初めての妊娠。右も左も分からない。そんななかで、人はそれぞれの悲しみや不安、楽しみや喜びを経験していく。本連載は、初産を経験したママやパパの”妊娠中期・後期”にフォーカスを当て、ひとりひとりのトツキトオカに迫る企画です。「仕事」「夫婦関係」「メンタル」の面から見える、それぞれの妊娠中の心の動き。第4回は、アパレルの販売で店頭での接客業をしている小坂和(のどか)さんにお話を伺いました。

  • 小坂和さんプロフィール
    2018年の春、婦人服を扱うアパレル会社に入社。
    百貨店内の店舗にて、お客様の接客・対応を中心に行っている。

小坂さんは、子どもが産まれてからまだ半年足らず。妊娠中は、自身の気を遣いすぎてしまう性格とアパレルスタッフだからこその苦労があったといいます。

「疲れたら休憩していいよ」と言われていても、なかなか言い出せなかった

産休直前まで店舗で接客をしていた小坂さん。妊娠中も、妊娠前とほぼ同じ仕事のスタイルだったそう。職場の方は小坂さんに配慮してくれ、「疲れたら休憩していいよ」と言ってくれてはいたものの……。

「その言葉はありがたかったのですが、基本的にはお店を2人で回すようなシフトが組まれていて、私が休憩すると、もうひとりの人の負担が大きくなってしまうんです。相手のことを考えると身体がつらくてもなかなか言い出せず、ギリギリまで我慢していました……。」

つわりが落ち着いた妊娠6ヵ月ごろからは、重い腰痛に悩まされるように。骨盤ベルトを着けてだましだまし仕事をしていたものの、実際は仕事どころではなく立っているだけでも精一杯。そのなかでも特につらかったのは、商品の段ボールを運んだり、片づける仕事だったとか。

  • かがんだり、立ち上がったり、お腹が大きいと自由にできず苦労したそう

「上司はとても気を遣ってくれる人だったので、一緒にシフトに入ると力仕事を代わってくれたのですが、同僚と一緒の場合は今までと変わらず分担していたんです。同僚の忙しそうな様子を見ると、やはり自分から『休ませてほしい』とは言えず、結局無理をしてしまいましたね。」

同僚に対し、「妊娠していて仕事が大変なことに気づいてくれたら嬉しいな」と少し期待をしていた小坂さん。しかし心のどこかでは、周囲が妊婦の大変さを想像するのは難しいと感じていたそうです。

「もし仮に私が妊娠をしていなければ、妊婦がいても、上司ほどの気遣いはできなかったと思います。周囲の人が声をかけてくれるのを待つだけではなく、自分でも声をあげるべきだったのかもしれませんね。」

  • 周囲への負担はつい考えてしまうものですが、勇気を出して伝えてみることで状況が変わることも

腰の痛みがなくなってきた妊娠7ヵ月目には、それまで不定期だった胎動も安定。相変わらず骨盤ベルトはしていたものの、仕事の終わりにウィンドウショッピングをする余裕も出てきました。そして迎えた産休間近。妊娠の早い段階から業務の引き継ぎをしていた小坂さんは、スムーズに産休に入ることができました。

「よかれと思って……」夫の想いも聞くことで、より絆が深まった

妊娠がわかってから実家の近くに引っ越し、環境の変化はあったものの夫婦仲はずっと良好。旦那さんは今まで以上に洗濯や掃除などの家事を担当してくれて、「俺の仕事が休みの日は任せて」と言ってくれるほどでした。

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ところが、小坂さんが産休に入ってからというもの、旦那さんから「友人を家に呼んでいい?」と提案されたことがあったのだとか。

「お腹が大きいときに、家に友人を呼んで一緒にご飯を食べよう、というイベントごとは、もてなすのも身体もしんどくて。2~3回あった後に『やめてほしい』と伝えました。そしたら、『仕事も休みだし退屈していると思って呼んだんだけど、つらいとわかっていなかった』と反省していました。どうやら、よかれと思ってのことだったみたいです(笑)」

  • 相手がどういう想いでその行動をとったのかを聞いてあげることで、すれ違いや衝突を防げるかもしれません

言いたいことは伝え、それをちゃんと聞くという関係性を大切にしているという小坂さん夫婦。その時も、小坂さんが不満を素直に話したことで問題はすぐに解決しました。むしろ「よかれと思って……」という旦那さんの本音を聞くことができ、相手の気持ちをより理解することができたそうです。

「こうして欲しい」と伝える大切さ
「私たち夫婦は娘の子育てチームです」

それ以外のトラブルは特になし。出産後はなかなか行けないからと、外食で2人の時間を楽しんだり、赤ちゃんの様子を毎日教えてくれるアプリをお互いのスマートフォンに入れ、産まれるまでのワクワクを共有するなど、コミュニケーションを積極的にとっていたといいます。

売り場が近かった先輩ママに、必要なものをリサーチ

メンタル面で大きなアップダウンはなかったという小坂さんですが、腰が痛かった時期はひどい眠気や、イライラを感じることもありました。朝の身支度をしているときに仕事に行くのが億劫でしたが「行くしかないから」と、気合いで乗り切っていたのだとか。

「気分が下がっていたのは1ヵ月くらい続きましたが、その後は体調もよくなり、妊娠前と変わらないほど元気に。また、『もうすぐ産まれる』と思うと、どんどん楽しみになっていきました。」

ただ、出産に対する恐怖心もありました。病院の医者や助産師に「体を動かしていないと出産が大変になる」と聞き、少しでも不安を和らげるため、定期的な運動を心がけたそう。

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「家の近所や公園、ウィンドウショッピングなど、とにかくたくさん歩き、妊婦専用のエアロビクスに週1回通っていました。みなさん妊婦さんなので共通の話題があるし、ストレス発散になってよかったです。」

元々アクティブな小坂さん。産休に入り、家での時間が増えたときは、実家で過ごす産後を見据え、旦那さんが一人でも不自由しないように掃除をしたり、料理の作り置きをするなど、楽しみながら家事をしていたといいます。

  • 産休に入りたての頃は、忙しくない生活が逆にストレスに。 空いた時間に家事や運動を行い、徐々に産休を楽しめるようになったとか

産後に必要なグッズも、産休に入る前に近くの店舗で働く先輩ママにいろいろ話を聞いておき、休みに入ってから揃えました。

「4人目の妊娠中、という方が近くの店舗にいたので、たまたま会ったときに必要なものを教えてもらい、すごく助かりましたね。自分で調べていたときは、抱っこひもやベビーカー、哺乳瓶などは必要だと知っていたのですが、産まれてすぐ使う授乳クッションは盲点(笑)買っておいてよかったと思いました。」

実家は近いものの、家のことや子育ては夫婦で切り盛りしている小坂さん。子どもが1歳を過ぎた来年の4月から保育園に預けて復帰予定なのだそう。テキパキと何事もこなす小坂さんですが、困ったときにはしっかりと旦那さんに伝える関係も作れています。2人で協力しながら、子育てを楽しんでいけそうですね。

最後に、前回インタビューしたはみだしみゆきさんからの質問「つわりはどういう感じでしたか。またつわりがきつい場合、仕事をどう乗り越えましたか?」には、次のように答えてくれました。

「苦しかったけど、人前では笑って乗り越えました。人と話していると紛れるので、スタッフ同士で話したり、接客をしていました。」

小坂さんが次の方に聞きたい質問はこちら。

  • 「夫に家事をどこまで手伝ってもらいましたか?」

こちらの質問は、次回の方にお聞きします。第5回の連載をお楽しみに!

ライター:栃尾江美

※本記事はオンライン取材をさせていただき、写真は旦那さんにご協力頂きました


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