これからの文化や消費を担うと言われている「Z世代」。デジタルネイティブである彼らは、ミレニアル世代ともまったく異なる価値観を持っています。彼らは何を思い、どんなものを好むのでしょうか。アンケート調査や座談会で集めたデータをもとに、Z世代の価値観や行動の特徴を読み解いていく全4回のこの連載、第1回は"Z世代のSNSの使い方"について話を聞きました。

Z世代(ジェネレーションZ)とは、1996~2015年ごろに生まれた人たちを指し、現在の世界人口の約1/4を占めています。1981~1995年ごろに生まれたミレニアル世代 (Y世代、ジェネレーションY)をインターネットが爆発的に普及したころに成人した世代だとすると、Z世代は物心ついた時からスマートフォンに触れていた世代と言えます。

令和に入り、Z世代も社会人として活躍する時代になりました。経済を回す購買層として、マーケティングのターゲットにと考える企業も多いでしょう。

そんなZ世代の特長と傾向について、マイナビニュースで広告プランニングやZ世代に向けたマーケティング業務を行うプランナー/マネージャーの桑野好絵さんと、自身もZ世代であるプランナー・山崎珠里さんの二人に聞きました。

桑野 好絵(左)
マイナビニュース コンテンツメディア事業本部 プランナー/マネージャー
2007年、マイナビ入社。女性メディアの広告営業、広告制作、編集、分析リサーチなど、あらゆる畑を経験。現在、マイナビニュース・マイナビウーマンの広告プランナーとして活躍、年間200件以上の企画プランニングを手がける。小学5年生男児の母。
山崎珠里(右)
マイナビニュース コンテンツメディア事業本部 プランナー 新卒3年目の24歳でZ世代。2020年9月までマイナビニュースの営業として若年層マーケティングに関わり、現在はプランナーとしてインサイトや市場の分析を担当。Twitterアカウントを7つ保有。趣味はエンタメ鑑賞。



Z世代はSNSでどう情報を収集している?

今回はZ世代がSNSをどう活用しているのか、その特徴を見ていきます。2020年に5~24歳を迎える彼らは、平均的に15.1歳くらいからスマホに触れており、物心ついた時からSNSに触れている世代です。まず最初に、"使用しているSNSアカウント"のアンケート調査を見てみましょう。


使っている・閲覧しているSNSともに、最も多かった回答がTwitter、次いでYouTube、Instagramと続いています。YouTubeはどちらかというと発信ではなく視聴のためにアカウントを持つ方が多いようですね。情報収集・発信ツールとしては、TwitterとInstagramが多い結果になりました。


もっと上の年代だと、Facebookを使う方も多いですが、Z世代からすると"就活のために使うツール"という立ち位置で、少し堅苦しい印象みたいですね。


それから「Z世代はInstagramを使っている人が多い」というイメージもあると思います。もちろん使ってはいるのですが、現在の新社会人くらいのZ世代はちょうどTwitterが台頭してきたころにSNSに触れた世代で、ずっと身近にあるのがTwitterなんです。Instagramは高校~大学のころに流行って、今は少し落ち着いてきた印象です。


複数アカウントを使い分ける

アンケート調査をしてみると、とても面白い点もありました。特にTwitterで複数のアカウントを持っている人が多いんですよ。


今数えたら、私は7つアカウントがありますね(笑)


Z世代の座談会でヒアリングを行った際は、11アカウント持っている方もいました。ミレニアル世代以上だと、SNSは顕示欲を満たす役割があると思っていたのですが、Z世代は"いいね"で承認欲求が満たされるものではないようです。


Instagramが出始めたとき「インスタ女子」という言葉も流行りましたが、ややネガティブに取れる印象もありました。そういった雰囲気が少し落ち着いてきて、今は自分の趣味や発信したい内容ごとにアカウントを分けて投稿する方が増えてきています。Twitterは鍵付きと鍵なしで区切りやすいですね。


TwitterとInstagramの使い分け方はどうしてる?

例えば私の世代がSNSを使う時は、「お酒と映画が好きな桑野さん」という1つのアカウントを使うんです。でも、Z世代の方は「映画好き」「コスメ好き」「声優好き」と自分の持つ多面性ひとつひとつに紐づけたアカウントを持ちつつ、さらにリアルな友達とつながる「自分」アカウントを持っています。


趣味ごとに引き出しを作って、整理している感じですね。まるっと私にいいねしてね!っていうにはあまりにも雑多ですし、誰にでも知ってもらいたい、だれにでもいいねされたいとは思ってないので。


例えば映画アカウントなら映画について熱く語っても恥ずかしくないし、そこでもらえる"いいね"はエンゲージメントが高いですよね。カテゴリごとに分けて、即した内容だけを発信できる、Twitterのそんな気軽に使えるところがZ世代にフィットしたのかな、と調査から読み取っています。


複数のTwitterアカウントを気軽に使い分ける一方、Instagramはふたつくらいを使い分ける方が多いようです。いろんな人とつながる大きなアカウントと、本当に仲のいい人とだけつながるアカウントですね。投稿に写真が必要なのでややハードルが高く、テキストだけでも完結するような趣味アカウントは作りにくい印象です。


Instagramのアカウントは、素の自分を晒さないか/晒せるかで使い分けている印象でした。流行り始めた時期にバーッと広い範囲の方とつながって、Z世代の方たちは一度冷静になったみたいなんです。そこでもうひとつの「仲のいい人だけ」用のアカウントを作って、結果ふたつを使っている様子です。また、Instagramは作りこまれた写真より、感情が揺れ動かされる、リアルなものに対して反応する傾向があります。


友達が笑いながら夜道を歩いてる写真とか、エモい―! っていいねしちゃいますね(笑)。上記は座談会のコメントを抜粋したものですが、やりとりをしてる中で恋人になったという話も、リアルな友達とつながるInstagramらしいエピソードです。


Z世代にとってのSNSとは?

SNSはスキマ時間の暇つぶしという側面と、日々の自分の記録という側面がありそうです。「ここいったよ」「これ食べたよ」を置いておく場所、そんな使い方をしてる人が結構多いんじゃないかなと思います。


今回の調査では、Z世代は「投稿したい情報はそれに即したSNS、アカウントを使う」という特徴が見えました。Z世代へSNSを使ったプロモーションを行う際は、彼らがどんなテンションでアカウントを使い分けているか、知っておく必要がありそうです。


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