「『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』(日本テレビ)が2024年に復活する」というニュースに、ネット上は大きく反応した。なかでも話題の中心は、約3年ぶりの放送であることと、節目間近の99回目であることの2点。最後に開催されたのが2020年12月で放送が2021年2月だったことから、コロナ禍の影響を受けたことは間違いないだろう。

しかし、業界内ではそれだけではなく「100回の節目を目前に放送が見送られているのは、視聴率の低下とコスパの悪さなどの事情もあるのだろう」。さらにその原因として、「やはり視聴者参加番組は難しい時代になったから」という声があがっていた。

40年超の歴史を持ち、視聴者参加番組の象徴と言える『仮装大賞』の復活にはどんな意義があるのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 明日のために、今日つながろう。

    『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』司会の萩本欽一(左)と香取慎吾

■21世紀以降はジワジワと減る一方

現在地上波で放送されている全国放送の視聴者参加番組は、日曜昼の長寿番組である『NHKのど自慢』(NHK)と『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)の2つ。ゴールデン・プライム帯では、月1程度の放送に留まっている『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京)くらいだろうか。

今春に『東大王』(TBS)が“東大王VS視聴者”の形でリニューアルしたが、出場者は歴戦のクイズ猛者ばかりで、誰でも参加できる純粋な視聴者参加番組とは言いがたい。また、特番では『全国高等学校クイズ選手権(高校生クイズ)』(日テレ)、『ハモネプリーグ』(フジテレビ)、『さんま・玉緒のお年玉 あんたの夢をかなえたろかSP』(TBS)らがあるが、放送は年1~2回程度。各局が視聴者参加番組を積極的に放送していないことが分かるだろう。

かつては、『クイズ100人に聞きました』(TBS)、『アップダウンクイズ』(MBS・TBS系)、『クイズタイムショック』(テレ朝)、『クイズ$ミリオネア』(フジ)などのクイズ番組を筆頭に、一獲千金を狙う『しあわせ家族計画』(TBS)や『ココリコミリオン家族』(テレ東)、アトラクションを楽しむ『痛快なりゆき番組 風雲たけし城』(TBS)や『ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー』(テレ朝)、さらに競技系の『TVチャンピオン』(テレ東)やオーディション系の『ASAYAN』(テレ東)など、さまざまなタイプの視聴者参加番組があった。

しかし、そのほとんどが視聴者参加番組の隆盛期とされる70~90年代に放送されたもので、その後はジワジワと数が減少。2010年代以降でめぼしい番組と言えば、『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』(フジ)程度に留まり、同番組も2021年9月でレギュラー放送を終えた。