最後のCMが明けると、オフショットの映像が流れ、藤井の「無茶苦茶アドリブ入れてくるから……すごいですねホント、シソンヌさんとヒコロヒーさん」という声がピックアップされた。

番組が終わった瞬間、気づかされたのは、「お笑いが大好き」なはずの藤井から、楽しそうな姿、充実感、手応えなどが伝わらなかったこと。やはり「見る」と「やる」、「好き」と「うまい」は違うということか。芸人のすごさやコントの難しさを感じたかもしれないが、「お笑いが大好き」ならばこの経験値を生かして第2弾にぜひ挑んでほしい。

番組の最後に「Bonus Track TELASA限定配信!!」という文字が表示され、「名曲カバー」というコントでジョイマン・高木晋哉と藤井のラップバトル、さらに「Special Live『それでは、』弾き語り」の映像がチラ見せされた。ファンにしてみれば、「これならお金を払ってでも見たい」と思わせるインパクトのコンテンツではないか。

「地上波と自社系動画配信サービスの連携で稼ぐ」というマネタイズはドラマでよく見られる手法であり、バラエティでは難しいと言われているが、藤井のような人気アーティストが絡めば期待できるということか。

「アーティストの冠バラエティ」で思い出すのは、いまだに『桑田佳祐の音楽寅さん~MUSIC TIGER~』(フジテレビ系)や、『福山エンヂニヤリング』(カンテレ・フジ系)あたりの人が多いだろう。あるいは、ほぼDREAMS COME TRUEの冠バラエティだった『うれしたのし大好き』(フジ系)を思い出す人がいるかもしれない。

いずれにしてもかなり前の番組であり、アイドルの冠バラエティは多いが、アーティストのそれは少ない。「個人の嗜好が細分化され、国民的アーティストが生まれにくくなった」という背景こそあるが、ならば冠番組でなくてもいいだろう。

実際、男女を問わずアイドルは芸人たちに混じってコントに参加するケースが目立つし、技術的には決して無理はないはずだ。独自の感性と表現力を持つ彼らのコント、さらには街ロケ、ドッキリなどをもっと見てみたい。各局の制作サイドは、特にネット中心に活動する人気アーティストたちにダメ元で声をかけてもいいのではないか。

■次の“贔屓”は……何もない状態からいくら稼げるのか!? 『錬金バトルKASEGE』

『錬金バトルKASEGE』MCの佐藤隆太

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、7日に放送される日本テレビ系バラエティ特番『錬金バトル KASEGE』(19:56~)。

番組のコンセプトは、「人は何もない状態からお金を稼ぐことができるのか」。フリマアプリ、フラワーアート、アップサイクル、アウトドアの達人が、それぞれの強みを駆使した商品を生み出し、フリマアプリでの売上を競っていく。

同特番は昨年11月14日、昼すぎの特番枠『サンバリュ』で放送され、今回は土曜ゴールデンへ一気に昇格。「何が売れるのか、それとも売れないのか」「サバイバルしながらお金を稼ぐことはできるのか」というリアルな面白さに加えて、「一般人メインのドキュメントバラエティが土曜ゴールデンで通用するのか」も気になるところだ。