鉄道会社は駅の安全対策としてホームドアの設置を進めている。プラットホームで乗客が列車に接触する事故が後を絶たないためだ。しかし、ホームドアを安全のためだけではなく、広告や案内表示に使う事例もある。JR東日本の山手線の場合、内回り・外回りを明確にする工夫がある。利用者の皆さんはお気づきだろうか。

山手線のホームドアに施された工夫、それは帯の数だ。正確にはホームドアを格納する部分だから「ホーム柵」のほうだ。内回りのホーム柵は上部に太い帯が1本、外回りのホーム柵は上部に細い帯が2本ある。これで明確に電車の方向がわかるようになっている。

山手線のホーム柵の略図

目的はもちろん、乗り間違いを防ぐためだ。現在、山手線はE231系とE235系が走っていて、いまのところほとんどがE231系だ。また、両形式とも内回り・外回りの区別をしないで運用されている。運転席の上と側面に行先表示システムがあるとはいえ、とっさに乗ろうとすると、どちらの電車に乗ればいいか迷う。

そこで、電車の塗装ではなく、ホーム柵で内回り・外回りの区別をした。この工夫について、JR東日本は強くアピールしていないので、意外と気づかない利用者が多いと思われる。内回り・外回りで同じホームを使う品川駅、五反田駅、目黒駅、原宿駅、新大久保駅、高田馬場駅、目白駅、大塚駅、巣鴨駅、駒込駅の利用者は覚えておくと便利だろう。

なお、山手線は1周29駅のうち23駅にホームドアが設置されている。2016年8月に品川駅のホームドアが稼働し、現段階でのホームドア設置は完了した。残り6駅は駅の通路などの改良工事や、ホームの移設工事などに合わせて設置される予定だ。

宴会で盛り上がる山手線ゲームも、単なる山手線の駅ではなく、「ホームドアがある駅」「ホームドアがない駅」にすると、難易度が高まっておもしろいかもしれない。忘年会のネタにぜひどうぞ。ちなみに、山手線でホームドアのない駅と、工事が行われない理由は下の表で示した通りとなっている。

駅名 工事未着手の理由
渋谷駅 駅全体の改良工事により島式ホームになる予定
新宿駅 東西自由通路を新設し、ホームに階段やエレベーターを設置するなどレイアウト変更予定
東京駅 改札内北通路を拡幅し、エレベーターを設置するなどレイアウト変更予定
新橋駅 高架橋耐震工事、南北コンコース一体化など大規模工事中
浜松町駅 浜松町駅東西自由通路の整備、東京モノレール浜松町駅を含めた駅全体の改築工事を実施予定