――お話を伺っていると本当にバイタリティあふれる姿勢で『シナぷしゅ』に向き合っていることが伝わってくるのですが、仕事と子育てについては、どうやって両立されているのでしょうか。
「両立」という概念自体がよくないのかもしれないと思っています。私は定期的に「両立」という言葉の意味を調べるのですが、日本人って「部活と勉強の両立」とか、両立という言葉が好きですよね。でも、子育てと仕事を同時になんて実際にはできません。今この瞬間は仕事をしているだけだし、家にいる時は子育てをしているだけ。だから私のポリシーは、「目の前のことを一生懸命やる」ということだけです。
私の場合は、仕事がうまくいかなかった日でも、「でも今日子育て頑張ったし」と思えるし、逆に子育てでしくじっても「今日仕事は頑張ったし」と自分を甘やかせると思っています。「両立」という概念で自分を苦しめるより、「2つあるからこそ、毎日自分に花丸をつけられる」と考えるといいかもしれません。
もちろん、家族も総力戦です。「月曜日は私がお迎え、火曜日は夫、木曜日は夫のお母さん、ここはうちの母にお願いします」という感じで、私が“バイトリーダー”みたいに、毎週シフトを組んでいます(笑)
――家でも仕事のことを考えることは多いですか?
仕事と人生が結構一体化していますね。家でもよく分からない歌詞を書いていたり、クリエイターさんと電話していたりするので、子どもたちは私の仕事仲間の名前をたくさん知っています(笑)。撮影に連れて行くこともありますし、スタッフみんなで子どもを育てているような感覚もあります。
赤ちゃんに等しく届く“音”を大切に
――ご自身が影響を受けたテレビ番組を1本挙げるとしたら、何でしょうか。
ドラマの『中学聖日記』(18年、TBS)です。劇中音楽がとても好きで、『シナぷしゅ』を立ち上げるにあたって音楽の発注先を探していた時、そのエンドロールを調べて、作曲家の信澤宣明さんの事務所に連絡を取りました。
『シナぷしゅ』にとって、音はものすごく大事なんです。0歳6カ月ぐらいの赤ちゃんは、まだ腰が座っていないので、寝転がってテレビを見ていることもあります。画面を縦に作っても、見え方が限られる子たちがいる。その点、音は寝転がっていても等しく耳に入ります。だから、音でどうアプローチするかはとても重要なんです。
テレビ番組って、実は音楽がリッチなんです。YouTubeはどれも同じようなフリー音源が流れていることが多いですが、テレビは番組ごとにオリジナルの音楽を作っていたりする。その豊かさが、『シナぷしゅ』の音楽へのこだわりにもつながっています。
――いろいろお話をいただき、ありがとうございました。最後に、注目している“テレビ屋”を教えてください。
弊社の大森時生です。『このテープもってないですか?』や『TXQ FICTION』シリーズなど、フェイクドキュメンタリーの手法で独自の世界観を作り上げていて、FORBES JAPANの「30 UNDER 30」にも選ばれた注目の若手プロデューサーです。
実は、『シナぷしゅ』にも「こういうのが作りたいんです!」とコーナーディレクターとして参加してくれているんです。乳幼児向けの仕事もフェイクドキュメンタリーも同じ熱量でやれてしまう振り幅がすごいなと思っています。


