これからの文化や消費を担うと言われている「Z世代」。デジタルネイティブである彼らは、ミレニアル世代ともまったく異なる価値観を持っています。彼らはどのような特徴があり、どんなものを好むのでしょうか。

アンケート調査や座談会を通してZ世代の特徴を知り、彼らに向けたマーケティング戦略のヒントを探るこの連載。第3回ではZ世代の人とのつながり方を探っていきます。

今回も、マイナビニュースで広告プランニングやZ世代に向けたマーケティング業務を行うプランナー/マネージャーの桑野好絵さんと、自身もZ世代であるプランナー・山崎珠里さんの二人に話を聞いていきます。

桑野 好絵(左)
マイナビニュース コンテンツメディア事業本部 プランナー/マネージャー
2007年、マイナビ入社。女性メディアの広告営業、広告制作、編集、分析リサーチなど、あらゆる畑を経験。現在、マイナビニュース・マイナビウーマンの広告プランナーとして活躍、年間200件以上の企画プランニングを手がける。小学5年生男児の母。
山崎珠里(右)
マイナビニュース コンテンツメディア事業本部 プランナー 新卒3年目の24歳でZ世代。2020年9月までマイナビニュースの営業として若年層マーケティングに関わり、現在はプランナーとしてインサイトや市場の分析を担当。Twitterアカウントを7つ保有。趣味はエンタメ鑑賞。

Z世代が人間関係に求める「心地よさ」

まずは、こちらのアンケートを見ながら探ってみましょう。「自分が人に合わせるより、気が合う人といることが多いですか?」という質問です。


「気が合う人といることが多い」と回答する人が7割近い結果になりました。


それを象徴しているのが、「最初はビール」の時代が終わったことですね。「飲めるものを飲めばいいじゃん、飲まないなら飲まないでいいよ」、そして「飲むことを強要する人とは一緒にいなくていい」という風に許容されてきたから生まれた考え方かなと思います。


「とりあえずビールでいい?」じゃなくて、飲みたくないなら飲まないし、自分の心地よさが最重要項目なんです。健康面やパフォーマンスを鑑みて、「飲めるけど飲まない」ソーバキュリアスという考え方を持つ方も増えているそうです。


他人の家族観を受け入れて踏み込まない

こちらのコメントは、Z世代へのヒアリングを行った際に寄せられたコメントです。先ほどのお酒の話のように「自分の心地良い場所」をうまく見つけ出している印象です。ここからは友人や職場だけでなく、家族観についても見てみましょう。


今20代前半のZ世代は、両親の離婚が比較的多い世代なんです。少し古いデータですが、厚生労働省が発表した平成21年度の「離婚に関する統計」によると、2002年(平成14年)の約29万組が離婚件数のピークとなっています。


ヒアリングでは家族問題を抱えていた方も多いようで、「もう家族は解散しています」とか「親とは気が合わないので帰省しません」という方もいました。彼氏・彼女・家族といった血縁関係や交際関係のしがらみにとらわれず、"心地よさ"を重視する世代のようです。


「家族と仲悪いなんてヤバいよ」「お母さんとこうしたほうがいいよ」みたいに言ってくる人が少ないのも特徴かもしれません。「自分の家族の形だけが家族の形じゃない」と知っている人が多いというか、他の人の家族観を受け入れるんです。だから「家族だからこうしなきゃ」と踏み込むこともしないのかなと感じました。


もうひとつ、Z世代は安定志向が強い傾向も見えました。ミレニアル世代は独立志向が強いと言われていましたが、Z世代はリーマンショックでお父さん・お母さんの景気不安の影響を受けた世代なんですよね。


情報のガードが堅いZ世代の女子

「恋人に求める条件」のコメントで「一番の条件は隠し事が少なくてよい人」と答えた方がいました。収入や外見ではなくて、「隠し事が少ない」なんですね。


一番の条件というのもわかる気がします。恋人とは将来性を見据えて付き合う方が多いですし、「一緒にいると疲れる」「考え方が合わない」という人と長く付き合うことは、あまりない気がします。「隠しておくことが少ない人」も一緒にいるとラクな人ですよね。


「将来性を見据える」という点にもつながりそうですが、恋人との出会い方について、女の子は特にデジタルで出会うことに対して危機意識を持っていて、身元がきちんとしている人を求める傾向がありますね。彼女たちはリベンジポルノという言葉が生まれたとき高校生でしたから、情報に対してガードが堅いようです。


恋人と出会うなら「友達の紹介」以外にも「結婚式で出会う人」も安心ですね。結婚式は親族に合わせてもいい人を呼ぶはずだから、まともな人がくるに違いないっていう。


確かに!


Z世代が受け入れにくいものは?

「居心地の良い場所」を求めるZ世代ですが、ここからはそれを踏まえ、受け入れられない傾向について考えていきます。例えば「女友達とはこういう風に付き合いましょう」みたいな、価値観を押し付けるレクチャーものは受け入れなさそうですね。


無理をしてまで付き合う人とは、そもそも付き合わないので……。それから「自分に当てはめてみましょう」といったコンテンツも刺さりにくいです。


「自分に当てはめる」というプロモーションの例だと、"頑張っている方を応援する"という企画は賛否両論のようです。過去にそういったメッセージを打ち出したプロモーションがありましたが、何かを頑張る方には共感され評判が良い一方で、人によっては「頑張ることを求められている気がする」とネガティブな印象を受けた方もいたようです。


考え方も居心地の良さも人それぞれですし、"全員に受ける"コンテンツは難しいと顕著に現れた例ですね。


属性に合わせたクリエイティブを複数作って、メディアを分けて配信するとか、そういった工夫も必要かもしれませんね。


最後に、改めて今回のまとめです。「Z世代は本当に気が合うかどうかを大事にしている」。居心地よさ重視ですね。


家族・友達・恋人のような「カテゴリ」の軸ではなく、自分と気が合うか、居心地がいいか「感情」の軸で人と向き合う世代ということが見えてきます。


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