テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、インドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、自身の実体験をベースに「スラッシャーという生き方・働き方」について語ります。


スラッシャーってなに?

スラッシャーとは、複数の仕事を同時多発的に行う働き方をしている人のことです。ひとつの肩書にとらわれず、複数の肩書を「/(スラッシュ)」で結び付ける人ですね。

「副業」という言葉は、あくまでも本業があり、そこに収入を追加する、あるいは補うという意味合いの印象が強く残ります。英語にすると「side job」ですから、メインに対してのサブ、オマケという感じもしますよね。

最近使われるようになった「複業」という言葉は、パラレルワークと訳されることもあり、その場合はメインとサブという概念ではなく、あくまでも「並立」しているイメージです。

大手企業や一部の金融機関でも副業が解禁されるようになりました。これは、「終身雇用はもうできない。給与で足りない分は自分で稼いでね」ということでしょう。多くの経営者の方々の本音でもあると思います。ですから、おのずと複数の仕事をするスラッシャーは増えていくでしょうね。

身近な人はみんなスラッシャーだった

私の父は、経営コンサルタント(中小企業診断士)であり、社会保険労務士であり、宅地建物取引士であり、エンジニアでもありました。

また、学生時代にお世話になった教授は、画家であり、作家であり、大学教授でもありました。同じく、学生時代にお世話になった講師の先生は、作家であり、編集者であり、大学講師でもありました。

中には、「専門は都市や建築だけど、記録として写真を撮っていたら写真史や写真について教えるようになった」という准教授の方もいらっしゃいました。

このように、私の周りには複数の肩書を持っている人が多く、その影響からか、肩書にとらわれない生き方・働き方のほうが私には自然なことに感じるのです。

今時、肩書で態度を変えるような人は稀ですし、素晴らしい肩書だからと言っても、仕事がちゃんとできるかどうかは別の話です。人を見極めるときも、肩書にとらわれず、本質をきちんと見極められないといけませんよね。

点と点を結び付け、面や立体、多次元にしていく

私の場合、「投資家/暗号通貨の人/バリ島不動産の人/経営アドバイザー/社外取締役(社外役員)/編集者(メディアディレクター)/ライター」などの肩書があります。

こうなった経緯などを説明するのは何かと面倒なので、「ライターです」と名乗ることもありますし、「投資家ですかね」と名乗ることもあります。「ふらふらしてます」と言うこともしばしばです。

基本的に、今している仕事はご縁から始まった仕事が多く、本記事のような原稿執筆も同様です。あまり後先は考えておらず、流れに身を任せることの方が多いのですが、ときどき「あの人とあの人を引き合わせたら、双方にメリットがあり、社会にも役立つ」「建設的に進めていけば、いずれは世界でスケールするかもしれない」という出会いがあります。

こういった出会いやちょっとしたアイディアが、経営者のビジョンの実現に貢献できたりするんですよね。

一人ひとりや一社一社だけを見れば、点と点でしかありません。しかし、点と点を結び付け、面や立体、多次元にしていくことで、速く夢が叶ったりします。俯瞰的にとらえて、人や企業を結び付けることができるのも、複数の肩書や仕事を持つスラッシャーの強みかもしれませんね。

次回以降も、実体験をベースに、起業や副業・複業、海外進出、テレワークなどをテーマに役立つ情報をご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。