2つ目はメールのスクショで「親から『山いらない?』と言われました。何言ってるか分かりません」というご報告をした女性に取材依頼。どう見ても普通の大学生である野口雪乃さんは「中学生くらいのときに1つ山をもらっていて、追加でまた4つ。合計で5つ持ってます」と語った。

さらに、「祖父はパソコン教室を開いていて、いろいろな人からいろいろなものをもらってくる」「大学生になってから冷凍ウインナー500本を送ってもらった。以前はバスをもらって家族で乗っていた」などと語って期待感をあおったが、何と祖父への取材はNGでVTR終了。

予想外の展開に澤部が「いきなり怖い終わり方!」とツッコミを入れ、岩井も「こういうのって『取材できなかったけど、もう1回交渉したら何とか』っていうのを流すんじゃないの?」と続いた。これは『家、ついて行ってイイですか?』などでもよく見られる演出であり、「中途半端」というより、むしろ「リアリティを担保する」というポジティブな印象を残している。

3つ目は「初任給21万円を全額競馬に突っ込みます」という平将輝さんのご報告。平さんは「『初任給は一生に1回だからどう使うか』を社長に相談したら『絶対に忘れない使い方をしたほうがいいよ』って言ってもらった」と話し、まったく経験のない競馬に挑戦するという。

平さんはあみだくじで決めた馬に単勝1点買いし、「さすがそんなに甘くないだろう……」と見ていると見事的中して132万円をゲット。この意外な展開にスタジオメンバーが驚いたあと、「30万円は母親に振り込んで、次の日のオークスで21万円を単勝で買ったけどハズれた」ことを明かしてVTRは終わった。もう少し深掘りしたほうが面白かったのかもしれないが、そこは一般人。サービス精神を見せてくれるとは限らず、「これ以上掘るものがない」という形で終わってしまうこともあるのだろう。

最後に大西が「エッ、これ気になるんですけど、読んでもいいですか?」と切り出して、なにわ男子のアルバムを告知。これに澤部が「めちゃくちゃ告知はしやすい番組かもね」、岩井が「ご報告だからね」と反応して番組は終了した。

■足で稼ぐ他の番組より効率はいい

いずれのご報告も、文字だけで見たら「ウソだろ!」とツッコミを入れたくなるものばかりだが、一般人が実名で語っているだけにリアリティは十分。また、だからこそ1つ1つのクオリティに差があって当然であり、ドキュメントバラエティとしての見応えがあった。

下記に今年放送されたその他の主なエピソードを挙げていこう。

「28歳の女子プロレスラーが10年間会っていない父に職業をご報告」
「34歳で初めて彼女ができた男性が人生初のキスをご報告できるか」
「37歳の男性が3年ぶりに会うマラウイ人の彼女にプロポーズ」
「76歳の男性が半世紀ぶりにボクシング日本王者へ挑戦」
「35歳のクイズ好き男性に人生の彼女ができた」
「43歳の男性が全て自作で作った鉄道の一般公開を行う」

年齢層も内容も何でもアリで、ドキドキ、感動、笑いのバランスも上々なだけに、ゴールデン・プライムタイム向きの番組に見える。VTRを見てツッコミを入れていくハライチと高橋のコメントは視聴者目線に留めるなど、抑制が効いていてエピソードを邪魔しない。

ただ、「ネット検索をもとにリサーチができる」という点では、足で稼ぐ他の番組より効率がいい反面、「ハズレも多い」のではないか。

そもそも「“ご報告”というフレーズだけにこだわる必要性があるのか」「本当はご報告の前に密着できるのがベターではないか」という点も含め、その解釈はレギュラー化に向けてブラッシュアップしていく必要性がありそうだ。

■次の“贔屓”は……大物MCたちのロケテクニックを問う『上田若林の撮れ高』

上田晋也(左)と若林正恭

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、17日に放送される日本テレビ系特番『上田若林の撮れ高』(23:00~)。

プライベートでも仲のいい上田晋也と若林正恭が自分たちの力で撮れ高を作り上げていくロケチャレンジ企画。3月27日に次ぐ第2弾であり、放送間隔の短さに期待のほどがうかがえる。

このところ、かまいたちのブレイクや、なすなかにしにスポットが当たるなどロケ巧者への評価が高まっているだけに、大物MCとなった2人がどんなテクニックを見せるのか。ちなみに前回は『ぶらり途中下車の度』ですら一度も下車されていない鶴見市場駅でロケが行われ、普段とは異なるさまざまな表情が見られた。

いまだコロナ禍が終わらないながら需要が高まっているロケ番組そのものについても、掘り下げていきたい。