4~6月期に放送された春ドラマは、『ガリレオ』が平均視聴率19.9%を記録、『ラストシンデレラ』が6話連続視聴率アップの連ドラ新記録を作るなどフジテレビが大健闘。その他、各局の作品も力作ぞろいで、ほとんどが2ケタ視聴率を超えるなど、ドラマ人気の回復傾向が見られた。

ドラマ『半沢直樹』で主演を務める堺雅人

そして7~9月期の夏ドラマは、名作の続編や人気脚本家の書き下ろしなど、意欲作が目白押しの大混戦。たとえば、名作では『救命病棟24時』、『ショムニ2013』、人気脚本家は坂元裕二の『Woman』、岡田惠和の『スターマン・この星の恋』など、ドラマ好きなら名前を聞いただけでピンとくる作品がそろった。

今回もドラマ評論家の木村隆志が、全作品の初回放送をウォッチ。俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視」したガチンコでオススメ作品を探っていきます。

今クールの主な傾向は、[1]名作の続編 [2]+αの豪華キャスト [3]シングル親子モノ [4]勧善懲悪 [5]個人名タイトル の5つ。

傾向[1] 名作の続編

今クールの16本中、7本が続編。半数に迫る割合の理由は、続編の定番である刑事ドラマ以外の作品が多いから。医療モノの『救命病棟24時』『DOCTORS2』、OLモノの『ショムニ2013』、人間関係がテーマの『斎藤さん2』は、いずれも前作のクオリティが高かっただけに間違いはなさそうだ。 春ドラマで『ガリレオ』が大ヒットしたばかりだけに、各作品とも視聴率トップを狙っているが、なかでもテレビ朝日は「4作品全てが続編」という徹底ぶり。「続編が基本」というアメリカ的な考え方になりつつある。

傾向[2] +αの豪華キャスト

筆頭格は月9『SUMMER NUDE』。山下智久、香里奈、戸田恵梨香の主演級三角関係に、長澤まさみを加えるなど、かつてない豪華さ。『名もなき毒』は深田恭子と真矢みきのWヒロインを前後半で使い分け、さらに国仲涼子も準ヒロインとして出演。『救命病棟24時』は、江口洋介の穴を時任三郎+佐々木蔵之介の実力派2人でカバー。『半沢直樹』は堺雅人に香川照之をぶつけ、そこに北大路欣也や上戸彩を絡めた。さらに、『Woman』は、連ドラ初主演の満島ひかりを助けるべく、田中裕子&小林薫の名優コンビ、谷村美月&二階堂ふみの若手実力派コンビを起用。いずれも、主演級のキャストを3~5人そろえている。

傾向[3] シングル親子モノ

春ドラマでは、『ラストシンデレラ』、『ダブルス』など男性の裸を前面に出した作品が多かったが、今回はシングル親子モノ。しかし、「ビッグダディや安藤美姫の影響か?!」と感じるくらい見事にカブった。 『Woman』は満島ひかりが、『スターマン・この星の恋』は広末涼子が、『Oh,My Dad!!』は織田裕二がそれぞれシングル親を演じる。また、『斉藤さん2』も、夫が出演しない設定だけに、ほとんどシングル親子モノ。 通常の家族モノよりも、経済的な苦労、周囲の偏見、親子の行き違いなどが大きいだけに、毎回“泣かせ演出”が入りそう。子役の中では、『Woman』の鈴木梨央に注目。大河ドラマ『八重の桜』で幼少期の八重を演じ、「ポスト芦田愛菜」の声もある大器だ。

傾向[4] 勧善懲悪ドラマ

ここ数年、「いい人だらけ」、「悪そうに見えて実はいい人」の作品が増えた中、今クールは“正義と悪が徹底的に戦う”図式の作品がそろった。 『半沢直樹』は半沢vs上司&国税局、『DOCTORS2』は相良vs森山派、『ショムニ2013』は千夏vs人事部&取引先、『斉藤さん』は斉藤vsママ友・玉井グループ。勧善懲悪ドラマは、壮絶なバトルや絶体絶命のピンチはあっても、「最後は正義がスカッと勝つ」だけに、猛暑のストレスを発散させてくれそうだ。

傾向[5] 個人名タイトル

個人名タイトルの作品は、『半沢直樹』、『警部補 矢部謙三2』、『斉藤さん2』の3つ(春ドラマは0)。『特命係長 只野仁』、『山田太郎ものがたり』、『白鳥麗子でございます』、『小早川伸木の恋』など、これまでの個人名タイトル作品はマンガ原作が多かったが、今クールは『斉藤さん2』のみ。『半沢直樹』は小説、『警部補 矢部謙三2』はオリジナルで、ここに制作側の意図を感じる。大河ドラマなどの時代劇に個人名タイトルが多いのは、歴史に残る大物であり、強烈なキャラを持っているから。半沢も矢部も斉藤も、それに負けないインパクトを放っている。

これらの傾向を踏まえたオススメは、堺の全力演技とヒールの悪さが際立つ勧善懲悪ドラマ『半沢直樹』、ドキュメンタリー作品のようなリアリティと名優たちの演技バトルが見物の『Woman』、宮部みゆき作品らしい唯一の本格ミステリー『名もなき毒』。 さらに、沢村の雄姿と高嶋の怪演などメリハリの効いた『DOCTORS2 最強の名医』、堤幸彦演出×岡田惠和演出で最後まで目が離せない『スターマン・この星の恋』も十分楽しめそう。

一方、裏オススメは、歌舞伎とイケメンのどっちつかずの『ぴんとこな』、長ゼリフとステレオタイプなキャラが引っかかる『なるようになるさ。』、主要キャラたちをまとめきれていない『激流 ~私を覚えていますか?』。いずれも初回放送では、脚本・演出ともにありがちな作品の印象を受けた。尻上がりの展開に期待したい。

【おすすめベスト3】
No.1 半沢直樹
No.2 Woman
No.3 名もなき毒

【おすすめワースト3】
No.1 ぴんとこな
No.2 なるようになるさ。
No.3 激流 ~私を覚えていますか?

次項では7~9月クールの全ドラマ作品の寸評&採点を一挙披露!