24日夜、『国民が選ぶ! 志村けんの爆笑ベストコント30』(フジテレビ)が放送され、X(Twitter)のトレンドランキングに番組名のほか、「だいじょうぶだぁ」「ひとみばあさん」「芸者コント」「志村けん ビートたけし」「田代まさし」「いしのようこ」「松本典子」などが飛び交った。
さらに特筆すべきは「今も昔も面白い」「普通に再放送してほしいなあ」「懐かしすぎて泣いた」などのポジティブな声が多くを占めたこと。中には「志村けんさんが亡くなって、もう5年経つのに番組作れるって、フジってこういうのできるのってすごい」とまで称えるものもあった。
もちろん志村けん個人の人気は大きいが、何をやっても叩かれるフジテレビの現状を踏まえると、ここまで好反響だったことに驚かされる。現在、「フジテレビで放送されているCMは大半が自社系コンテンツのPR」という苦況が続き、明るい兆しは見えていない。「CM収入が得られない」という制作費の危機が叫ばれる中、このようなコメントは今後に向けたヒントになるのだろうか。
もちろん3月末に予定されている第三者委員会の調査結果に向き合っていくことは前提だが、ここではフジテレビが現在の危機を乗り切っていく上で番組制作上のポイントをテレビ解説者の木村隆志が挙げていく。
「やっぱり面白い」と思わせる戦略
苦境を乗り切っていく上で、今回のようなアーカイブを活用していくことは最善策と言っていいかもしれない。
実際、『志村けんの爆笑ベストコント30』は、コントの面白さはもちろん、ビートたけし、松田聖子、中森明菜、西田敏行、菜々緒、二階堂ふみらとの共演シーンには「この番組でしか見られない」という希少価値が感じられた。
何より大きいのは「フジテレビはやっぱり面白い」と再び思ってもらうきっかけになり得ること。また、局員たちにとっても自局のあるべき姿を再確認し、苦境を耐えて踏ん張る力になるのではないか。
しかも、今回のような視聴者が選ぶ形式を用いることで「番組に参加している」という感覚が芽生え、ひいてはフジテレビへの愛着につながっていく。ちなみに同番組の投票期間は、ちょうどフジテレビに危機が訪れた今年1月からの1か月間だった。そのためフジテレビへの愛着や期待感がある人々からの投票だった感があるが、このような「問題さえ解決されたら、かつてのように楽しませてほしい」というムードをどのように高めていくかが重要だろう。
今回は『志村けんの爆笑ベストコント30』と題して、『ドリフ大爆笑』『志村けんのだいじょうぶだぁ』『志村けんのバカ殿様』の3番組を対象にした総合企画だった。今後、本気でアーカイブをフル活用していくのなら、企画の切り口、演出と出演者などの工夫は必要だが、それぞれの番組で特番を制作していいかもしれない。
番組ジャンルで言えば、コントだけでなく、その他のお笑い系バラエティ、トーク、クイズ、音楽などのアーカイブも活用できるだろう。例えば『クイズ ドレミファドン!』は現在ドラマの番宣特番として活用されているが、イントロクイズやその他の音楽ゲームの過去映像を編集して見せるなどもアリではないか。