GCIキャピタル シニアアナリスト 山岡和雅氏

近年、資産運用は「貯蓄から投資へ」という考え方へと変化しつつある。というのも、以前のように貯金や預金の利率だけでは、資産を増やすことができなくなっているからだ。また年金に関しても、今後支払われる公的年金だけでは、豊かな老後を過ごすための資金とはならないため、どうしても個人資産を効率良く運用し、増やしていかなければならなくなっている。

そこで今回は、投資の対象となる金融商品のなかから、最近特に注目されている外国為替証拠金取引(以下、FX)の魅力について、その道のプロとして活躍するGCIキャピタルの山岡和雅氏にお話を伺った。

山岡和雅氏
1992年チェースマンハッタン銀行に入行し、外国為替ディーラーの世界へと入る。1994年にはナショナルウェストミンスター銀行(現:ロイヤルバンクオブスコットランド銀行)へと移り、2003年3月までインターバンクディーラーとして外国為替市場の最前線で活躍したのち、2003年4月からGCIグループに参画。現在はGCIキャピタルのシニアアナリストとして情報配信サイトKlug(クルーク)を中心に為替情報の配信やセミナー講師などを行う。日本証券アナリスト協会検定会員。

――最近注目されているFXですが、この金融商品にはどのような魅力があるのでしょうか?

FXとは一定の証拠金(保証金)を担保にすることにより、その証拠金の何十倍もの取引単位(金額)で外国為替(外貨)の売買ができる金融商品のことです。取引方法は株式の信用取引と同様で、違いは取引対象が株式なのか通貨なのかだけとも言えます。

この商品の一番大きな魅力としては、24時間取引が可能である点が挙げられます。外国為替市場は24時間眠ることなく開いています。日中は仕事があるという方も多いと思いますので、帰宅されてからも取引できるというメリットは見逃せないでしょう。また、FXは少額から取引が可能な商品でもあります。初心者の方が最初から好成績を残すことは難しいものですが、少額から始めることができれば、少しずつ自分の経験を積んでいくことも可能になるわけです。

さらにFXは、外貨を買うという取引だけではなく、外貨を売るという取引から始めることもできます。相場は上がることも下がることもありますから、売りからも買いからも取引が可能であるという自由度は、大きな魅力になるのではないでしょうか。

とはいえ、売りから取引が始められるという仕組みを理解していらっしゃらない方が多いのも事実です。しかし、この仕組みはとても単純なものです。まず最初に、自分が預けたお金で売買しているわけではないことを認識してください。たとえば、円とドルを売買する場合、ドルを買うところから始めるならば、証拠金という形で担保を預け、それを元に取引分の円を借りてきて売り、その分のドルを買います。逆も一緒で、ドルを売るところから始めるならば、証拠金という担保からドルを借りてきて売り、円を買うわけです。

つまり、仕組みは売りでも買いでもまったく変わりません。自分が預けたお金があくまで取引の担保として利用されているということをしっかり理解し、相場を見ながらどちらから始めればよいかを見極めることが重要になるわけです。