『コミックBAR Renta!』で振り返る2019年 – ディレクター×「Renta!」担当者インタビュー

電子書籍レンタルサイト「Renta!」による、イチオシ漫画を紹介する番組『コミックBAR Renta!』。

• 画像クリックで詳細へ

TOKYO MX1(地上波9ch)、BSフジにて放送されているこの番組は、BARのマスターを演じる声優・森嶋秀太さんが毎回男性声優をゲストに迎え、トークを繰り広げながらオススメの漫画を朗読するといった内容です。放送開始からまもなく3年を迎える本番組。2020年1月2日(木)には、2019年に放送された51回をすべて公開する一挙放送特番が予定されています。

今回は、番組スタートから指揮を執って番組を作り上げてきたディレクターの渡部フランケンさん、「Renta!」を運営する株式会社パピレスの山路健太郎さんに3年間を振り返っていただくことに。番組の歴史や今後の展望、一挙放送特番の見どころなどをお伺いしました。

• ディレクター 渡部フランケン氏(左)、株式会社パピレス 山路健太郎氏(右)
  Photographer：KOBA

手探りで始めた番組制作

ーーまずは自己紹介をお願いいたします。

渡部　ディレクターの渡部フランケンです。『コミックBAR Renta!』を初回から担当しています。

山路　株式会社パピレスの山路健太郎です。この番組では企画に携わりながら、広告全般やSNSなどの運用を担当しています。

ーー渡部さんは、この『コミックBAR Renta!』を担当する以前はどういった番組を制作されていたんですか？

渡部　元々とある音楽番組を担当していまして、24歳頃にADからディレクターになりフリーへと転身しました。そこから他の音楽番組とかを担当してるうちに、この『コミックBAR Renta!』のプロデューサーさんに呼ばれて。「今度こういう番組があるんだけどやってみない?」みたいな形で始まったんです。だから最初は、声優さんに関してNO知識で。

• 渡部フランケン氏

ーーまったく知らないジャンルだったということですが、初めてこの企画を聞いた時はどう感じましたか?

渡部　こういう番組って前例がないというか、聞いたことないじゃないですか。だから「え? どうやって作るの?」という感じでした(笑)。で、漫画を朗読しながらコマはどうやって出さなきゃいけないか、とか頭の中でシミュレーションして。視聴者さんが音声と映像どちらも楽しめるようにしなきゃなと考えました。それで、みんなで話し合いながら今の形ができあがっていきましたね。

山路　最初は本当に“手探り”という感じでした。今は自分が提示する作品と設定を元に放送作家さんが台本へと起こしてくれていますが、初期は渡部さんがディレクションしながら台本まで作ってくれていて。

• 株式会社パピレス 山路健太郎氏

渡部　いまは声優さんの人柄などに合わせた台本になっているんですが、初期は本当にわからなかったので、なんかこうズレてるといいますか……。もちろん出演者さんについて調べてはいたのですが、僕の趣味がちょっと入っちゃう。今振り返って観ると、「なんか違うなこれ」っていう(笑)。

山路　女性がターゲットの番組なので女心がわかってないといけなくて……あ、女性の心がわかってないとは言わないんですが(笑)、なかなか難しいときもありましたね。

渡部　いまは、BARのマスターがお客さんの悩みを聞いて「こういう漫画がありますよ」という流れで紹介するんですが、初期はその流れを毎回こねくり回していて。最後のオチに繋げようとすると最初のフリが長くなっちゃたりして、「それではダメだよ」とか言われてましたね。

作品選定の基準とは

ーー『コミックBAR Renta!』を作っていくなかで、重要視した部分はどのあたりですか?

渡部　朗読ですね。やはりここが一番の見せどころです。朗読って、本によっては静かに聞かせたり間を作りながら読んだり、掛け合いでテンポ良く読んでいくこともあるので、僕らが事前に尺を計って準備してもやり取り次第で変わったりするんですよ。「ここはコマをもっと長く見せたい」とか編集側としての考えもあるので、朗読が一番重要というかカットしたくない部分ですね。

ーー題材となる漫画はどのように選ばれているんですか?

山路　女性がメインターゲットなので初期は少女漫画の人気作品、最近だと幅を持たせて青年漫画とか少年漫画も取り扱っています。そもそも「Renta!」で取り扱う作品数が増えたので、色々選べるようになったのも理由のひとつです。

ただ、最近だと「ジャンル」という概念の垣根が低くなっているんじゃないかと自分では思っていて。女性でも少年漫画や青年漫画を読みますよね。たとえば直近の放送では『ライドンキング』という作品を紹介していて、個人的にはすごく好きですが「番組のターゲットには合っているのか?」と少し不安になったんです。

• 『ライドンキング』(C)馬場康誌/講談社 ※画像クリックで詳細へ

ただ、自社の購買データを調べると結構な割合で女性が読んでいたんです。だから「少年漫画というジャンルだから女性は読まないだろう」といったバイアスは取り払うようにしています。そのうえで、SNSで話題の作品やゲスト声優さんのパーソナルな部分に合わせた作品を選んでいます。

ーー朗読する作品のなかには、男性声優さんが女性キャラクターを演じているものもありますね。

山路　そうですね。基本的にはゲスト声優さんにその作品の主役を演じてもらい、マスターである森嶋さんにはそれを引き立てるキャラクターを朗読してもらっています。結果として、森嶋さんが演じるのが女性キャラクターだったり犬だったりすることは多々ありますね(笑)。ただ、1年に1回くらいは「マスターをカッコよく見せよう!」という回があって。今まで紹介した作品の主人公を今度は森嶋さんに演じてもらう、という取り組みもあります。先日のクリスマス回がそうですね。

ーー番組時間が5分ということで、制作するにあたり苦労した点などありましたか?

渡部　最後20～30秒くらいのトークパートがあるんですが、ここは比較的自由な時間というか、「声優さん同士が和やかに話す時間を設けても良いよね?」みたいな話をして作ったんです。だけど、あるときから“悪ふざけゾーン”みたいになっちゃって(笑)。

例えば「かわいいって言われるけどカッコよくなりたい」というテーマで始まったとき。森嶋さんがゲストにカッコいいセリフをどんどん振ってカメラ目線で言っていくみたいな、無茶ぶりじゃないですけど“遊び”をやりすぎて尺が増えて困ったことはあります(笑)。割とカットすることも多いですね(笑)。

ただ、こういった“遊び”の部分は未公開シーンとして今回の一挙放送特番に組み込まれているので、見どころですね。いつも観てくださっているファンの方には楽しみにしてもらいたいです。

“サービス精神旺盛”なマスター・森嶋秀太

ーー今回放送される一挙放送特番は2019年の振り返りとも言えます。今年放送されたなかで印象に残っている回はありますか?

渡部　平川大輔さんをゲストとしてお呼びした第118回ですね。

• 『Bread&Butter』(C)芦原妃名子/集英社 ※画像クリックで詳細へ

『Bread&Butter』というパン屋さんのお話を取り上げまして。朗読が終わったあとのエンドトークで、スタジオに色んなパンを並べたんです。そのパンのなかから一つ手に取ってもらい、そのパンの名前を「幸せになるような言い方で呼んでもらう」という無茶苦茶な回でした(笑)。

• 第118回より

ーーすごい回ですね(笑)。

渡部　疲れてたのかな、みんな(笑)。一挙放送特番でぜひ確認してほしいんですが、森嶋さんと平川さんが優しく「メロンパン……///」みたいに言っていて、キラキラした演出までつけたりしています。

僕とかはゲラゲラ笑いながら観てるんですが、森嶋さんと平川さんは真剣な顔でやってくれているので、その表情も合わせて見てほしいところです。

• 第118回より

山路　僕は小林大紀さんがゲストだった144回ですね。『ジェンダーレス男子に愛されています。』という作品を紹介しました。

• 『ジェンダーレス男子に愛されています。』(C)ためこう/祥伝社 ※画像クリックで詳細へ

タイトルの通り中性的な男の子が主人公のお話だったので、エンドトークでは森嶋さんと小林さんが女装しながら「インスタ映えする写真を撮ってみよう」ということになりました。

若い女性のメイクさんたちがキャーキャー言いながら小林さんにメイクしていたのが印象的で、その日はとても楽しい収録でしたね(笑)。

• 第144回より

ーー本当にエンドトークでは色んなことをされてるんですね(笑)。そんなエンドトークを毎回こなしている森嶋秀太さんについての印象はいかがですか?

渡部　森嶋さんって、本当に”NO”と言わないんですよ! だからこっちも調子に乗って、何でもお願いしちゃうんです(笑)。

山路　それに加えて、「こうした方が良いんじゃないですか?」とか提案までしてくれるんですよ! 番組制作側からすると本当にありがたい存在です。

渡部　森嶋さんってあんなにイケメンなのに、「こんなところまでやってくれるの!?」っていう。ふざけた台本やボケや変顔までちゃんとやって笑わせてくれるし、視聴者さんを楽しませるためならなんでもやってくれるんです。

山路　森嶋さんは放送外でもとても協力的な人で。Twitterのアイコンも番組の写真にしていたりと、愛着を持ってくれています。ただ本当に頑張り過ぎてしまうので、変顔ももう少し普通でいいですよ(笑)。個人的には、カッコいい森嶋さんでいてほしい気持ちもあります(笑)。

2020年も進化し続ける番組に

ーー『コミックBAR Renta』で「今後はこんなことをやってみたい」といった新たな試みはありますか?

山路　来年の1月で放送開始から丸3年。2020年は勝負の年になると思っていて、大きなリニューアルも考えています。もちろんコアとなる「朗読」といった部分は変えませんが、新しいことにもチャレンジしていこうとは思っています。

山路　ひとつ考えているのは、テレビでは伝えきれなかった部分や未公開映像などをYouTubeで配信すること。現在はテレビで放送した内容をそのままYouTubeで公開しているのですが、YouTubeなら時間制限がないので長めに見せられますし、テレビで観てくれている方も配信で違った形の『コミックBAR Renta!』を楽しめると思っています。テレビでも楽しんで、配信でも楽しんで、SNSでも楽しんで。一石三鳥の番組を目指しています。さらに紹介した作品を「Renta!」で読んで楽しんでいただければ最高ですね(笑)。

ーーそれでは、改めて『コミックBAR Renta!』をどのような方に見てほしいですか?

渡部　制作側も楽しみながら作っている番組ですし、5分という短い時間でスッと観られるので、声優さんや漫画に明るくない方にも引っかかってほしいですね。そしてこの番組をきっかけに、漫画や声優さんなどなにかを好きになってくれればなと。

山路　面白い漫画を探している方には、フッと観ていただければ探しものが見つかると思うのでおすすめですね。SNSで人気の作品やこれから話題になるだろうという作品、さらに「Renta!」でしか扱っていない「Rentaコミックス」というオリジナル作品も紹介しているので。番組で紹介した後にアニメ化された作品もあるんですよ。

ーーそれでは最後に、今回の一挙放送特番の見どころを教えてください。

渡部　これまで観てくれている方も楽しめる内容になっています。いつもは5分で終わってしまうのが今回の放送では3時間ぶっ通しなのでゆっくり観られますし、各回を観ていくと、実は5分ではわからない流れがあるんですよ。「あ、この回朗読いっぱいしゃべってるからエンドトーク短いんだ」とか(笑)。そういうマニアックな楽しみ方もよいですね。

山路 　Twitterで「#BarRenta」というタグをつけて呟いてもらえば、放送中にそのツイートが流れたりもします。観るだけではなく一緒に盛り上げていただけると嬉しいです。

ーー自分のツイートと、自分の好きな声優さんと、自分の好きな漫画が同時に映る可能性もあると!

渡部　そうなったらもう写真を撮りまくりますよね(笑)。

山路　今回初出しの映像もありますので、レギュラー放送を全部観ていただいているファンの方でも、もう一度楽しめる内容になっています。また、今回の放送に合わせて電子書籍レンタルサイト「Renta!」でも特設ページを開設します。キャンペーンも行いますので、番組を観て気になった漫画があればぜひチェックしてみてください。

初めて観る方も見続けてきた方も楽しめる『コミックBAR Renta!』一挙放送特番は、2020年1月2日(木)19:00から放送予定です。2019年の集大成を、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。。

また、通常回はTOKYO MX1(地上波9ch)にて毎週水曜日25:00～25:05、BSフジにて毎週月曜日23:55～24:00に放送しています。見逃した放送はYouTubeでも視聴できるので、こちらも要チェック!

[PR]提供：Renta!(パピレス)