初めての妊娠。右も左も分からない。そんな中で、人はそれぞれの悲しみや不安、楽しみや喜びを経験していく。本連載は、初産を経験したママやパパの”妊娠中期・後期”にフォーカスを当て、ひとりひとりのトツキトオカに迫る企画です。「仕事」「夫婦関係」「メンタル」の面から見える、それぞれの妊娠中の心の動き。第2回は安全でおいしい食材の厳選・お届けサービスを展開している、オイシックス・ラ・大地に務める和知麻子さんにお話をお伺いしました。

  • 和知 麻子さんプロフィール
    オイシックス・ラ・大地株式会社。らでぃっしゅぼーやに2007年入社。販促で企画制作のディレクションからEC事業、MD、CSへ異動。現在は3ブランドのCSR活動に関わる。

和知さんは、2歳6ヵ月になるお子さんと旦那さんの3人暮らし。妊娠をしていた頃は、メンタルのアップダウンが激しかったといいます。しかし、悩んだときこそ旦那さんとのコミュニケーションを大切にしてきました。

仕事で落ち込んだあの夜。夫が聞いてくれて救われた

妊娠がわかってから異動希望を出し、体の負担が少ない部署へ移った和知さん。おかげで忙しさは軽減したものの、数ヵ月後、上司との意思疎通がうまくいかないことがあったそうです。

  • 異動後、新しい業務に日々緊張を覚えていたのだそう

「お客様からいただいた意見をまとめて提出したところ、そのまとめ方で上司と考えが合わなくて……。当時、喜怒哀楽が激しくなっていて、ちょっとした指摘でも大きく捉えてしまう傾向がありました。先輩ママから『この時期はメンタルの調子が悪くなるよ』と聞いていたので、わかっていたつもりだったのですがうまくコントロールできず、上司や本部長がいるミーティングで号泣してしまったんです。」

落ち込んでしまった和知さんでしたが、同じ会社に勤める旦那さんが帰宅後に話を聞いてくれました。状況や今の気持ちなどを話すと、「大変だったね」と共感してくれ、気持ちを立て直すことができたのだとか。

「もともと不満に感じたことを溜める性格ではないので、普段から何かあればすぐ夫に話すようにしています。その日も話を聞いてくれて本当にありがたかったですね。」

その件があった後、メンタル的にも不安だった和知さんは、予定を1ヵ月早め、妊娠8ヵ月目から産休に入ることにしました。幸い、着任から日が浅く、産休前から周囲がサポートに入ってくれたことから、仕事の引継ぎなどはスムーズに行えたといいます。

  • 仕事で使う手帳は自由に書き込める無地タイプ。特に何を書くと限定せず、なんでも書き込むんだとか。

また、産休中のうちに産後のことも、しっかりと話し合っていた2人。

「旦那さんから『お風呂は自分が担当したい』との申し出があり、そのために帰宅が遅かった働き方の見直しを行いました。また、産後の苦労を見据えて、ロボット掃除機や、おむつやおしりふきをネットで購入しておくなど、なるべく家事が軽減する工夫をしようと2人で準備を進めました。」

「どうして私だけ」そう思っていたことも2人の楽しみに

すすんで話を聞いてくれる旦那さんですが、不満に感じることもあったと和知さんは当時を振り返ります。

「元々2人ともお酒を飲むのが好きなのですが、妊娠中の私は飲むことができません。でも、夫は私の妊娠前と変わらないペースで飲みに行っており、『私ばかり我慢している』と感じてしまいました。」

しかしこのモヤモヤも、和知さんはすぐに旦那さんに共有。「飲みにいくことが不満」とシンプルに伝えたうえで「私の身体で育てているけれど、同じ親として配慮してもらいたい」と話しました。

  • 出産に関するWebサイトの記事や漫画を旦那さんに読んでもらい、出産は命がけということを実感してもらうよう努めていたんだとか

それからというもの、旦那さんの飲みに行く回数は少なくなり、行く場合には事前に聞いてくれるようになりました。旦那さんが自宅で飲みたい気分の時は、ノンアルコールビールを2人分買ってきてくれ、一緒に飲んだそう。どうやら緊急時の病院への付き添いに備えて、酔っぱらわない方がいいだろうと、旦那さんもなるべくノンアルコールビールにしていたようです。

さらに、むくみが激しかった和知さんにマッサージをしてくれたり、自治体が開催しているパパママ学級に行くことを提案してくれる旦那さんをみて、「意識して積極的に動いてくれている」と和知さんは感激したんだとか。

パパとして僕ができること
「父親になるということ」前編

「夫は妊娠中だけでなく、産後も協力的でした。届け出を出してくれたり、哺乳瓶など必要なものを買ってきてくれたり、とてもありがたかったですね。プレママ向けの情報誌を一緒に読み、付録についていた『パパになる人向け』の冊子を夫に渡していたのが役に立ったのかもしれません。」

決断した里帰り出産。まさか悩みの種になるなんて……

仕事や夫婦関係の悩みは、旦那さんとの話し合いにより解決できたものの、出産に対する不安は完全に取り除くことはできませんでした。妊娠がわかったとき、35歳だった和知さん。高齢出産への不安から「生まれてくる子どもは大丈夫なのか」「自分は出産して安全なのか」という考えが頭から離れませんでした。

「妊娠初期から不安が大きかったのですが、病院へ行くたびにお腹の子が順調に育っていることがわかり、安定期くらいには気持ちも落ち着いていました。また、妊娠しても仕事の責任を果たさなくてはいけないと感じてた私に『今のあなたにとって一番大事な仕事は、子どもを産むことだからね』と産婦人科の先生に言われ、気持ちが切り換えられたことを覚えています」

病院の先生によって出産への不安が少しずつ薄れてきた頃、和知さんは里帰り出産をすると決めました。しかし、旦那さんと離ればなれになることに不安を感じてしまい、帰る直前には暗い気持ちになることもあったのだそう。

  • 妊娠中、ずっと支えてくれた夫と期間をあけて離れるのは、やはり辛かったと振り返る和知さん

「夫と一緒にいると話を聞いてもらう機会が多いのですが、実家の母といると私が聞き役。そのため、実家に帰ると寂しいんじゃないかと感じていました。帰ってみると、掃除などに無頓着な母と、清潔にしたい私とで折り合いがつかず、気持ちが沈みがちに。でも、里帰り中に夫が遊びに来てくれて持ち直しました。子どもが生まれた時のために2人でビデオレターを撮影したりして、安心したのを覚えています」

私に合う出産の在り方
「里帰りをしないという選択」

いざ出産を迎え、生まれたときには、「無事に産まれてよかった」という気持ちが強く、とてもホッとしたという和知さん。妊娠中はメンタルがコントロールできず、苦労が多かったものの、旦那さんとの二人三脚で乗り越えることができました。悩みや不安があっても、抱え込まず、パートナーと共有することができれば、少しずつでも前に進めることができるのかもしれませんね。

最後に、前回インタビューした成瀬さんからの質問「仕事を頑張っている中で、いつ、どうして、子どもを持ちたいと思いましたか?」には、次のよう答えてくれました。

「婚約をする少し前くらいから、街で見かける子どもをかわいいと思いはじめたのがきっかけでしょうか。式を挙げた3ヵ月後に妊娠したので、予想より早かったのですが、女性として子どもが欲しいという気持ちがありました。」

そして和知さんが次回の方に聞きたい質問はコチラ。

  • 「仕事と体の不安をどう乗り越えましたか」

こちらの質問は、次回の方にお聞きします。第3回の連載をお楽しみに!

ライター:栃尾江美


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