おっはモーニング。酒村です。札幌のすすきのにある大人気のラーメン屋「麺屋雪風」からカップ麺が登場したというニュースを聞いて、コンビニに駆けつけると一番目立つ棚に奉られていた。

家族で行った北海道旅行で、ホテルにこもってネトゲしかしない私を連れ出す口実として使われたのがここのラーメン屋だった。今となれば何故もっと北海道を満喫しなかったのか悔やまれるが、夜にこのラーメンをすすることができたのはいい思い出だ。あとは、マリモを値引き交渉して買った記憶しかない。

そんな思い出のあるラーメン屋の味を、家で味わえる日が来たのだ。普段、味噌ラーメンはなかなか食べる機会がないだけに印象深く残っているのでワクワクしながら素手で持ち帰った。

「雪風」というネーミングはこれから来る季節にぴったりだ。雪のイラストがちらほらプリントされていて、寒い冬の日にあったかいラーメンをすするあの至福を思い出させてくれる。「北の国から」のBGMが脳内再生される。

フタを開けると、5つの袋が入っていた。こんなに数があるのはかなり珍しい。手が込んでいるなと完成への期待が高まる。粉末スープ、液体スープ、かやくに焼豚、あとがけ香味油。

第一軍をお湯で沈めていく。薄く刻まれた白ネギがふわっと雪のように舞っていて美しい。これも雪風という世界観を魅せるために計算されてつくられたのだろうか。4分間待つことに。

残りの3つをブレンドしていくと、味噌の香ばしい香りや焦がしニンニクの香りが一気に部屋を包み込んだ。温かい湯気が少し肌寒い手をじんわりと暖めてくれる。

一足先に冬のラーメンをいただきます。ずるずる。麺のかみごたえがしっかりしている。凛とした麺と一緒に濃厚味噌スープを飲むと、「北の国から」の閉まりかけのラーメン屋で純が泣きじゃくりながら告白するあの名シーンが蘇った。幼い頃に見たので、あまり記憶にないがこのシーンだけは記憶に強く残っている。鶏白湯が使われているからなのか、スープのまろやかさが心地いい。そして、優しさの中には焦がしニンニクのしっかりとした存在感もある。久しぶりに脇役として登場するニンニクを見れた気がする。

スープの中に浮かぶネギのシャキッとした食感があることにより、テンポよく食べ進められる。こんなに罪悪感を感じずにすすることができるラーメンを食べたのはいつぶりだろう。焼豚も厚みはないが、しっかりと豚感が伝わる味わいだった。キクラゲのコリッとした食感もクセになる。

本店でラーメンを食べたのはだいぶ昔の記憶なので、どんな味だったか正確には思い出せないけど、きっとこんな優しい味だったのだろう。上京してからは、家族旅行に行く機会がほとんどなくなってしまったので、またもう一度家族揃って北海道で美味しいラーメンを食べて自然と触れ合いたいなと思わせてくれた食事だった。これからの寒い冬、体も心もめげそうになった時は、また雪風食べて頑張ろうと思った夜であった。