テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。
今回は、インドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、自身の実体験をベースに「リモートワークの現実と未来」について語ります。
場所に制約されない働き方
少し前は「ノマドワーク」「ノマドワーカー」という言葉が定着していました。定着というよりは、一時的な流行だったかもしれません。『モノを捨てよ 世界へ出よう』(高城剛著・宝島社)や『冒険に出よう(U25サバイバル・マニュアル)』(安藤美冬著・ディスカヴァ―・トゥエンティワン)などの本が出版され、メディアでも多く取り上げられていた言葉です。
その後は、「ノマド」という遊牧感のある印象を嫌ってか、「テレワーク」「テレワーカー」という言葉も使われるようになりました。これはあまり定着せず、最近は「リモートワーク」「リモートワーカー」という言葉が普及しています。働き方改革と併せて、大企業や中堅企業で導入されているイメージが強いかもしれませんね。
インターネットが普及している現代では、「出社しないと仕事ができない」という状況は、特にオフィスワークではあまり生じません。セキュリティー対策は必須ですが、事務作業や執筆、デザイン、コーディング、データ分析などの仕事であれば、場所に制約されずに仕事ができるでしょう。
打ち合わせも、テレビ会議で事足りることも多いと思います。信頼関係ができるまでは対面でのコミュニケーションが欠かせませんが、信頼関係が構築できれば、あとは遠隔でもなにも問題ないでしょうね。
バリ島でリモートワークを経験
私は、2012年頃に広告制作の会社に携わってしました。事業を始めた当初は、正社員や契約社員を雇用していましたが、固定費である人件費が黒字化の障壁でした。
途中で在宅の主婦・主夫さんを活用することを思い付き、原稿の品質担保には多少苦戦しましたが、固定費を変動費化して黒字化することができました。その後、事業を軌道に乗せて私はインドネシアのバリ島に移住しました。
そのときに、取引先から「弊社オフィスの外にいらっしゃるのでしたら、沖縄でも海外でも変わりありません。メールでやり取りができて、テレビ会議などでコミュニケーションが取れれば問題ないですから」と言われたことが印象に残っています。確かに、日本にいようが海外にいようが、インターネットがつながるなら大差ないですよね。
バリ島は、日本よりは物価が比較的安いですから(実際は物によりけりですが)、「日本円で稼いでインドネシアルピアで使う」という生活はレバレッジが利いて効率が良かったと思います。さすがに月10万円では生活できませんけどね。
多くのリモートワーカーが登録する会社も
Mamasan&Companyという会社では、経理・会計や給与計算、データ入力、ECサイト運営、広告運用、システム開発、デザイン、プロジェクトマネジメントなどの業務を、登録しているリモートワーカーの方々が行っています。在宅の主婦・主夫さんだけでなく、海外在住の方々も登録しているそうです。
「子育てがひと段落したので、自宅で無理なく働きたい」「子育てをしながら自宅で働きたい」「介護をしながら自宅で働きたい」といった働き手のニーズに応えてくれる会社だと思います。
起業家の方でしたら、こういったサービスを利用して「経理専門スタッフを雇用せずにアウトソーシングする」という選択もできますよね。私が支援しているSAKURA United Solution(会計事務所を基盤とした、各士業や中小企業・ベンチャー企業の経営支援専門家集団)でも、リモートワーカーの方々を上手に活用しています。
自分自身がリモートワーカーになるのも良し、リモートワーカーを上手に活用するのも良し。働き方は、ますます多様化していますね。
次回以降も、実体験をベースに、起業や副業・複業、海外進出、テレワークなどをテーマに役立つ情報をご紹介します。
執筆者プロフィール : 中島 宏明
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。