3月1日よりロードショー公開される映画『ガチ☆ボーイ』。眠るとその日にあったことを全て忘れてしまう「高次脳機能障害」という障害を抱えた大学生・五十嵐良一(佐藤隆太)が、仲間や家族に支えられながら、「マリリン仮面」として学生プロレスにのめり込み、生きる喜びを見出していくという感動青春映画だ。この映画で良一を支える健気な妹・五十嵐茜役を熱演した女優の仲里依紗と、本作の監督を務めた小泉徳宏監督に話を聴いた。

(c)2008 フジテレビジョン/ROBOT/東宝

「障害を抱えた兄を献身的に助ける妹」をどう演じるか

――本作では学生プロレスの仲間たちだけでなく、主人公の良一をサポートする重要な存在として、妹の茜が登場します。本当に献身的に兄を支える女子高生・茜の健気な姿が印象的でした

小泉徳宏監督(以下、小泉)「五十嵐家の家族構成は、現実にいる高次脳機能障害者を抱えた家族のケースを参考にしています。その実例の中に、劇中の茜のような子がいたんです。それまでは、特別に仲が良いというわけでもない普通の兄妹関係だったのが、兄が障害を負ったのをきっかけに妹が苦しむ兄を献身的に支えるようになった、という。だから、劇中の茜はかなり現実的な役柄なんですよ」

小泉徳宏監督(左)と仲里依紗(右)

――仲さんは、そんな茜を演じてみていかがでした?

仲里依紗(以下、仲)「役作りがとにかく大変でした。私は兄がいないので、まずは、もし兄がいたらとイメージするところから入りました。さらに、その兄が『もし珍しい障害を持っていたら……』と強くイメージしました。茜は自分の事は二の次で、兄の世話のことで精一杯だけど、弱音も吐かないし、誰のせいにもしない。凄い尊敬できる子です。自分で演じていても『茜っていい子だよなあ~』と(笑)。クライマックスでも兄を助ける重要な役割を演じるし、正直、劇中で一番美味しくて良い役だと感じてしまいました(笑)」

(c)2008 フジテレビジョン/ROBOT/東宝

軽いけど狙い通り

――監督から見て、仲さんの演技はどうだったのでしょうか?

小泉「仲さんは感覚で芝居するタイプの女優さんですね。僕が細かく演技指導しても、『はい、わかりました~』って軽い感じのリアクションで、本番前は『わかってるのかな?』とかなり不安になるんですが(笑)、いざ本番で演技してもらうと狙い通りで。本当に凄い役者さんだと思いましたね」

「私、真剣だけど、受け答えは軽いですからね~(笑)」

――仲さんから見て、監督の演出はどうでした?

身振り手振りを交えて、楽しそうに話す仲

「テストをしっかりしてくれるから、演じやすかったです。というよりオーディションの時に、監督の27歳という若さにとにかく驚きましたね(笑)。オーディション会場でも、『この若めの人誰なの?』とか思っちゃって(笑)。実は監督だって知ったあとは、『監督も学生役で出演できるじゃん。学生プロレスできるじゃん』とか思ったくらい(笑)。でも、私と9歳しか違わないので、物の見方も近いし、感覚が伝わりやすい感じがして、撮影は凄くやりやすかったです。『この歳の差、丁度良くない?』とか思ってました(笑)」

小泉「いつも、見た目でナメられちゃうんですけど、その意見には同感ですね(笑)」