――今回、曲順でこだわったところはありますか?

LiSA「今回はこだわりまくりです。私がこの12曲でライブをするならという設定で作っています」

――12曲でライブをするならこういうセットリストという感じですね

LiSA「そうです。さらに、最初のミニアルバム『Letters to U』が私からの名刺代わり、2枚目の『LOVER“S”MiLE』は、あなたといる今が幸せ、という気持ちを伝えているのですが、今回の『LANDSPACE』は"倦怠期"がテーマです」

――倦怠期ですか?

LiSA「マンネリといってもいいかもしれません。あなたといて幸せという『LOVER“S”MiLE』から、1曲目の『Canvas boy × Palette girl』が繋がっていて、この曲も同じようなことを歌っているんですけど、時間が過ぎるごとに一緒にいる時間が濃くなって、愛ももっと深くなっている。君とだったら今でもドキドキできるし、君といる世界が私のすべてなんだってところまで来ている。そうなると、次に始まるのはマンネリなわけですよ(笑)」

――1曲目からマンネリが始まるんですね

LiSA「まだ予兆という感じですけどね。『Canvas boy × Palette girl』はそれこそ絶頂期で、そこから2曲目の『コズミックジェットコースター』に繋がります。この曲では、楽しいばかりだったのが、急に暗くなったり、ドロドロしたり……そんな山あり谷ありの状況をジェットコースターにたとえて、気持ちの変化というか、一緒に過す時間が増えることによって生まれるうれしさだったり悲しさだったり、そういったことを表現しています」

――「コズミックジェットコースター」はLiSAさん自身が作詞ですね

LiSA「この曲は詞を書くのがすごく楽しくて(笑)。最初に曲を聴いたときから、絶対にジェットコースターのイメージで書きたいと思ったんですけど、それに加えて、自分がステージに立ってライブをするときに、私を信じて付いてきていいよ! っていう感覚と、ジェットコースターを前にしてガクガクしている女の子を、大丈夫だよって支える彼氏の感覚が似ているなって思ったので、それを詞で表せたら面白いだろうなって思って書きました」

――ここではLiSAさんが彼氏なんですか?

LiSA「そう、私が彼氏です。どっしりとして、付いてきていいよって構えている私が彼氏でみんなが彼女。私のライブはデートなので、そのデート中の気持ちと同じ感覚をジェットコースターにたとえています」

――ここもまだ倦怠期というよりデートで大盛り上がりといった感じですね

LiSA「まだまだ遊園地デートで熱い感じですね。付いてこいよって感じです(笑)」

――そして、ここでいったん、シングル曲の「crossing field」を挟みます

LiSA「いろいろなことがあったけど、でも君を信じていたいんだっていう気持ち、君を守りたいんだっていう気持ちがアルバム全体のストーリーと繋がっていますね。でも、ここから一気に落とします(笑)」

――一気に落ちていくという「DOCTOR」ですが、この曲を最初に聴いたときの印象はいかがでしたか?

LiSA「最初、(作曲の)カヨコさんの仮歌が入っている状態で聴いたんですけど、カヨコさんの歌ってすごくパワーがあるんですよ。カヨコさんはちょっとハスキーで味のある声なので、ちょっと表現は不適切かもしれませんが、スナックのママが歌っている感じ(笑)。そのイメージとメロディから、自分の中の本当の気持ち、本当は出したくないけど思わず漏れてくる本音の部分を表現できないかなと。スナックで愚痴っている感じですね。自分が誰かの一番になりたいという気持ちだったり、誰かにずっと見ていてもらいたいという気持ちだったり、本当は抜け出さなくちゃいけないんだけど、寂しさから抜け出せない甘さに引き摺られる心、そんなところを書きたいなと思いました」

――2人の気持ちに疑心暗鬼的なものが生まれてきている感じ?

LiSA「そうですね。実際、書いてもいいのかなと思って悩んだのが『とにかく もう全員邪魔者に見える』というワード。でも、この言葉を書かないと、このわがままは振り切れないなと」

――「DOCTOR」というタイトルもそうですが、歌詞中も「センセイ」が登場します

LiSA「病院って何でも治してくれるじゃないですか。お薬を飲めば、たいていの病気は治るんですけど、自分のわがままだったり、誰かにおぼれている気持ち、何かに対する欲求はお薬でも治せない。治せないんだけど、もうお薬に頼るしかない状態なんです。だから"センセイ"に縋っているわけですが、縋れるものなら神様でも良かったかもしれません」

――恋の病は薬では治りませんからね

LiSA「どちらかというと被害妄想なんですよ。とにかく自分が被害者だと思ってしまう。たとえば相手が彼氏であったら、自分のいないところで誰かと会っているんじゃないか。それは友達でも一緒で、よそでは何か違ったことを言っているんじゃないか。そういう人を疑ってしまう気持ちですね。それは自分がその人を好きで好きで仕方ないから、その人を独り占めしたいという独占欲からくるものだと思うんですけど、それを本当はやめないといけないと思うからこそ病院に通うわけですよ。自分でもわかっているんだけど、やっぱりやめられない。疑心暗鬼な気持ちって、誰も持ちたくないと思うんですよ。でも持ってしまう。信じてあげたいけど……そんな感じですね」