きょう17日から第二部がスタートする、陸上自衛隊を舞台にした青春群像劇ドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系、毎週水曜22:00~)。実際の駐屯地や演習場で連日ロケが行われ、車両や装備品なども本物を使用することによって迫力ある映像に仕上がっているが、これが実現したのは防衛省が全面協力しているからだ。

さらに、キャストへの所作指導や訓練、エピソードの提供まで、前例のない規模で惜しまずに協力するのはなぜか。防衛省陸上幕僚監部で広報を担当した相澤雄一2等陸佐(現・教育訓練研究本部)に、キャストの印象やドラマ放送への期待なども含め、話を聞いた――。

  • 『テッパチ!』に主演する町田啓太 (C)フジテレビ

    『テッパチ!』に主演する町田啓太 (C)フジテレビ

■物語を作るところから参加

ドラマの制作側から防衛省に今回の話が来たのは、クランクインの数カ月前のこと。普段公開していない駐屯地や演習場でロケを行うなど大規模な協力体制となるため、多大な業務調整が必要となるが、「陸上自衛隊の組織自体、そして、その活動を紹介することができ、ストーリーとしても自衛官候補生が成長していくというのは国民の皆さんもなかなかご存知ない部分だと思うので、最大の広報の機会になると考え、お話を受けたという形になります」(相澤氏、以下同)と快諾。

これまでも、『戦国自衛隊1549』(05年)、『シン・ゴジラ』(16年)、さらに現在公開中の『シン・ウルトラマン』といった映画で撮影に協力してきた事例はあるものの、今回は現代の陸上自衛隊がメインの舞台ということで、「いろんな駐屯地で撮影し、装備品を登場させたり本職の隊員がエキストラで参加したりと、ここまでの規模で協力させていただくのは、初めてだと思います」という。

さらに、「今までの場合は、台本が出来上がってから、『ここを協力してくれませんか?』というお話を頂いていたのですが、今回はそもそもの物語を作るところから、『どういったものが出せますか?』『どんなアイデアがありますか?』といった取材をしていただいたので、監修だけでなく、言い過ぎかもしれませんが、一緒に作っていったような感覚もあり、これまでの協力とは全く違います」と、前例のない体制でバックアップしている。

  • 駐屯地や演習場でのロケ、車両協力も (C)フジテレビ

■隊員同士の恋愛は「すごく多いです」

具体的に、陸上自衛隊側から提案したシーンを挙げると、1つは災害派遣の場面。救助において残されている不明者をどうやって見つけ出すのかといった仕組みを伝授したという。

ほかにも、警務科(=陸上自衛隊の中の警察官)、音楽科、会計科など、知られざる職種や組織の仕事内容、さらには“隊員あるある”まで、情報を提供。この“隊員あるある”の例は、「本当に細かいんですけど、我々は何でも左から動くので、所作指導の中で全部動きを左からにしてもらったり、挙手するときも手を広げないで握っていたりというのがあります。そういったものがドラマに生かされているので、組織内の者が見たら『あー、あるある』となると思いますね」といい、リアリティの裏付けに大きく貢献している。

  • 町田啓太(左)と白石麻衣 (C)フジテレビ

ドラマでは隊員同士の恋愛も描かれるが、実際の隊員間でも「すごく多いです」とのこと。「女性隊員は全体の7%程度なのですが、専門性の高さや任務の特殊性から団結しますし、何か惹かれ合うところがあるのかもしれないので、お付き合いされたり、ご結婚される方が多いイメージがありますね」と教えてくれた。