にごり湯と言えば乳白色を思い浮かべる人も多いと思うが、今回紹介したいのは全国でも数少ない珍しいブルーの湯。この不思議なブルーの温泉は大分県の別府や湯布院の由布岳の山裾に集中していて、その他の地方へはポツリポツリとある程度だ。

ブルーの湯はその時によって色合いが変わる(写真は「湯布院の風薫る癒しの宿 温泉旅館 野蒜山荘」のもの)

ブルーの湯と言えど、湧き出たばかりの時は透明である。しかし、時間が経つにつれてだんだんと薄らブルーに変化し、3~5日ほどで鮮やかで濃いブルーになる。そのため、ブルーの湯を求めて行ってもタイミングによって透明の時もあれば濃いブルーの時もあるので、施設へ問い合わせた後に訪問するのがベストである。

初・湯布院にもってこいの歴史ある館

まず紹介したい「由布院温泉 庄屋の館」はその名の通り、本館が明治27年(1894)築の大豪族(庄屋)の離れ屋を移築したもので趣のある建物が人気の温泉旅館だ。白い析出物でコーティングされた浴槽にブルーの湯が満たされ、まるで甘~い味でもしそうなミルキーブルーに見える。

「庄屋の館」は、浴槽に付着した白い析出物にも味がある

日帰り入浴は非常に人気が高いため、いつ行っても混雑しているイメージ。とはいえ、「湯布院でブルーの湯と言えばここ! 」というほど有名なので、初・湯布院は庄屋の館から行ってみると間違いないだろう。宿泊のほか、日帰り入浴も提供している。

湯布院の奥地に名湯あり

湯布院の中でも特に奥地の集落にあるのが「由布院秘湯の宿 奥湯の郷」。「本当にこの道で大丈夫かな? 」と不安になるほど山道を車で走る。比較的まだ新しい宿でコストパフォーマンスが高く、宿泊客が多い時は朝4時半から仕込むという女将さんの手料理が人気だ。

「奥湯の郷」は貸し切りも可能

とにかくリピーターが多く、エントランスには宿を訪れた人から送られてきた写真がずらりと並ぶ。湯は透き通ったコバルトブルー。内湯と露天風呂を貸し切りで利用できるのがぜいたくだ。リピーターが多いというのが納得の宿である。宿泊のほか、日帰りでの入浴も可能だ。

年に1度、見事なブルーの湯を湛える宿

木のぬくもりを感じる家族経営のホッコリ系宿なら、「湯布院の風薫る癒しの宿 温泉旅館 野蒜山荘」。全10室で男女別内湯に露天風呂、貸し切り露天風呂が3つもあるため、混雑することなく好きな時に入れるのが魅力だ。ちなみに、日帰り入浴でも全てに入ることができる。

「野蒜山荘」はうっすらとしたブルーの時も美しい

最も濃いブルーになるのは男女別露天風呂。貸し切り露天風呂とは源泉が違うらしく、年に1度、絵の具のようなはっきりとしたブルーになるのだとか。筆者が訪れた時はそこまでのブルーではなかったものの、ハワイアンブルーのカクテルのような色合いで、まるで発光しているように見えてうっとりしてしまった。野蒜山荘は男女別露天風呂へぜひとも入ってみてほしい。

どこよりもきれいなブルーのにごり湯を

由布院温泉の中でも、もてなしに定評のあるのが「杜の湯 ゆふいん泰葉」。そのもてなしは、主人の温泉へのこだわりにも現れている。

「ゆふいん泰葉」では宿泊をして亭主のこだわりが詰まった湯を体験してほしい

通常、濁り湯は空気に触れて酸化すればするほど濃い色へと変化していくものなので、ある程度浴槽に湯が注がれて、時間がたった状態のことが多い。そのため、多少の湯汚れは否めない。

そんな中、ゆふいん泰葉では「湯を汚さずきれいな状態でブルーの濁り湯にしたい」と敷地内に大きなタンク6個を設置し、タンク内で酸化させたものを源泉におよそ30%程度をブレンドして使用しているという。いつでも青みがかったきれいな湯に入れるというのが、ここの素晴らしいところだ。

とは言っても、日帰り用の貸し切り風呂にはこのタンクの温泉は混ぜていないので、宿泊者だけがこの青みがかった貴重な湯に入れる。ゆふいん泰葉へ行くなら宿泊がおススメだ。

元温室の不思議な開放感も魅力

最後に紹介する「由布院ハーブガーデン 小鳥のたより」は、1万坪の敷地を持つおしゃれなヨーロピアンスタイルの宿。食事処や脱衣所などに設置してある小さな小物や椅子などもかわいらしく、女性好みの雰囲気が広がっている。

「小鳥のたより」の内湯は、その天井の高さにも注目

元は温室だったところを浴室へ改装した内湯は、開放感のあるどこか不思議な雰囲気の浴室になっている。筆者が訪れた時はうっすらと青みがかった程度のブルーだったが、それでもヌルッとする浴感は気持ちよく、透き通ったブルーの湯はきれいだった。この内湯の他に男女別の露天風呂や貸し切り露天風呂などもあり敷地内でのはしご湯もまた楽しい。加えて、こちらも日帰り入浴を提供しており、24時間利用できる。

今回紹介した5つの宿は、宿泊だけでなく日帰り入浴も提供している。「ひとつに絞れない! 」という人は、いろんな宿の湯をはしごしながら、刻一刻と変わるブルーの湯を堪能してみるといいだろう。

筆者プロフィール: 秘境温泉 神秘の湯 しおり

自然そのままの野湯から高級旅館まで温泉が極上であればどこまでも行く温泉マニア。1,000湯以上入湯した中から選りすぐった温泉を紹介する「秘境温泉 神秘の湯」を運営している。