食道楽の大阪府! その食文化にも特徴が

古くは「天下の台所」と呼ばれ、東京都に対抗する西の都・大阪府。データをひもとくと、おなじみの大阪府の顔や思わぬ大阪府の顔が見えてきました。

商業・観光・鉄道など"西の都"は健在!

東京都に続くナンバー2としての大阪府を象徴するデータをまとめてみましょう。人口密度、人口集中度、商業地基準地価、工業地基準地価、外国人観光客訪問率、Facebookユーザー数などが東京都に続く2位となっており、西の都の面目躍如といったところ。3位にまで対象を広げると、鉄道旅客輸送量、住宅地基準地価、Twitterユーザー数、最低賃金などが入ってきます。

また、天下の台所・大阪府は自主独立の商人気質にもあふれていて、起業家数が人口100人あたり1.20人で6位(2012年 全国平均1.14人)。一方、サラリーマン数は人口100人あたり25人で38位(2012年 全国平均28人)、地方公務員数は人口100人あたり1.98人で41位(2009年 全国平均2.16人)と、起業家が多くて雇われ人が少ないのが大阪府の特徴です。

薄味好み、ただし粉もんを除く

大阪のもうひとつの特徴は食い倒れで有名な食の都。飲食店店舗数は人口10万人あたり436軒で2位(2006年 全国平均327軒)、焼き肉店店舗数が人口10万人あたり23軒で4位(全国平均 17軒)、喫茶店店舗数が人口10万人あたり137軒で4位(2006年 全国平均64軒)とさすがの多さです。

そんな大阪人の食の好みを統計からひもとくと、食用油消費量が41位、食塩消費量が43位、しょう油消費量が43位、味噌消費量が46位と調味料や油の消費量が少なく、薄味好きです。一方、お好み焼き屋店舗数が3位、ソース消費量が5位、タコ消費量が3位というデータからはお好み焼きやタコ焼きに代表される"粉もん文化"の伝統を感じさせます。

さらに、牛肉消費量が6位と多いのに豚肉消費量が33位と少ないところも大阪人らしく、納豆消費量が46位と極端に少ないのも納豆嫌いの大阪人らしいと言えるかもしれません。

アメちゃん文化があっても"甘いもん嫌い"!?

これらの食の好みは世間にもよく知られているところですが、食のデータを探っていくと知られざる大阪人の素顔が見えてきました。それは"甘いもん嫌い"です。これはなかなかすごいです! 主なものを列挙すると、まんじゅう消費量とケーキ消費量が37位、ゼリー消費量、砂糖消費量、せんべい消費量が41位、アイスクリーム消費量が43位、チョコレート消費量とようかん消費量、果物消費量が46位。ビスケット消費量とスナック菓子消費量が全国最低と、甘い物の消費量が軒並み低いレベルのようです。

さらに、大阪府のおばちゃんがいつもバッグに常備していると言われるアメちゃんの消費量でさえ、まさかの43位です。もしかして"甘いもん嫌い"の関西のおばちゃんたちは、もらったアメを食べることなくぐるぐる回しているだけなのかも!?

大阪府と他都道府県の相関図。実は福岡県とも似ていることが分かる

700以上のランキングから、大阪府の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤は似ている県、青は正反対の県、黄色はどちらでもない県。ぱっと見で目立つのが赤と青の多さで、その中間の黄色があまりありません。こうしてみると、日本の各県は「大阪府に似ている・似ていない」のふたつで分類できるのかもしれません。それぐらい強烈な個性を感じさせる大阪府の相関地図です

※本文と写真は関係ありません

筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)

統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。