岐阜県・奥飛騨温泉郷の最奥に位置し、蒲田川沿いに温泉が点在する新穂高温泉。北アルプスの麓にあり、登山の後に立ち寄るのに適した場所にあることから、古くから登山者に愛されている。新穂高温泉は景色がいい露天風呂がいくつもあるが、その中でも際立ってすばらしい景色なのがここ「水明館 佳留萱山荘」。雄大な自然を360度眺めながら湯あみができる、絶景の湯として有名な温泉だ。

この奥に日本最大級の露天風呂が広がる

広さは250畳分で100人入っても大丈夫!

受付で入浴料を支払って露天風呂へ。露天風呂前ではまだ新しそうな大きな暖簾(のれん)がユラユラ。「日本最大級の露天風呂」と書かれているが、露天風呂の大きさは畳で例えるとなんと250畳分もの大きさらしい。露天風呂は混浴の巨大露天風呂と女性用の露天風呂、そして、貸し切り露天風呂がある。

「水明館 佳留萱山荘」は登山者にも愛されている

こちらで受付。訪れた3月はまだ雪が残っていたため、パチパチと燃える暖炉が温かかった

露天風呂を前にして「なるほど、これは日本最大級だ」と納得! まるで池のようにも見える露天風呂は、100人は余裕で入れるのではないかというほど大きい。あまりに広すぎて真ん中で入浴するとなんだか落ち着かずウロウロ……。この広い露天風呂で大の字にでもなって入りたいところだが、「やっぱりこの隅っこが落ち着くな~」なんて感じで、結局端っこで小さくなっての入浴に。

混浴露天風呂はあまりの広さに「どこに入ろう」と悩んでしまうかも

入る場所によって温度はまちまちで42~44度、好みの温度で入浴ができるところもまたいい。湯船は最深1mもあり、一部の場所では立って入れるほど深い。景色は山の麓ということもあり、360度どこを見ても絶景! 春は新緑、夏は青々とした緑と青空、秋は紅葉、冬は雪見と季節によって全く違う景色になる。ここまですばらしい景色の露天風呂は全国でも数少ないのではないだろうか。

温泉がザバザバと湧き出ている

源泉はいたるところから投入されていて毎分1,110Lも湧いているそう。加水はしているものの、塩素や循環とは全くの無縁。ちょっと源泉を口にふくんでみると、金気臭とともに弱い鉄味を感じた。湯の色は緑がかった透明の湯でとてもきれいである。

それにしてもかなり大きな湯船だが、掃除が行き届いているようで、ゴミなどの浮遊物が少なかったのもすばらしい。これだけ広いと管理にはいろいろな苦労させられるだろうに。

湯船からのあふれ出しも多い。でも心配ご無用! 温泉は絶え間なく注がれている

女性用露天風呂は青っぽい白濁り

女性用露天風呂は混浴露天風呂には負けるが十分広く、遠くに山を望めるのでこれはこれで満足できる露天風呂だ。温度は入る場所によって39~42度の違いがあり、どちらかといえばぬるめ。湯の色はしじみ汁のように青っぽい白濁りで、混浴露天風呂の色とは若干違うように見えた。露天風呂奥には混浴露天風呂への通路があり、自由に行き来できる。もちろん男性は通れない。

女性用露天風呂も十分な広さだ

ちなみに、夏の混浴露天風呂は冬の景色と一転して、青々とした山がダイナミックでまた違った絶景が楽しめる。紅葉の時期もすばらしいそうなので、今度は秋に訪れてみたいと思う。

夏の露天風呂。夏は青々とした緑が美しい

露天風呂の横には貸し切り露天風呂が3カ所あり、いずれも趣のある凝った雰囲気。テレビ東京系列「TVチャンピオン」の「全国大工王選手権 露天風呂一本勝負」で作られた面白い露天風呂や、蒲田川を眺めながら湯あみができる石造りの露天風呂などがある。

貸し切り露天風呂もあるので、家族やカップルでどうぞ

敷地内にはキャンプ場もあり、夏には家族連れでにぎわう。シラカバ林に囲まれたキャンプ場はとても気持ちが良さそう。

ログハウス風の休憩所やキャンプ場も完備

佳留萱山荘へは真冬と夏(2回)、そしてこの3月と過去4回訪れている。夏もすばらしい景色だったが、最も印象的だったのは真冬の混浴露天風呂。真っ白な山々に囲まれ、白銀の世界が広がっている。美しい景色を見ながら2時間ボーっと過ごしているだけでも、最高に癒やされた。これからの新緑の季節もまた、違った顔を見せてくれることだろう。

※記事中の価格・情報は2015年3月取材時のもの

筆者プロフィール: 秘境温泉 神秘の湯 しおり

自然そのままの野湯から高級旅館まで温泉が極上であればどこまでも行く温泉マニア。1,000湯以上入湯した中から選りすぐった温泉を紹介する「秘境温泉 神秘の湯」を運営している。