私は過去20年、お金を貯めた人の取材を随分してきました。本当の大金持ちもいれば、すぐ隣りに住んでそうな30代サラリーマンだけれど、5000万円貯めている人もいました。しかし、彼らにはよく似た共通項があります。それは一言で言うと「いかにお金を使わないか」を常に考えているということです。

40代コンサルタント、「1日500円」の小遣いが「10年で1億円」近い効果を

たとえば、年収ウン千万円の40代コンサルタント。様々な企業から引っ張りだこで年収はウン千万円? しかし、そんな彼の1日の小遣いは、なんとたったの「500円」。なにせ、手帳タイプの小遣い帳をつけていて、それを見せてもらったので間違いありません。

どうしてそんなに使わないか聞いてみたところ、「お金がもったいないから」。テイクアウトのコーヒーや缶コーヒーなども一切買わない。なぜなら、家から麦茶の水筒を持ってきているからです。毎日コンビニでおにぎりを買いますが、それが500円のほとんどを占めています。500円の小遣いで1カ月20日とすると、月1万円の小遣いということになります。彼の手取りが100万円、家族の生活費が月30万円だったとしたら、毎月70万円が余ってしまいます。これをすべて積み立てたら年間840万円。10年で1%の金利だと、8788万800円になります。1日500円の小遣いが、10年で1億円近い効果を生んでしまうわけです。

「通勤費がもったいないから」、敏腕弁護士は自転車で通勤

敏腕弁護士の友人も共通しています。まず「通勤はなんと自転車」です。テレビにもよく登場する有名弁護士だから、青山の自宅から事務所までは当然車の送迎でしょ、と思いきや。夏など汗だくになって、チャリを走らせています。ダイエット? と聞くと、やはり「通勤費がもったいないから」。

彼は学生時代から株式投資をし、学ランを着て、某S電気メーカーの株主総会に現れたのは伝説。大学時代には既にアパートを1棟購入。学生大家さんになっています。その後も、不動産不況になると、競売物件を手に入れ、土地が上がれば売る。毎日の通勤費を削って、お金を貯め、チャンスが来たら不動産の底値買い。まさに、お金持ちになるために生まれてきたような人なわけです。

真のお金持ちマダムは、「みんな手作り料理がうまい!」

ある日別荘族のマダムのホームパーティに招待されました。優雅にホテルで立食パーティ? とんでもありません。パーティの食事はすべて持ち寄り。煮物だったり、野菜をふかした料理だったりしますが、とにかくどれも絶品! 貯蓄の達人に取材してもお料理上手が多いですが、「真のお金持ちマダムはみんな手作り料理がうまい!」。

しかも、同じ大根でもそれこそ、葉っぱ1枚まで使いきってこそと、彼女たちはそれを極めるのに余念がないのです。食材を使い切らずに捨ててしまうのか、何回かに小分けして最後まで上手に使い切るかで、食費もあっという間に倍くらい違ってしまうものです。料理上手でないと、食費の節約はできないのですが、そのセオリーをマダムたちは地でいっているのです。

駐車場の管理代を節約するおばあちゃん、雑草とりからゴミ処理まで

東京都目黒区という都内1等地に住み、広い土地を所有するおばあちゃん。一部は駐車場として貸していますが、1台の駐車場代が月5万円。50台収容しているので、それだけでも月250万円。アパート経営や土地の賃料も加えると月500万円の収入はくだらないでしょう。彼女は専業主婦ですが、実は駐車場の管理人を兼ねています。何せ広いので大きな樹木もあるし、雑草もすごい。心ない人が家電やいすなどを捨てていくこともあります。そんな駐車場に彼女は毎日麦わら帽子にモンペ姿で現れ、雑草とりから、ゴミの処理、果ては樹木の枝落としや害虫駆除まで自分でやってしまいます。こんな大きな駐車場の管理は毎月何万円も払って業者に頼むが普通でしょう。

でも彼女はそれを節約。「だって、自分の土地を自分できれいするのは家訓だから」と言います。小さいときから、庭のそうじの仕方や樹木のメンテナンス、果ては住宅の修理方法やペンキ塗りの類まで、すべておとうさんから学んだそう。お金持ちは料理だけでなく、家のメンテナンスも上手なようです。

外商マン泣かせのお金持ち、好みに合わなければ「全部持って帰れ」

出版社に勤務していたころ、有名百貨店と組んでカタログを作る仕事をしていました。そのとき、百貨店の外商部の人が言っていた忘れられない逸話。「お金持ちはショッピングをしない」。

外商部には一部お金持ちの上得意のお客さんがいて、電話1本で希望の商品候補を数点持ち込むということがよくあります。一見すると買ってくれるのだから、楽な仕事に見えますが、さにあらず。商品を持ち込んでも好みに合わなければ、全部持って帰れ、は普通のこと。たとえば、5年前に買った着物に比べて、今回の着物はなぜ高いのか、どこが違うのか、など事細かく突っ込まれ、果ては議論に負けて、外商マンのほうが、値引きに応じることはしょっちゅうといいます。

「あの方々は1000円どころか、100円、10円へのこだわりがすごい。これだったら、売り場のお客さんの相手をしているほうがずっとラクです」。彼らはこう嘆いていました。

お金持ちになるための共通ルール、それは「お金を使わない」というセオリー

お金持ちの実態の一部をご紹介しましたが、私が思ったのは、お金持ちはお金を持っている人のことではありません。お金を貯めるのが上手な人のことを言うのです。お金持ちになるためには、お金を貯めなければいけません。お金を貯めるには、入ってきたお金をなるべく使わず残しておいて、貯蓄に回す以外に方法はないのです。

お金持ちの共通項はお金を使わないことですが、もっと言うと、彼らはお金を大切する、お金の価値を理解して上手に使う人たちということなのです。あなたも明日から、このセオリー、実行してみませんか?