連載コラム『美人すぎる公認会計士がこっそり教える、やわらかマネー知識』では、公認会計士の平林亮子氏が、その豊富な経験を生かした「お金」に関する知識を、分かりやすく説明します。あなたの人生を変えるような、とっておきのマネー知識が得られるかもしれません。


「年収1000万円」は、区切りの良い憧れの年収ライン!?

年収1000万円以上という言葉に、どんなイメージをお持ちになるでしょうか?

「年収1000万円以上限定の特選求人情報」

「年収1000万円以上の人の生活とは?」

といった言葉や見出しを良く目にしますから、区切りの良い、憧れの年収ラインなのかもしれませんね。

実際、『会社四季報 業界地図2014年版』(東洋経済新報社)によれば、上場企業に勤める方の40歳時点での年収について推計したところ、年収1000万円を超える企業は39社しかないとのことでした。上場企業3000社超のうち、40歳で年収1000万円となるのは39社なのだとしたら、やっぱり憧れの金額だと言えるでしょうね。

一方で、年収1000万円くらいの給料では、たいして良い暮らしはできない、といった記述もあちこちで見かけます。

実際、額面の年収が1000万円とは言っても、税金や社会保険料などもろもろ差し引かれて、手取りは780万円程度(試算方法によって異なる)。もちろん、それでも多額ですけれど、金額のイメージのインパクトの割に手取りが少ないな、と感じるのは私だけでしょうか?

ちなみに、年収500万円の場合には、試算方法にもよりますけれど、手取り400万円超。

年収1000万円を超える企業で働くためには、忙しいために都内に住まないと体がもたないかもしれないとか、高級なスーツを購入する必要があるかもしれないとか、人付き合いにお金がかかるかも知れないとか、余計な支出があるとしたら、実はどちらが本当に幸せであるかはわかりません。

お金について、表面的な数字やイメージで考えると、本当に危険です。年収1000万円を超えるような人が、少し油断して、少し贅沢を重ねているうちに、自己破産に陥ることなども珍しくないのです。

また、年収1000万円と言っても、実際には、個々人で事情は大きく異なるでしょう。独身で年収1000万円の場合と、家族4人で1000万円の場合。

親が残してくれた家や財産がある人と、そうでない人、

奨学金などの借金の返済がある場合と無い場合、なども考えられます。

企業の決算書で、その会社の"年収"や"資産形成状況"が分かる!

そう考えると、お金持ちって何なのでしょうか。

少なくとも、収入と支出の状況、また、財産と借金がどれだけあるか、という情報を得ないと判断できません。

余談ですが、企業の決算書というのは、その情報を示したもの。

収入と支出に相当する情報が、損益計算書やキャッシュフロー計算書に、財産と借金の情報が貸借対照表に記載されています。

そう考えると、それらの情報にどんな意味があるか、少しわかってきそうな気がしませんか?

個人に置き換えれば、

「この人は、年収が多い人なのか?」

「この人は、資産形成している人なのか?」

ということを示している書類なのですから。

もちろん、個人とは見るべき観点が異なる部分もあります。企業においては、いわゆる資産形成をする必要はありませんからね。

とはいえ、ビジネスを継続できるように「資産形成」をしていくこと、つまり、将来への投資をすることは企業においても重要です。将来のためにどんな資産形成をしているか、その財源がどこにあるのか。そんな情報が貸借対照表という書類に記載されています。

損益計算書で、年収(売上)がどれくらいで、いくら使って(費用)、余剰(利益)があるかどうかがわかります。

そしてその余剰が将来のためにどのように使われているのかが、貸借対照表でわかったりするのです。

個人も企業と同じで、将来に向けて資産形成や投資をすることが重要

余談と言いつつ企業の話に触れていたら、個人にも企業の視点を当てはめる意味があるように思えてきました。

それは、個人も企業と同じで、将来に向けて資産形成や投資をすることが重要だということです。そうしないと、未来の変化に対応できなくなりますからね。もちろん、投資と言っても、リスクのある株式投資や不動産投資を意味しているわけではなく、それらも含めて、将来の役に立つ(であろう)ことにお金を使っていくという意味です。

そしてそのためには、まずは、収入をすべて使わず、余剰がある状態を作り出さなければいけません。つまり貯められる体質を作ることが大切なのです。お金を貯めることの重要性はここにあります。貯めること自体が大事なのではなく、それを将来のために使っていくことが必要不可欠なのです。

そう考えると、お金持ちであるかどうかというのは、収入の多寡で決めるべきではないような気がしてきました。一時的な収入や財産の金額以上に、お金をマネジメントできる能力こそ、お金持ちの大切な条件なのではないでしょうか。

執筆者プロフィール : 平林 亮子

公認会計士。「美人すぎる公認会計士」としてTVやラジオ、雑誌など数多くのメディアに出演中。お茶の水女子大学在学中に公認会計士二次試験に合格。卒業後、太田昭和監査法人(現・新日本有限責任監査法人)に入所。国内企業の監査に多数携わる。2000年、公認会計士三次試験合格後、独立。企業の経営コンサルタントを行う傍ら、講演やセミナー講師など多方面で活躍。テレビの情報番組のコメンテーターを始め、ラジオ、新聞、雑誌など幅広いメディアに出演している。