――8曲目の「未來航路」は『モーレツ宇宙海賊』の最終話のエンディング曲にもなりました

小松「私の中では"遊園地"といったイメージの曲です。どこか西洋の街並みっぽい感じもありながら、キラキラとして遊園地のようなイメージと相まって、しっとりとしつつも、どこか力強さがある。これまでにはなかった曲調で、『モーレツ宇宙海賊』の締めくくりにもふさわしいし、海明星のイメージソングにもなっているなって思いました」

――「未來」の「來」の字が旧字になっていたりするのも面白いですよね

小松「"未来"と一言で言っても、自分の未来もあれば、他人の未来もあって、世界の未来もある。そういったいろいろな未来は、古い時代があってこそ、培ってきたものがあってこそじゃないですか。海賊というものを代々引き継いできた上での未来……。本当にいろいろな未来を踏まえたうえでの曲なので、ただの"未来"じゃなくて"未來"になっているのかなって、勝手に考えました(笑)」

――この曲は、Elements Gardenの藤間仁さんが作曲を担当なさっていますよね

小松「Elements Gardenさんには、『モーレツ宇宙海賊』の音楽を手掛けていただいていたこともあって、その世界観にすごく合った曲になっていると思います。海明星というイメージを象徴した曲になっていたので、本当にすごいなって思いました」

――そして最後の「M from...」は小松さん自身が詞を書いていらっしゃいますね

小松「歌詞カードの文字も手書きになっているので、チェックしてみてください! (歌詞カードを見ながら)あ、自分で『作詞 小松未可子』って書いている(笑)」

――ほかの曲には書いてないですが……

小松「本当だ……別に書かなくても良かったんですかね(笑)」

――ここはアピールポイントなので、書いておいて正解だと思いますよ。ちなみに「M from...」の"M"は未可子の"M"ですか?

小松「実はこの曲、私と茉莉香のイニシャルが一緒だねってところから始まっているんですよ。小松未可子と加藤茉莉香。で、最初は私から茉莉香へのメッセージを曲にしようというお話で、このあたりは曲ができる前から勝手に決めていたことなんですけど、私自身も曲をいただくまではバラードだと勝手に思い込んでいて……。だって、メッセージといえばバラードじゃないですか。そう思っていたら、アップテンポでロックな曲が来ちゃったので、さあどうしよう! って (笑)。ただのメッセージというのはちょっと違う……だったら、私だけではなく、茉莉香の気持ちもリンクさせて、どちらの視点からでも読める歌詞にしようということになりました」

――未可子であり、茉莉香である、ということですか?

小松「私視点で読んだ場合と、茉莉香視点で読んだ場合とでは、言葉の意味合いも違いますし、そもそも住んでいる世界自体が違っているので、そのあたりの違いを楽しんでいただけるとうれしいです。ただ、この中にひとつだけ、私から茉莉香へのメッセージが入っていて、大サビあたりの『同じ船は 乗れないけど、いつか 連れて行って 果てに...』のところなんですけど、私が茉莉香の声を吹き込んでいるけれど、やっぱり私と茉莉香は違う世界に住んでいるので、絶対に同じところにはいられない。でも、作品や物語を通して、いつか茉莉香の行く先に、私も連れて行ってほしい……。そういった想いで、これだけは絶対に入れようと、曲をいただく前から決めていました」

――絶対に入れようと思っていた歌詞なんですね

小松「なので、無理やりに入れました(笑)」

――実際にご自分で詞を書いてみていかがでしたか?

小松「作詞は初めての経験だったのですが、曲を聴きながら、ここにはこんな言葉がはまりそうだなってメモを残しつつ、最終的な仕上げは、夜、家に帰ってから、"今ならできる気がする!"みたいな深夜テンションで(笑)。結局、出来上がったのは朝の4時か5時ぐらいだったんですけど、そのまま一度寝て、読み返したら絶対に後悔すると思ったので、その勢いでスタッフさんに送っちゃいました(笑)」

(次ページへ続く)