テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第223回は、7日に放送された日本テレビ系バラエティ特番『錬金バトル KASEGE』(19:56~)をピックアップする。

同特番は昨年7月と11月に日曜昼すぎの特番枠『サンバリュ』で放送され、今回は土曜ゴールデンへ一気に昇格。「何が売れるのか、それとも売れないのか」というリアリティに加えて、「一般人メインのドキュメントバラエティが土曜ゴールデンで通用するのか」も気になるところだ。

  • 『錬金バトルKASEGE』MCの佐藤隆太

■一般人だから重要な強気のコメント

番組はMC・佐藤隆太の「あなたは何もない無人島でお金を生み出すことができますか? 今やスマホさえあればいつでもどこでもお金を稼げる時代。ならば……」というコメントでスタート。「人はどんな場所でも錬金できるのか?」という文字が表示され、ファーストステージが行われる無人島が映し出された。

次に聞こえてきたのは、「おのれの知恵と腕で金を生み出す4人の達人が無人島に上陸。フリマアプリを使って金を稼ぐことができるのか?」というナレーション。

アウトドアの達人が「無人島って言っても宝の山みたいなものなんで。ナイフ1つあれば何でも作れます」、フラワーアートの達人が「僕はアーティストなんで、ただ勝つだけじゃなくて美しく勝ちたい」、フリマアプリの達人が「全国に受講生が3,000名います。今まで水没して電源の入らないDSも売ってきました。私に売れないものはありません」、廃材再生の達人が「廃材を生まれ変わらせる仕事をしてるんで、僕の専門分野なんで、断トツ優勝すると思うんですけど大丈夫すか?」という強気のコメントを放ち、対決ムードを盛り上げた。

続いて、「使えるのはスマホ1台とバッグ1つ分の私物のみ。お宝を探せ。ゴミを拾え。どんな手を使っても無から価値を生み出せ」というシンプルなルールが紹介され、4日間のバトルに突入。

メンバー紹介がはじまり、1人目はアウトドアの達人(ブッシュクラフター)・荒井裕介で、アウトドアグッズの売上は1,000万円以上という。2人目はフリマアプリの達人・宇田川まなみで、総取引数4,000件以上の実績を持つ。3人目は廃材再生の達人(アップサイクル)・野口和秀で、廃材再生で年間500万円を稼ぐスペシャリスト。4人目はフラワーアートの達人・hiro Nakajohで、アーティスト歴23年、1部屋装飾で約200万円を稼ぐという。

彼らは芸能人ではなく一般人だけに、ビジュアルやキャラクターのイメージは普通。これだけのあおりを入れたところで、やはり早く類いまれなスキルを見せて視聴者を引きつけるべきだろう。

■4日でファンをつかむプロの技

フリマアプリの宇田川が市場動向を探るためにさっそく出品しようとすると、「1週間以内に売れた商品を参考に値付け」というポイントが表示された。これは「視聴者が使える情報をコンスタントに提供していこう」という制作意図の1つ。実際、最初のCM提供読みの際、「誰でも真似できるフリマアプリ技も続々」というテロップが表示されていた。

ただ、その直前にアウトドアの荒井がいち早く出品。大木を体当たりで倒して、松ヤニを多く含むファットウッドを取り出し、570g2,500円で出品していたのだ。「あえて相場より安く売りに出し、先に稼ごう」という作戦だった。フリマアプリの宇田川も負けじと、拾った浮きを3つ、貝殻を3つ出品。「同じジャンルをまとめて出品した方が見やすいページに」という2つ目のフリマテクニックが明かされた。

廃材再生の野口も、空き瓶を使った吊り下げ式プランター(1,500円)、ジェルキャンドル(1,500円)を出品する一方、フラワーアートのNakajohは植物が少なくいきなりの大苦戦。しかもアウトドアの荒井が出品したファットウッド570g2,500円が落札されて焦りを誘われる。結局、初日はアウトドアの荒井が1品2,500円、フリマアプリの宇田川が2品2,500円、廃材再生の野口が2品3,000円を売り上げて終了した。

2日目は雨で動きが少なく、映像もわずかのみ。1位がフリマアプリの宇田川で6品9,000円、2位が廃材再生の野口で2品3,000円、3位がアウトドアの荒井で1品2,500円、4位がフラワーアートのNakajohで0品0円という結果が映し出された。

追い込まれたフラワーアートのNakajohは、持ち込みアイテムの針金を生かしたエキゾチックなブートニアやハーバリウムを作り、アウトドアの荒井も、水牛の角を使ったオブジェを10,000円で出品。さらに、廃材再生の野口が流木のランタン10,000円を出品すると、わずか7分で落札されて驚きを誘う。名前を伏せた状態であるにもかかわらず同じ人が計3品13,000円を購入したことから、早くもファンをつかんでしまう技術とオリジナリティを感じさせられた。

残り時間わずかになり、フリマアプリの宇田川はセット売りで値段を上げる策に出て、フラワーアートのNakajohは大幅値下げしつつ最終日だけで8品を出品。混戦模様のまま迎えたファーストステージの結果は、1位が廃材再生の野口で出品12・売却5・売上17,000円、2位がフリマアプリの宇田川で出品26・売却8・売上10,980円、3位がアウトドアの荒井で出品34・売却2・売上4,000円、4位がフラワーアートのNakajohで出品20・売却0・売上0円だった。

まだまだ差はわずかだが、エンタメ的には「売上0」が続くフラワーアートのNakajohが大逆転劇を見せれば盛り上がりそうだ。