制作サイドはそれ以外でも、メイキングやオフショット、制作秘話や後日談などを積極的に発信。ネット上の発信だけでなく、『THE TIME,』『ラヴィット!』らにキャストが生出演し、意味深な発言をするなどで記事化され、SNSのコメントを誘発している。

各話の放送終了後すぐに放送される『VIVANT 悪役会議室』(TBSラジオ)、人気キャラクター・ドラムとチンギスのスピンオフ『―VIVANT THE ORIGIN STORY―』(U-NEXT) の配信。

さらに『日曜劇場「VIVANT」第1シーズンスペシャルエディション上映会』(東京国際フォーラム)、ファンミーティング『「VIVANT」PREMIUM SUMMER PARTY』(国立代々木競技場第一体育館)、没入型体験イベント『VIVANT IMMERSIVE MISSION』(CREATIVE MUSEUM TOKYO)、『VIVANT 悪役大会議室』(新宿文化センター大ホール)などのイベント、数え切れないほどの企業コラボなども話題性や考察につなげている。

アジア大会の開催期間(9月19日~10月4日)を含め、情報がこの約3か月間絶え間なく発信され、考察を楽しむ人々はこれらの中からも伏線を探している。

また、物語が進むとともに「予測不能」とは真逆のストレートな熱い人間ドラマが増えていることもネット上が盛り上がる一因だろう。捕らえられた仲間を思う乃木憂助(堺雅人)、ノコル(二宮和也)の兄弟愛、チョッキー(オーム・タナパック)の純愛、ドラム(富栄ドラム)の忠誠心、チンギス(バルサラハガバ・バタボルド)の男泣きなど、「これぞ日曜劇場」というシーンが感情移入を誘うだけではなく、「次はこうなるのではないか」という考察につながっている。

そしてもう1つあげておかなければならないのは、ウェブサイトが積極的な考察記事を発信していること。当初からSNSの考察コメントをピックアップする形で記事化されていたが、徐々に独自の考察を配信する記事が増えている。なかでも断トツはデイリースポーツであり、PVが取れるからどんどん増やしているのではないか。

  • 二宮和也 (C)TBS

    二宮和也 (C)TBS

「1週間ずっと楽しい」が3か月半

制作サイドの脚本・演出と情報発信によって、SNSのコメント、ウェブサイトの記事、ドラマ考察系YouTuberなどの考察が飛び交うという好循環が成立している。

さらに見逃せないのは“アンチ考察”の人々も、結果的に考察を盛り上げる一因となっていること。実際、「考察班が外れまくっているのももはや痛快」などの熱中する人々をイジるようなコメントも多く、「当たっても外れても盛り上がる」という状態に持ち込んだ制作サイドの勝利だろう。

もともと連ドラは週1回の放送が1クール続いて「待っている時間も楽しい」のが醍醐味のコンテンツだった。しかし、人々がせっかちになり「1週間待てない」という人が増えている。また、Netflixなどの有料配信で一気見に慣れた人も同様だろう。

しかし、『VIVANT』は小刻みな情報発信やさまざまな仕掛けを続けることで、放送のない日も視聴者を楽しませようとしている。そんな制作サイドの地道な努力によって「早く次が見たいけど、待っている間もいろいろ考えて楽しい」という連ドラ本来の醍醐味を取り戻すことに成功した。

「1週間ずっと楽しんでいる」という状態が約3か月半続くだけに、放送終了後はひときわ多くの「ロス」が叫ばれるのではないか。「噂される映画化ではなく、最後までテレビで見たい」という人が多いのはお金を払いたくないのではなく、連ドラならではの待つ時間も含めて楽しめるからなのかもしれない。

視聴者にこれほどの愛着を抱かせているのだから、考察系のドラマは多くても『VIVANT』が圧倒的に盛り上がるのは当然だろう。