テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第261回は、4日に放送された日本テレビ系バラエティ特番『ダウンタウン vs Z世代 ヤバイ昭和あり?なし?』(19:00~)をピックアップする。

昨年8月13日に「ダウンタウン6年ぶりの日テレ新特番」として放送され、高視聴率を獲得したほか、民放各局の番組制作に大きな影響を与えた大型特番の第2弾。今回も「ヤバイ昭和」で、当時の映像とともに昭和世代とZ世代のトークバトルが予告されていた。

前回放送からの約半年間、「ヤバイ昭和」は他局の番組に消費され続けているだけに、どんな違いを見せたのか。

  • 『ダウンタウンvsZ世代』MCのダウンタウン

    『ダウンタウンvsZ世代』MCのダウンタウン

■序盤は『あぶない刑事』で手堅く爆笑

浜田雅功のタイトルコールに続いて、最初のテーマである「昭和の暮らし」がスタート。前回同様、昭和45年に放送された『暮らしの豆辞典』の映像が流れ、「賞味期限がなかった」「イチゴスプーン」「鳥型の皮むき器」などが紹介された。派手なものではなくあえて「軽めのあるある」を選んだところに、前回の成功を受けた自信が感じられる。

スタジオトークを挟んで「3色ふりかけ」を紹介し、「バタークリームケーキ」をスタジオで実食。池田美優、ゆうちゃみらがまずそうな顔でリアクションを取り、結局Z世代の判定は「あり2人・なし8人」だった。

続いて「風邪対策」「アポなし突撃の『突撃!隣の晩ごはん』」「蠅帳」「くみ取り式トイレ」「シートベルトはしない」「黒電話のカバー」「ドアノブカバー」「50音別の電話帳」「肝油」「ド派手な霊柩車」を立て続けに紹介。さらに「小学校の体育授業で行われた交通事故対策」としてフラッシュドッジボールや柔道の受け身の映像が流れ、最初の大きな笑いにつながった。中日映画社からの映像提供だったが、制作サイドの目利きが素晴らしい。

次にフィーチャーされたのは、昭和61年放送のドラマ『あぶない刑事』(日テレ系)。「刑事が犯人追跡のためにバイクを強奪し、持ち主が追いかけてくると殴って撃退する」「覚せい剤や麻薬をなめて確認する」などのシーンがピックアップされた。

さらに、「医学的になめるとどうなるのか」を医師に尋ね、「非常に強い味覚障害」などの解説を引き出して笑いを誘う。開始30分で一気にギアをトップに入れてたたみかける編集は日テレの真骨頂であり、視聴者の心をつかんだ感があった。

次に、スタジオでゆうちゃみが昭和のコカ・コーラ自動販売機を実演して「昭和の暮らし」は終了。2番目のテーマ「昭和の子ども」が始まった。

■ダウンタウン初舞台を再現ドラマで

まず、危険な遊びとして「ぶらさがりシーソー」「回旋塔」を見せたあと、「裸で授業」の映像をピックアップ。教師が裸の理由について「表情が豊かになり、活発になりまして、食欲が出る」と話すコメントをかぶせて笑わせた。

続いて、「パチンコを打つ子ども」「10円ゲーム」「空き瓶探しで小遣い稼ぎ」「ラッセルヨーヨー」を紹介し、スタジオにヨーヨー名人を招いて往年の技を披露。「スーパーカーショー」「火薬のおもちゃ」の映像を見せたあと、スタジオで10円ゲームの「新幹線ゲームII」が実演された。

次に、「ハチに刺されたらオシッコをかける」という当時の習慣が映され、再び医師が「尿は雑菌だらけ」とバッサリ。さらに、「一方、昭和のお父さんは」というナレーションで流れた通勤ラッシュの映像には、電車からはみ出るようにぶらさがったサラリーマンの姿が映されていた。「海外ではなく日本の映像です」というナレーションでオチをつけたが、ローカル独立局のサンテレビから提供を受けた映像であり、ここでもスタッフの仕事が光る。

続けざまに紹介されたのは、昭和40年代に流行った「昆虫採集セット」。注射器や殺虫と腐敗防止の薬剤が問題となって販売中止になったようだが、スタジオのZ世代ジャッジは「あり2人・なし8人」だった。

話題が「昭和の学校」に変わり、映されたのは昭和61年のドラマ『妻たちの課外授業II』(日テレ系)。教師が小学生たちを次々に殴っていくシーンで衝撃を誘ったあと、「天然パーマを証明する頭髪証明書」「制服のプラスチックカラー」「林間学校」などの“あるある”ネタを連続した。

さらに、ダウンタウンが中学2年生のときに初めて同じクラスになり、林間学校での発表会で初ステージを飾ったエピソードをドラマ仕立てで再現。「いかにダウンタウンの昭和時代エピソードを引き出して盛り上げるか」はこの特番のマストテーマであり、今回はここがポイントだったのだろう。

最後に「スパルタ教育」がピックアップされ、昭和のアニメ『巨人の星』『アタックNo.1』が紹介されて「昭和の子ども」は終了した。