――今後、こういう番組を作ってみたいという構想はありますか?

これまで作ってきたのは結構どバラエティが多いので。骨太なドキュメンタリーとか撮ってみたいです(笑)。『グレートコネクション』ってズケズケと突撃していくじゃないですか。あの感じでドキュメンタリーの取材対象者にカメラを向けたときに、どういう反応するのかなって思うんですよね。ドキュメンタリーって客観として距離を置きながら作る番組だと思うんですけど、主観でガンガン入ったときに、どういう素が出るのかなと思ったりしますね。もはやドキュメンタリーじゃないのかもしれませんけど(笑)

――先ほど、「グレートさんたちが壁をぶっ壊してくれる」というお話もありましたが、最近はテレビの規制が増えていると言われることについて、いかがですか?

確かに「コンプラ、コンプラ」ってうるさくなっていると思うんですけど、日テレの先輩たちの名言で、「制限の中こそ意外と新しいことが生まれる」という言葉を聞いたのが印象に残っています。『イッテQ』は石油が高騰して飛行機代が高くなったときに、タレントさん連れてくのにお金かかるな…ってので、当時無名だったイモト(アヤコ)さんを発掘したって聞きました。そういう条件の中で、そこでしか見れないものが生まれたんですよね。

――「若者のテレビ離れ」と言われることについてはいかがですか?

僕、休みの日に映像の自主制作をやってるんですよ。そこでメディアアート界隈の人たちとも付き合ってるんですけど、皆さん結構テレビを見てるんですよね。「この前のあの番組面白かったね」って話をいつもするんです。ただ、録画で見ているので、リアルタイムで見る意味のあるものを作らないといけないなという意識は、すごくあります。『半沢直樹』(13年、TBS)だって、(視聴率)40%を超えるんですから。そうすると、やはりオリジナリティが大事になってくると思うので、他がやってない独自の企画をやりたいとい想いが強いですね。

■入社試験で「Tプロデューサーみたいになりたい」

――ご自身が影響を受けた番組を1つ挙げるとすると何ですか?

『電波少年』ですね。入社試験のときにも言いました。初めて見たとき「なんだこの番組!?」って思いましたもん。松村(邦洋)さんのアポなし企画も好きでしたし、なすびさんは「なんでこの人は裸で部屋に閉じ込められてるんだ!?」って。もう狂気の沙汰じゃないですか(笑)。人間が追い込まれたときに出てくるリアリティーみたいなところが好きなんでしょうね。僕が今、ロケで人の細かい部分をずっと見て、追い込んだりするのは『電波少年』の影響なのかもしれませんね(笑)。『沸騰ワード10』のロケで、風間(俊介)さんに「増田さんってほんと性格悪いよねー」ってよく言われてましたし(笑)

――『電波少年』が好きで日テレさんに入ってバラエティをやるというのは、志望通りに進んだんですね。

そうですそうです。「Tプロデューサー(土屋敏男氏)みたいになりたいです」って書いて応募して、面接で「これどういうこと?」って言われて(笑)。テレビには出られたんで夢はかなったのかな(笑)

――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”をお伺いしたいのですが…

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京)って面白いですよね。本当に見たことのない画を撮ってくるじゃないですか。たぶん「思いっきりやってまえ!」って感じでロケに行ってると思うんですけど、そこに行くための緻密な計算や努力が見て分かります。あと、他局のディレクターに聞いたんですけど、そのディレクターさんは、社内にタープを張ってキャンプみたいな体勢で編集してるっていう都市伝説を聞いて相当ヤバい人だなと思ったので(笑)、面識はないのですが、ぜひ話を聞いてみたいです。

次回の“テレビ屋”は…

テレビ東京『ハイパーハードボイルドグルメリポート』上出遼平氏