元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな芸人は「青色申告の芸人」です。

目が出ない芸人は最終的にどうなる

ぼくは現在34歳で、ほとんどの同期が30歳前後です。今辞めても、まだ、正社員として働ける年代です。だから、40歳以上になってから辞めていった人たちをぼくはほとんど知りません。

同期で唯一、40歳を超えて辞めた男は、ずっとアルバイトをしていたバーで、社員として働き始めたようです。月収は30万円ほどでボーナスはなく、社会保険も用意されていません。結婚もしておらず、年金も払っておらず、保険証も持っていません。きっと、体を壊すまで一生働き続けるのだと思います。

働きながら芸人を続けている先輩たちもいます。比較的融通のきく仕事を選び、月に40万円ほどの収入を得て、芸人としての仕事が入ったときは、そちらを優先する。芸人というたのしい職業を続けるのであれば、そのような働き方も選択肢の一つといえます。そうすれば、いつか売れる日を待ちながら、永遠に芸人として生き続けることができます。

逆に売れた芸人はどんな生活をしている?

売れているタレントを見たら、「忙しいんだろうな」と思われるかもしれません。忙しい世代の方もいるとは思いますが、圧倒的に売れている方は忙しくありません。スケジュールを詰め、週に3日ほど働いて、あとは労働以外のことをしてらっしゃいます。

後輩と食事や旅行に行くこともあれば、家族サービスに費やす方もいるでしょうし、同じくらいの所得の方々と遊んだり、趣味に没頭したり、芸人以外の事業を行ったりしています。一概に「売れた芸人さんはこうである」というのはあまりなく、それぞれがそれぞれの生活を謳歌しています。

実際に若手芸人さんに話を聞きました。

童心ヒーロー にしだっくすさん

―――お名前をお願いします。
童心ヒーローのにしだっくすです。

―――おいくつですか。
28歳です。



―――どのような活動をされていますか。
月に5回程度のライブとパーソナルトレーニングを週3回しています。

―――月収はどれくらいですか。
所属事務所から1~2万円、パーソナルトレーニングで5~10万円、アルバイトで8万円で、平均すると15万円くらいになります。

―――家賃はいくらですか。
4万5千円です。

―――貧しくて苦労したことはありますか。
ぼくはフィジークの選手なのですが、筋肉を作るのに必要なサプリメントを満足に買えません。食事も、一般の方より回数が多く、質の高いものを食べなければいけないので、苦労しています。どこに行っても、財布の中を気にしてしまいます...

―――最後に、芸人をやっていて良かったことはなんですか。
同じ毎日がないからすごくたのしいです。

ハンドレール 胴上げさん

―――お名前をお願いします。
ハンドレール 胴上げです。

―――おいくつですか。
30歳です。



―――どのような活動をされていますか。
月に5回のライブだけです。

―――月収はどれくらいですか。
所属事務所からの報酬はないので、うどん屋でアルバイトをしています。収入は月に16万円ほどです。

―――家賃はいくらですか。
4万3千円です。

―――借金はありますか。
40万円ほどあります。

―――なぜ借金があるのでしょうか。
分かりません。おそらく、生活費だと思います。

―――普段、どんな食事をされていますか。
1食はうどん屋のまかないで、2食はコンビニのパンを食べています。

―――貧しくて苦労したことはありますか。
とくにありません。

―――彼女はいますか。
30年間いません。

―――彼女がいないことと貧しいことに因果関係はありますか。
ありません。

―――芸人として売れたら、欲しいものややりたいことはありますか。
一人で海外旅行に行きたいです。あと、(中型自動車の)運転免許が欲しいです。

才能があっても、平均的な所得を得られないのが芸人です。

もし、みなさんの周りに芸人がいたら、仕事の依頼やライブに見に行くといった具体的な行動をすると、応援になります。「応援してます」という言葉は何の意味もなく、何も伝わりません。彼らが芸人を辞めてしまう前に、可能な限りの応援を宜しくお願いします。

さんきゅう倉田

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(総合法令出版/1,404円/税込)
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さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。

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