• 『有吉ゼミ』11月19日(19:00~21:00)は2時間スペシャル。劇団EXILEVSメガキーマカレーにニセTAKAHIROも参戦する「チャレンジグルメ」、ドン小西の娘&冒険家三浦雄一郎の仰天エピソードが飛び出す「二世芸能人親バカNo.1決定戦」、そして「はなわ柔道三兄弟」は長男・元輝くんが高校最後のインターハイに挑む。(C)NTV

――特に『有吉ゼミ』は視聴率好調ですが、人気の背景はどのように分析されていますか?

やっぱりリアリティですね。ヒロミさんがリフォームをやるに当たっても、設計の段階から入って、どういう作品を作りたいかというのを細かくやられているので、究極のリアルだと思うんです。一流の方はそういう創作をするときに、考えることが他人と違うんですよ。『24時間テレビ』で子ども食堂をリフォームしたとき、「食器を返すスペースを作らないと子どもが自分で食器を持っていかないよ」と、ヒロミさん自身が発案するんです。その発想って、我々スタッフが頑張っても、やっぱり出てこないんですよ。そして、24時間リフォームをやってもらって、最後にヒロミさんが涙されて、それを見て坂上さんも涙する…あれって、妥協している人には絶対出ない涙じゃないですか。それがちゃんと伝わるのが今のテレビですよね。『有吉ゼミ』では、皆さんが大変なことをやってくれて、それだけ時間と手間をかけているから見てくれるんですよね。

――ところで、ヒロミさんとリフォーム企画で師弟タッグを組む滝沢秀明さんが、今年いっぱいで芸能活動を引退されることになりますが、あらためて滝沢さんの魅力はどんなところでしょうか?

あの師弟関係は本当にリアルなんですよ。滝沢さんって、ヒロミさんがカンナで削ってる横で、ずっと木くずを吹いてるんです。とんでもないスターが6畳くらいの作業場で、クーラーも効かない中で木くずをずっと吹いている。他にも、ヒロミさんの横で天板を押さえてたり、職人の場だと覚悟してヒロミさんと同じようにメイクもしていない。そういう、ちゃんと仕事に向き合う姿勢だから、素敵でカッコいいんだろうなって思いますね。ことさらナレーションでは触れないんですけど、画にはちゃんと映っているので、視聴者の方に伝わっているんですよね。

すごい人をすごいと見せる番組を

――『有吉ゼミ』の今後の展望というのは、ありますか?

こういう作り方なので、あまり明確にはないです。本当に流れのままに流されている感じなんですよね。3年半密着している「はなわ柔道三兄弟」なんて、最初ははなわ家が子供に巨大なハンバーグを作っているらしいとカメラが密着したら、そのディレクターのVTRが面白すぎて…。せっかくだから柔道を追いかけようという話になり、すると元輝くんが中学校で全国3位になり、いまや高校柔道の引退まで追いかけています。こっちの意図を超えたところにあえて流される覚悟みたいなことも大事なのかもしれません。その結果、見たことがない芸能人の一面にたどり着けるかもしれないので。芸能人の方の能力って本当にすごいと思うんですよね。

坂上さんが土地を買って家を建てる様子を全部見せちゃう度胸もすごいですし、ヒロミさんのセンスもそうですし。Sexy Zoneの冠番組をやったんですけど、「アニメーションダンス」を3日間でマスターするという企画で、見事なパフォーマンスを見せてくれるわけですよ。そのすごさをテレビが忘れちゃいけないと思うんです。本当にすごい人たちがそこにいるんだから、小手先の編集に頼らずに、すごい人をすごいと見せていくような番組を作っていけばいいんじゃないかという気がしています。

――よく日テレさんの番組は企画ありき、フジテレビさんはタレントありきという言い方をする人もいますが…。

そういう時代もあったのかもしれませんが、今はもうそんな二項対立の時代ではないと思います。『有吉ゼミ』で言えば、純粋な企画というよりは、やっぱりタレントさんに活躍してもらうということが本質になっていて、だからタイトルをすごいシンプルにしてるんですよ。「坂上忍、家を買う。」とか「ヒロミ、自宅を作る。」とか、それを聞いたときに一瞬で見たいと思うかどうかというのをすごく大事にしています。

スタッフが皆好きになるSexy Zone

――先ほどSexy Zoneさんのお話もありましたが、橋本さんは、彼らがメインパーソナリティーを務めた今年の『24時間テレビ』の総合演出も担当されましたよね。

『24時間テレビ41』にスペシャルサポーターとして参加した南原清隆

長丁場でしたが、楽しくやらせていただきました(笑)

――Sexy Zoneさんの印象はいかがでしたか?

何事にも全力で、全く手を抜かないので、スタッフみんなが本当に好きになりますね。愛されるということも、今の時代に合ってる気がします。今回彼らには、すごく時間をかけることをやってもらったんです。松島聡くんとマリウス葉くんが、南原(清隆)さんと生放送でブラインドダンスの大会に出ましたが、それまでに何カ月も稽古場を借りて練習しなきゃいけないし、菊池風磨くんのウォーターショーも、佐藤勝利くんのオーケストラも、ケンティー(中島健人)のドラマも、どれもものすごく時間をかけているんです。同期の吉無田総合Pと相談して“努力はウソをつかない”、“リアルはちゃんと見ている人に伝わる”という信念で作ろうと。それが形になって本当に良かったなと思います。

本番終了後に、南原さんと会話したときに「テレビの可能性をあきらめないでほしい」っていう話をされて、すごくグッときたんです。みんな勝手に「テレビの影響力って小さくなってるよね」って言いがちですけど、そうやって汗をかいたものって、やっぱりちゃんと伝わるんですよ。うちの母親も、「ヒロミさんのリフォームに刺激を受けて、自宅リフォームした」とか言うんですけど、僕の母親世代が、『有吉ゼミ』を見て自分の家をどう変えようかという教科書にしてくれてるんですよね。『24時間テレビ』の今年のテーマは「人生を変えてくれた人」で、人生を変えてくれた人との絆を描きたいということもあったんですけど、やっぱりテレビって人生を変えてくれるものじゃないですか。僕もテレビを見て憧れて、いまテレビを作ってるわけで、その影響力を作り手が諦めたら終わりだろうという気持ちがあります。