テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第221回は、24日に放送されたCBC・TBS系バラエティ番組『ドーナツトーク』(毎週日曜23:30~)をピックアップする。

今月3日にスタートしたばかりのトークバラエティで、今回が4回目の放送。水野美紀、ヒコロヒー、鷲見玲奈、PORIN(Awesome City Club)のMC4人と1人のゲスト、さらにオンラインで50人の女性が加わりトークが行われている。

今春は『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)、『トークィーンズ』(フジテレビ系)という女性のグループトークを軸に据えた新番組がスタートしただけに、業界のトレンドも含めて掘り下げていく。

(上段左から時計回りに)水野美紀、ヒコロヒー、PORIN(Awesome City Club)、鷲見玲奈

(上段左から時計回りに)水野美紀、ヒコロヒー、PORIN(Awesome City Club)、鷲見玲奈

■「ファッション誌」風のオープニング

番組冒頭、「ドーナツトークとは女性たちが思いのままに語り合う“令和版井戸端会議”のことである」というナレーションとともに、MCの4人を紹介。「上半身と全身の画像2枚を見せつつ、衣装のブランドも紹介する」というファッション誌風の演出が、主に女性向けの番組であることを物語っていた。

続いて、ゲストの武田真治が登場。さらに、リモート参加する女性50人の「ドーナツ会員」が映し出された。ただ「10~40代」とざっくりとした紹介だけで、年齢や地域などの詳細を一切紹介しないのが、いかにも現代の番組らしい。

最初のトークテーマは、ゲストの武田に合わせた「筋トレ男子」。コロナ禍による外出自粛で、運動不足解消のために筋トレをする人が増えたが、「世の女性たちは筋トレ男子にどんな印象を持っているのか」という趣旨が説明された。

このテーマに噛みついたのがPORIN。「見る分にはいいんですけど、お付き合いするとなると、(筋トレ男子は)エゴが強い方が多いイメージがある。『見てくれ。俺を見てくれ』って」といきなり辛めのトークをぶち込んだ。PORINはMC4人の中で、最も未知数かつ鮮度が高い存在だけに、アグレッシブなスタンスが何とも頼もしい。『上田と女が吠える夜』と『トークィーンズ』はおなじみのバラドルたちがメインの番組だけに、彼女の存在だけで大きな差別化になっている。

さらに、リモートのドーナツ会員に尋ねた「筋トレ男子が苦手な人」は50人中11人という結果が明かされる。「見た目が好きじゃない」「ジム行っている人好きじゃない」「自己愛が強いイメージ」などのネガティブな声が続くと、スタジオの水野も「生卵とささみしか食べないイメージ」と加勢した。

旗色の悪い武田は、「コンテストに出る人は本番に向けて絞り込んでいくので、そういうのにお付き合いさせるのは酷だなって思います。僕はそういうことはしないです。みなさんがお風呂入るように、僕の生活のルーティーンに筋トレがある……」とまくしたてるように釈明するが、女性たちはその声を無視。たまらず武田は「……何ちゅう目で見るんですか」と心が折れて笑いを誘った。

このような“大勢の女性VS1人の男性”は、『上田と女が吠える夜』と『トークィーンズ』でもよく見られる図式。女性のグループトーク番組では鉄板の笑いどころと言っていいかもしれない。

■ジャンルの異なる4人のMCが機能

次のコーナーは「ドーナツリサーチ」で、今回のテーマは、ドーナツ会員50人に聞いた「女性が苦手な女性の行動」。1人目の「飲み物を一生決めない女」という話を聞いたPORINは「みんなビールとか飲んでるのに、1人だけ梅酒のソーダ割とか頼む女子いらっしゃるじゃないですか。それちょっとイラっときちゃいます」と毒気たっぷりに話を広げた。

すると水野が「時間かかるし、自分1人なら迷ってもいいけど、みんなが待ってるし、乾杯も待たなければいけなくなるから」とすかさずフォローを入れる。さらに、武田が「外国では来た順に飲むんですよ。全員そろったら乾杯。日本でもそれを定着させたらいい。幹事の人が『来た順に飲んで。乾杯はあとで』って言えばいい」と提案してトークをまとめた。

ここまで番組は、進行の鷲見、毒のPORIN、話を広げるヒコロヒー、フォローの水野という大まかな役割分担が機能。さすがアナウンサー、アーティスト、芸人、俳優とジャンルが分かれ、既婚、新婚、独身と立場も分かれているだけあって4人のバランスは良さそうだ。

2人目のドーナツ会員が、具体的なことは書かずに“病んでるアピール”する「インスタで病む女」を挙げると、またもPORINが反応。「めちゃくちゃいますね。親しい友達限定でストーリーズ公開してて、自分の感情を吐露しまくる子とかは、結構ウッとなります」と三たび毒を吐いた。さらに、水野が「ストーリーズを知らずに説明を求める」という形で世代ギャップを披露。同様の視聴者を拾うとともに、全体の視聴者層を広げる役割を果たしていた。

ここで鷲見が「ドーナツ会員のみなさんで、インスタで病んだことがある人いますか?」と問いかけてトークへの参加をうながした。一般人をリモートで集めるだけ集めて、ほとんどフィーチャーしない番組が多い中、この制作スタンスは素晴らしい。

さらに、ヒコロヒー、鷲見らが毒を吐いたが、武田が微妙なコメントをはさんだことで女性陣は再び沈黙。ヒコロヒーが「何か武田さんのドーナツトークやりづらい。ハッとさせられる部分もあるし、すごい貴重な意見を言っていただいていると思うんですけど、何かそういうことじゃない感が……」とグチのようなツッコミを入れて笑わせるなど、トークの手数は終始多かった。