前回は台湾旅行の1日目として、台北101に登るという目的を果たした後は食い倒れに突入。その後、河口に開けた港町の淡水で沈む夕日を見ながら腹ごなしに散歩というコースでした。さて、2日目は嘉義へ移動して、阿里山を目指します。

【2日目8:00~9:30】うっかり二度寝! ! 予定の列車に乗り遅れる

カキ氷を2つも食べたからか、1日目の夜はお腹を壊してよく眠れませんでした。常備薬の正露丸(常に持参)を飲んで回復したのですが、7:00にホテルのモーニングコールで起こされたものの、なんと二度寝に……。気がついたら8:00! 8:00の台湾鉄路(台鉄=タイティエ)に乗る予定だったので、思いっきり寝過ごしてしまいました。

「どうしよう……」とつぶやいていると、フロントのおじさんが台湾高速鉄道(高鉄=カオティエ)を使った嘉義へのアクセスを教えてくれました。これは嘉義から桃園に戻る際に使おうと思っていた手ですが、台鉄で約3時間20分かかる道のりを高鉄なら約1時間30分 に短縮できます。確かにこれなら今日中に阿里山に着けそう。お礼を言ってホテルをチェックアウトし、その方法でアクセスすることにしました。

【2日目9:30~15:00】高鉄とバスを乗り継いで阿里山を目指す

列車に乗り遅れるという(自業自得の)失態を乗り越え、早速台北駅で高鉄のチケットを購入。高鉄は日本の新幹線「700T系」をベースにした車両を導入しており、その姿は日本の新幹線そっくりです。車内は機密性が高く滑り出すように動くので、列車が発車したのも気がつかないほど車内は静かで快適。ちなみに料金は台北→嘉義が1,080元(約3,200円)。

高鉄の台北駅は地下にあります。オレンジ色を基調としていますが、そのフォルムは日本の新幹線そっくりです(日本製なので当たり前ですが)

お弁当を食べるとまたもや列車の中でうとうとと寝てしまい、あっというまに嘉義駅へ到着。高鉄を利用しようと思っている方は注意してほしいのですが、台鉄と高鉄に同じ名前の駅があっても駅と駅との間が非常に離れている駅がほとんどです。連絡バスもしくはタクシーなどでのアクセスが必要で、嘉義も例に漏れず、高鉄の嘉義駅から台鉄の嘉義駅までは連絡バスで20~30分ほどかかりました(40元=約140円)。

台湾駅ではこのマークがある売店で駅弁が売っています。ちなみに駅弁は中国語で「便當(ピェンタン)」ですが、日本語の発音に近い「びぇんとー(台湾語)」でも通じます

朝食代わりに購入した駅弁は、台鉄の「太魯閣号」がプリントされている「台鉄便當」。実は、これが乗り遅れた列車です(笑)

中身は骨付き豚肉を揚げて煮たもの(排骨=パイコー)と味付けゆで卵と菜っ葉のお漬物。濃い目の味で、ご飯がもりもりすすみます(60元=約180円)

話は変わりますが、今回の旅では、旅の準備編で2つ目にあげた「阿里山森林鉄路で阿里山に上る」の阿里山森林鉄路は、台風の影響で不通になっていて利用できませんでした(その後大規模な地滑りが起き、早くても開通は2009年の1月末だそう)。なので私は、台鉄の嘉義駅前から出発する県営バスを使うことに(片道214元=約670円)。タイトルが「列車でめぐる」なのに、内容がふさわしいものにできず、申し訳ありません。今回はそれでも最後まで読んでいただければうれしいです。

台鉄の嘉義駅。嘉義は北回帰線が通る街としても有名で、嘉義から南は熱帯に位置することになります

阿里山行きの県営バス。側面には阿里山森林鉄路の列車が描かれています。これに乗りたかった……

嘉義名物の鶏肉飯(チーローファン)を、「噴水鶏肉飯」でいただきました。台湾では庶民的な味としてどこに行ってもみかけますが、噴水鶏肉飯が発祥の店です

さて、嘉義からバスに揺られること3時間弱。道中はかなり揺れるので、車酔いしやすい方にとっては酷かもしれません。熱帯(バナナやアロエなど)→暖帯(竹林や茶畑など)→湿帯(檜など)と、風景の移り変わりを楽しみ、無事阿里山に到着。

バスから降りると早速ホテルのパンフレットを手にした客引きに1,800元の部屋を提示されたのですが、値引いてもらい1,500元(約4,800円)で商談成立。事前に予約できる宿は1万円以上 と高価だったので、得した気分。バス停から徒歩5分ほどのホテルに到着すると、部屋はキレイで(窓からの眺めは壁でしたが)、お湯の出るシャワーとトイレ、ベッドがあり、泊まるだけなら十分。荷物を置いて、早速散策へと出かけました。

【2日目16:00~21:00】標高2170mで森林浴を楽しむ

阿里山の一帯は「阿里山国家森林遊楽区」と呼ばれており、この区域は、国立公園「阿里山国家風景区」の一部でもあります。日の出、夕霞、雲海、鉄道、神木が「五大奇観」として有名であり、台湾中から観光客がやってくる景勝地です。バス停のあたりから30分ほど林道を歩くと、阿里山唯一の高級ホテル「阿里山賓館」に到着します。オープンカフェで、いちじく茶を飲みながら森林浴を楽しみました。ふと気がつくとあたりがだんだんと暗くなってきたのでホテルへ戻ることにして、その途中で夕食を食べたのですが、寒かったので火鍋(いわゆる鍋です)を注文すると、観光地価格+味もイマイチのダブルパンチで「台湾のまずいもの」ベスト1にランクイン。どうしても夕食に納得がいかなかった私は、帰り道にあったセブンイレブンで肉まんをGET。そちらの方が数倍おいしかった(笑)。

(上)阿里山森林駅。駅前では先住民の雛(ツオウ)族による踊りが披露されており、その後は観光客と記念撮影をしていました(右)阿里山の標高は2170m。日本百名山の1つである、岐阜県と長野県の境にある「恵那山(標高:2191m)とほとんど変わらない高さです

阿里山賓館の外観。約100年前に建築された建物は、木造ながらもモダンな作りで、高級ホテルの名にふさわしい落ち着いた佇まいです

【3日目4:00~8:00】祝山で念願の"ご来光"を拝む

翌朝は4:00に、モーニングコールが来ました。3つ目の目標に掲げていた「祝山でのご来光」は何があっても逃せません。朝は寒いとホテルのおばちゃんに言われていたので、ありったけの服を着込んで外へと飛び出しました。阿里山は初夏でも早朝は冷え込み、夏の平均気温は14度。初秋のこの時期も同様に低い温度の中 、薄暗い道を進んで周りを見ると、祝山線の発着する阿里山駅に向かって歩く人、人、人だらけで、この「ご来光」が阿里山のメインイベントであることは間違いありません。

駅に着いて切符を買い(片道100元=約310円)、ご来光に合わせて発車する祝山線に乗り込むとすでに満員でした。祝山駅までは30分ほど。まるで東京の満員電車のようにぎゅう詰めの列車は、ガタガタと揺れながら終点を目指しました。祝山駅に着いてからは30分ほど日の出を待ちます。祝山の観日平台(展望台)からは、台湾でもっとも高い「玉山(3952m)」山頂付近を前景とした日の出が見られます。玉山はその昔「新高山(にいたかやま)」と呼ばれていました。これは、本統治下の時代における「新領土にある日本で1番高い山」という意味で、明治天皇により名付けられたそうです。

日の出が近づくと、あたりがだんだん明るくなってきました。いよいよだと意気込んだその瞬間、突き刺すような光が一直線にこちらに向かい、きた~! ご来光! その時刻は6:00ごろ。あまりのまぶしさに目を伏せたくなりますが、なんとかカメラを向けてその光を捉えます。ご来光の瞬間は誰もが一瞬息を呑み、そして感嘆の声を上げていました。あたり一面を覆う感動の渦に巻き込まれながら、寝坊しちゃったけどやっぱり来てよかったと心の奥でそっと思い、今回の週末海外旅行に幕を降ろすことにしました。

祝山駅に到着。まだあたりは真っ暗です

観日平台にも、台湾には欠かせない屋台が完備(笑)。あたたかい飲み物や食べ物を手にして、寒さをしのぎます。味もよく、価格もそれほど高くありません

だんだんと明るくなってきた山頂付近。いやでも期待が高まってきます

きた~! ご来光!! ちなみに、このような日の出が見られることはまれだそう。寝坊して列車に乗り遅れた代償かと……(笑)

今回の台湾旅行は、タイトルどおりに「列車でめぐる」ことができませんでしたが、それでも阿里山で見たご来光は忘れられない旅の1コマになりました。それにしても、海外旅行で寝坊なんてとあきれる方もいると思いますが、実際はよくあります(朝がどうしても苦手なのです……)。そして、どんなハプニングも臨機応変に対処する、これも旅の楽しさの1つだと思っています。もちろん、ハプニングはないに越したことはありませんし、くれぐれも寝坊にはご用心(私だけ?)。それではみなさん、よい旅を!

コノミ流旅の掟
「旅にハプニングはつきもの。寝坊をしてもあきらめるな(笑)! 」

台湾の旅--日程メモ

2日目

時刻 内容
8:00 寝坊して起床
9:30 台北駅→嘉義駅(高鉄)へ移動
11:30 連絡バスで台鉄の嘉義駅へ移動後、鶏肉飯(チーローファン=七面鳥肉と鶏肉ごはん)の昼食
12:10 阿里山(県営バス)へ移動
15:00 阿里山のバス亭に到着後ホテルにチェックイン
16:00 林道を散策し、阿里山賓館のカフェでお茶を飲む
19:30 火鍋の夕食
21:30 コンビニに立ち寄り後、ホテルに戻り就寝

3日目

時刻 内容
4:00 起床
5:00 阿里山駅→祝山駅(祝山線)へ移動
6:00 ご来光鑑賞後
6:30 屋台で朝食後、徒歩で下山
8:30 ホテルに戻ってシャワーを浴び、チェックアウト
9:10 台鉄の嘉義駅(県営バス)へ移動後、駅近のお店でお粥の昼食
12:30 連絡バスで台鉄の嘉義駅→高鉄の嘉義駅へ移動
13:00 嘉義駅→桃園駅(高鉄)へ移動
14:30 桃園駅→台北・桃園国際空港へバスで移動
16:50 台北・桃園国際空港発(CI106便)
20:45 東京・成田国際空港着、帰国