第139回芥川賞・直木賞の選考委員会が15日、東京・築地の新喜楽で開かれ、直木賞に井上荒野さんの『切羽(きりは)へ』(新潮社)が選ばれた。贈呈式は8月22日、東京會舘にて行われる。賞金は100万円(追って別記事で詳報を掲載いたします)。

井上荒野さんのプロフィール
1961年生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年、『わたしのヌレエフ』で第1回フェミナ賞受賞。2003年、『潤一』(マガジンハウス刊)で第11回島清恋愛文学賞受賞。04年、『だりや荘』(文藝春秋刊)で第26回吉川英治文学新人賞候補。05年、『誰よりも美しい妻』(マガジンハウス刊)で第27回吉川英治文学新人賞候補。07年、『ベーコン』(集英社刊)で第138回直木賞候補

受賞作『切羽(きりは)へ』の内容
静かな島で、夫と穏やかで幸福な日々を送るセイの前に、ある日、一人の男が現れる。夫を深く愛していながら、どうしようもなく惹かれてゆくセイ。やがて二人は、これ以上は進めない場所へと向かってゆく。「切羽」とはそれ以上先へは進めない場所のこと。宿命の出会いに揺れる女と男を、緻密な筆に描ききった美しい切なさに満ちた恋愛小説。