湘南の玄関先・神奈川県藤沢市の小田急線「藤沢本町」駅から歩いて8分。県道43号線から神奈川県立湘南高校に向かう途中、ネット上では"神奈川県最強クラスのメガ盛り店"とも称されているお食事処「上州屋」がある。軒先に吊るされた趣のある赤い提灯が目印だ。その最強クラスというやらに挑んでみようではないか!

これが「上州屋」が放つ「サイコロステーキ メガ+ご飯特特盛」(2,600円)だ!

10杯分のご飯はリアル「日本昔ばなし」

「いらっしゃい」。取材ということで特別に開店前におじゃましたのだが、厨房ではスタッフが仕込み作業に追われていた。筆者の目当ては「サイコロステーキ メガ」(2,300円)だ。ご飯も特特盛(プラス300円)に決定! 早速、注文したところ、厨房の奥のスタッフの目がキラリと光る。「いけるのか、本当に」とでも言いたいのだろう。筆者はこれを挑戦状と受け取った。

「お待ちどうさま! 」。テーブルの上に「どうだ! 」とばかりに運ばれてきたメガ盛りサイコロステーキに目を疑う。鉄板の上でジュージューと焼かれた熱々のステーキはうず高く積まれ、その傍らには大きな茶碗にご飯がこんもりと盛られている。まるで「まんが日本昔ばなし」に出てくるご飯のようなてんこ盛りっぷりだ。

ご飯と280ccペットボトルを並べるとこんな感じ。ご飯の盛り付けにはテクニックが必要なのだとか

盛られたご飯の曲線が美しい……と関心している場合ではない。直径約15cmの茶碗に盛られたご飯の量はなんと1.5kg! 普通の茶碗であれば1杯約150gなので、単純に計算して10杯分にもなる。同店を経営するFURUフーズの古郡裕一さんも、「みなさん、ステーキは完食できるんですがご飯が難関のようで……」と話されていた。

鉄板の上にうず高く詰まれた肉の山

ご飯の茶碗が巨大すぎて、サイコロステーキが小さく見えるかもしれない。しかし、ステーキがのっている鉄板も20cm以上の大きさで、今回のメガで使用された牛肉の量は900gである。一般的なステーキ店などでは、200gで重量級扱いだろう。それを4回食べてもまだ足りないのが「サイコロステーキ メガ」だ。その量をサイコロサイズにしてもらうだけでも、ちょっと恐縮してしまいそうだ。

鉄板の上の熱々のステーキをほおばる。はふはふしながら噛(か)みしめると、口の中いっぱいに肉のうまみが広がる。焼き加減はミディアムとウェルダンの間ぐらいだろうか。味付けで使用する5種類のスパイスに加え、ステーキの上にふりかけられたゴマとニンニクが、香ばしさとうまみをぐんとアップさせる。1.5kgのご飯がこのステーキのおかげでどんどん進む。

サイコロステーキは20cmの鉄板に「これでもか! 」と言わんばかりに盛られている

ステーキに添えられたモヤシもシャキシャキとした口当たり。「そうそう、ステーキとモヤシを一緒に食べるとおいしいですよ」と古郡さん。「ステーキはあえて濃い味付けにしないところがポイントですね。ほら、濃い味付けって食べてるうちに飽きるでしょ」。

そのため、客が自分で自由に味の変化をつけられるようにと、テーブルの上には各種調味料がそろえられている。筆者もその中のいくつかを試してみた。中でもオススメなのが粗びきのペッパーだ。ピリリとした刺激が、「再びステーキに立ち向かうぞ! 」という気持ちにさせてくれる。

テーブルの上に置かれた調味料で自分好みの味を楽しもう!

リクエストに応え続けてメガ盛りへ

こんなにおいしいステーキなのだが、三分の一ほど食べたところでふと箸が止まってしまった。食べても食べても減る気配がしないことに気付いてしまったのだ。ちょっと小休止を兼ねて、古郡さんにこのメガ盛りを始めたきっかけを聞いてみた。

「もともとは一般的なボリュームの定食屋だったんですよ」と古郡さん。「もっと食べたいというお客さんのリクエストに応えていたら、いつの間にか……」。メガ盛りは古郡さんの気持ちがこもったメニューなのである。やはり残すわけにはいかない!

口直しに小鉢に箸を向けてみる。小鉢は季節によって変わるが、取材日の小鉢は春雨を使用した中華風の和え物だった。コリコリとした食感のキクラゲに歯ごたえが楽しいタケノコ。何よりも、このさっぱりした酢の酸味がうれしい。

中華風の春雨の和え物。そのほか、箸休めに漬物も付いている

大盛初心者は「ダブル」「ごはん中盛」から

ステーキを半分ほど食べたところで無念にもギブアップ。「サイコロステーキ メガ+ご飯特特盛」の完食率を聞くと、10人に1人いるかいないかだそうだ。「初めて挑戦する人は無理せず、ご飯は中盛(ご飯700g)から挑戦するのもオススメですよ」。食べ切れなかったご飯やサイコロステーキは持ち帰りもできる。

サイコロステーキは筆者が挑戦したメガのほか、肉の量が300g(1,200円)、肉の量が600gの「ダブル」(1,750円)もある。ご飯の量は100gから選べ、500gまでは追加料金なし。中盛(+50円)、大盛(+100円)、特盛(+200円)、そして筆者が今回注文した特特盛がある。

上州屋の外観。営業時刻になると赤い提灯がともる

なお、同店は昼間は営業しておらず、夜間だけの営業となる。たっぷり1日遊んだあと、いっぱいおなかをすかせて訪れてほしい。

●information
上州屋
住所: 神奈川県藤沢市鵠沼神明5-12-1
営業: 火~土曜日18時~翌2時、日曜日17時~22時(ライスがなくなり次第、終了)
定休日: 月曜日

※記事中の情報・価格は2015年2月取材時のもの。価格は税込

筆者プロフィール: 麦原 ケイ(むぎはら けい)

猫とビールと唐揚げとコーヒーが好きな神奈川県・横浜在住の主婦ライター。所属する「ベル・エキップ」は、取材、執筆、撮影、翻訳(仏語、英語)、プログラム企画開発を行うライティング・チーム。ニュースリリースやグルメ記事を中心に、月約300本以上の記事を手がける。拠点は東京、大阪、神戸、横浜、茨城、大分にあり拡大中。メンバーによる書籍、ムック、雑誌記事も多数。