダレで和えたネギとキュウリの細切りがこれまた山盛りだ。食べてみると、淡泊な豆腐にピリ辛な野菜の風味がよく合う。ピリ辛野菜はそのままサラダ感覚で食べてもおいしいし、巨大おにぎりとの相性もバッチリだ。

おにぎりは、焼き鳥など他の料理をおかずにして食べる人も多く、おいしいおかずの助けもあって、ほとんどが完食するという。また、このおにぎりの存在を知らない友人のために注文して、ビックリさせる、というのもよくあるそう。「初めておにぎりを見たお客さまが『なにコレ! 』と驚く顔を見るのが楽しみで」と、石田店長は微笑んだ。

にこやかに対応して下さったかねイシのスタッフさん。中央が石田淳店長

同店は「デリカショップ かねイシ」も併設しており、できたての焼き鳥のテイクアウトもできる。焼き鳥だけではなく、おにぎりのテイクアウトもできるため、家族や友人へのサプライズとして持ち帰ることも可能だ。鶴見市場駅から歩いて1分程度なので、ぜひ途中下車して立ち寄ってほしい。

かねイシの外観。併設した「デリカショップ かねイシ」では、焼き鳥やおにぎりのテイクアウトができる

●information
大衆酒場 かねイシ
住所: 神奈川県横浜市鶴見区市場東中町4-19
営業時間: 16:30~23:00
定休日: 日曜日

※記事中の情報・価格は2015年06月取材時のもの。価格は税別

筆者プロフィール: 麦原 ケイ(むぎはら けい)

猫とビールと唐揚げとコーヒーが好きな神奈川県・横浜在住の主婦ライター。所属する「ベル・エキップ」は、取材、執筆、撮影、翻訳(仏語、英語)、プログラム企画開発を行うライティング・チーム。ニュースリリースやグルメ記事を中心に、月約300本以上の記事を手がける。拠点は東京、大阪、神戸、横浜、茨城、大分にあり拡大中。メンバーによる書籍、ムック、雑誌記事も多数。