春到来、暖かくなると街に出たくなる。浅草や東京スカイツリーなど下町の散策、海風が爽やかなお台場デート、新宿・渋谷など繁華街でのショッピング……そんな時にぜひ活用したいのが無料バスや100円ワンコインのコミュニティーバス。安くて便利な移動手段としての利用はもちろん、ちょっとしたバスツアー気分も味わうのにもうってつけだ。

浅草と東京スカイツリーを無料で結ぶ「パンダバス」

「パンダバス」で浅草観光

都内有数の観光スポットである浅草。浅草寺や仲見世周辺のぶらぶら散策を楽しむ観光客の多くが、すぐ近くに立地する東京スカイツリーにも足を伸ばしたいと思うはずである。雷門交差点からも、浅草寺の境内からも「こんな近くならついでに……」と思えるほどの巨大さで、天に聳(そび)えるスカイツリーが視界に飛び込んでくるからだ。

そんな時に超便利なのが「パンダバス」である。雷門からスカイツリーまでは1kmちょっとの距離。歩いても15分ほどだが、人混みの中を歩き続けた人にはこの距離が微妙に辛い。タクシーや東武鉄道を利用するほどでもないし……。そこで役立つのがこのバスなのだ。

「パンダバス」とは浅草周辺をぐるりと循環するミニバスで、浅草の商店によってスポンサードされているため、誰でも無料で乗車できる。その名の通りフロントがパンダの顔になっており、子供たちにも大人気。平日の昼でも雷門の専用バス停の前には乗降客で行列ができるほどだが、時間があればウキウキとバスの到着を待つのもまた楽しい。

パンダの顔が可愛い「パンダバス」のフロント

浅草から東京スカイツリーまでは渋滞がなければ5分ほどで到着。でも、スカイツリーへの足として利用するばかりが「パンダバス」の楽しみ方ではない。バスは隠れたパワースポットとして名高い待乳山聖天や招き猫発祥の今戸神社、浅草花町の面影を残す浅草見番などにも立ち寄るので、浅草を広く深く楽しむための足として活用することもできるのだ。

「パンダバス」の立ち寄るパワースポット、待乳山聖天

「めぐりん」で吉原大門など下町ツアー

浅草のある台東区には「めぐりん」という区内を循環して走るコミュティーバスも走っていて、区民の足となっている。路線バスよりやや小型で、こちらを利用して台東区の下町観光を楽しむのもなかなかオツなものだ。乗車料金一律100円と、都バスの半額以下で下町バスツアーが楽しめてしまうのである。路線バスよりやや小型で座席数も少ない。

東武浅草駅前から出発する「北めぐりん」

「めぐりん」には「東西めぐりん」「北めぐりん」「南めぐりん」の3路線があり、例えば浅草駅を起点とする「北めぐりん」に乗ると、江戸遊郭の面影を残す吉原大門、樋口一葉が暮らした竜泉や根岸、鴬谷などを回って浅草に帰り着く、75分のバスの旅が楽しめる。

また、上野公園、東京国立博物館、谷中霊園、鴎外旧居跡、不忍池、浅草などをめぐる「東西めぐりん」もなかなかに魅力的である。

「北めぐりん」で訪れた樋口一葉記念館の石碑

繁華街の循環バスで買い物もラクラク

東京にはこの他にも、使い勝手のよい無料バスやコミュニティーバスがわんさかとある。日の丸自動車が地元企業のスポンサードを得て無料運行している「丸の内シャトル」や、「メトロリンク日本橋」「東京米シャトル」がその代表的なもの。

「丸の内シャトル」は丸の内、有楽町、大手町を結ぶ1周35~40分ほどの無料巡回バス。低公害、低騒音、低床と人と環境に優しい「EVバス」を使用している。東京駅周辺や有楽町など都心部の買物や観光、ビジネスの足として活用できる。

「メトロリンク日本橋」は再開発の進む日本橋と京橋、八重洲地区を巡回する。こちらもEVバスで、車体の外装に日本橋や京橋を行き交う活気あふれる人々を描いた「江戸名所図屏風」(出光美術館所蔵)がデザインされており、およそ10分間隔で歴史ある街を巡回している。

ベイエリアのお台場観光に便利なのは「東京ベイシャトル」。ゆりかもめの台場駅を降りるとすぐのフジテレビ前から乗車でき、日本科学未来館、ヴィーナスフォート、東京テレポート駅、アクアシティお台場などを35分ほどで1周する。お台場を訪れたカップルや外国人などに人気だ。

意外と広いお台場を1周する「東京ベイシャトル」。お台場観光にうってつけ

この他、新宿、渋谷、六本木の東京を代表する繁華街にも、新宿区、渋谷区、港区が運営するコミュニティーバスが走っている。新宿区の「WEバス」、渋谷区の「ハチ公バス」、港区の「ちぃばす」、いずれも料金はワンコイン100円。仕事に買い物にデートにと、いかようにも活用できるのでぜひお試しあれ。

新宿駅の東西を結ぶコミュニティバス「新宿WEバス」

※記事中の情報・料金は2014年3月取材時のもの