テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第249回は、5日に放送されたフジテレビのバラエティ番組『イタズラジャーニー』(毎週土曜18:30~)をピックアップする。

今秋の改編は各局とも動きが少なかったが、新番組で最も楽しみにしていたのがこの番組。「かまいたち、チョコレートプラネットという現在の超売れっ子がひたすらイタズラを仕掛けられる」というシンプルなコンセプトだけに、山内健司、濱家隆一、長田庄平、松尾駿+進行役の渋谷凪咲がどう笑いに変えていくのか見ものだ。

20年にわたって放送された『もしもツアーズ』の後番組であり、局内での期待値も高いという。

かまいたち(上段)とチョコレートプラネット

かまいたち(上段)とチョコレートプラネット

■イタズラの適正数はいくつなのか

オープニングでは、まず「旅に、笑いを。」の文字が表示され、「笑い」の上に「イタズラ」のふりがなが挿入された。続くナレーションは、「レギュラー発進した『イタズラジャーニー』。今回の舞台は愛知県犬山市」。ナレーターは木村匡也であり、この声を聞くといまだに『めちゃ×2イケてるッ!』(フジ系)を思い出して笑いのムードを感じる人が多いのではないか。シンプルだが、番組開始から数秒の演出で期待感が高まっていく。

次に映されたのは前回放送のダイジェスト。松尾がウェットスーツではなく「浮力ゼロ」の阪神タイガース・掛布雅之のユニフォーム姿にされ、野球のスコアボードを模したボードで激流下りの「リバーブギ」に挑むまでの経緯が映された。

さらに、今回の予告映像が始まり、激流に飲まれそうな長田、強烈な放水を受ける山内の姿が映されたあと、「濱家ヒーロー参上 コスプレ×ハロウィンBBQ」の文字を表示。のび太にふんした山内、プロゴルファー猿にふんした松尾の姿を映したところで2分弱のオープニングが終了した。「30分番組でここまでネタバレしてもいいのか?」と思わされたが、「まだレギュラー化2回目だけに、これくらいやって視聴者を引きつけなければいけない」ということか。

本編がスタートすると、画面左側にロールプレイングゲーム風のイラストで「イタズラ経験値」が表示された。そこには、「山内 大玉」「濱家 クリーム砲 ビリビリペン 痛風」「長田 クリーム砲 ビリビリペン」「松尾 クリーム砲 掛布 スコアボード」と初回放送で食らったイタズラが書かれている。

イタズラの種類は4つだったが、この数は適正なのか。少ないと物足りないし、多すぎると視聴者層を選ぶ番組になってしまいかねない。いち早く適正数を見極める作り手のセンスが問われそうだ。

リバーブギは朝7時にスタート。強烈なスケジュールだが、売れっ子をロケ番組に起用する以上、こうなるのは当然であり、手配する現場スタッフの苦労が感じられる。

ちなみに痛風の濱家は見学で、川下りは山内、長田、松尾の3人のみ。痛風持ちの濱家をメンバーに組み込んだことで、イタズラの幅に影響があるのか。構成作家たちにとっては腕の見せどころと言えそうだ。

■涙目でブチキレたチョコプラ・松尾

リバーブギは全長3kmのロングコースだが、スタート直後は「気持ちいい」「楽しい」という声が出るなど、序盤は流れが緩やか。しかし、「強力放水武器屋×2」というテロップが表示され、猛攻撃を受けた3人はびしょ濡れにされてしまう。これが今回最初のイタズラだった。

それでも3人は、「イタズラの標的となったときに身代わりの指名ができるチケット」を賭けて、必死の形相でゴールを目指す。

一方、ゴール地点の2人は…

渋谷「濱家さんっていつもこんな台本を頭に入れてるんですか?」
濱家「入れてない。『手元カンペだけ』ってのはあんまりないなあ。前に出されるカンペがあるから」
渋谷「こんなんやってたら濱家さんスゴ~と思って」
濱家「いや全然」
渋谷「私、夜いっぱい読んでも何か全然頭に入らない」

と、のんびりモード。常に満面の笑みを浮かべている渋谷の主な役割は、過激なイタズラとのギャップを見せることなのだろう。

続く試練は、「前日の雨で絶賛増水中! 天からの贈り物、高さ2mの荒波ゾーン」。「作戦:いのちだいじに」の文字が表示され、「ギリ決行できる増水レベル。リバーブギ最上級のスリルを楽しむジャーニーたち」というナレーションが入るほどの荒波に、3人はいつ溺れてもおかしくない姿を見せたほか、水をガブ飲みしていた。

けっきょく勝ったのは長田で、山内は疲労困ぱいで流されながら2位を確保したが、松尾は逆流に乗ってしまい、断トツ最下位でゴール。松尾は開口一番、「僕は今日でこの番組辞めます」とこぼし、その後も「マジで危なかった。本当に危ないコレ」「死ぬかと思った」「ホント腹立っちゃって」「早退させてください」と涙目でブチ切れて笑いを誘った。

今の時代、「かわいそう」「イジメに見える」と思う視聴者もいるだろう。ただそれでも、「この4人なら笑いとして見せられる」というムードがあり、今後も「ボヤきながら、楽しそうにも見える」という絶妙のバランスを見せてくれるのではないか。

そんなひん死の松尾を尻目に、渋谷は「それではみなさん、次の目的地に行きましょう!」と容赦なし。やはりその笑顔が番組のメリハリになり、土曜夕方らしい明るいムードを保つ立役者に見えた。